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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1706.06981
de la Fuente Marcos & de la Fuente Marcos (2017)
Evidence for a possible bimodal distribution of the nodal distances of the extreme trans-Neptunian objects: avoiding a trans-Plutonian planet or just plain bias?
(Extreme trans-Neptnian object の交点距離の二峰性分布の可能性の証拠:冥王星以遠惑星によるものか単なるバイアスか?)

概要

大きな軌道離心率を持つ小天体の集団に対して擾乱を与えて相互作用する重い天体が存在する場合,小天体軌道の交点の距離の分布は重い天体によって強く影響を受ける.この過程の詳細は数値的に研究され,木星が擾乱の原因である場合については,擾乱を受けている小天体の交点距離の分布は観測的にも確認されている.例えば,木星の重力の影響を受け,彗星の交点距離は二峰性の分布を持つことが知られている.

ここでは,extreme trans-Neptunian objects (ETNOs) の交点の距離の分布には二峰性があるかもしれないという証拠について報告する.これは,これまでに知られていなかった,交点距離と軌道傾斜角の間の相関という形で現れる.

ここで提案している相関は,観測バイアスによるものとは考えにくい.これは,大きな軌道長半径を持つケンタウルス族と彗星の両方の軌道データ中にも,ETNOs で見られたパターンと類似するものが見られるからである.

主な主張

ここでは,これまでに知られていなかった,ETNOs の交点距離と軌道傾斜角の相関についてまとめた.解析に用いた ETNOs のサンプル数は少ないものの (22 個),この傾向は他の,おそらく関連している天体の集団でも見られるものである.木星での力学的なアナロジーを用いることで,今回の発見の暫定的な解釈を得た.

今回の結論は以下.
  • 軌道長半径が 1000 AU 未満の彗星の交点距離の分布は二峰性を示す.これは Rickman et al. (2001) で得られている結果を支持するものである.
  • ETNOs の交点の距離の分布における二峰性が,交点距離と傾斜角の相関という形で存在することの強い証拠を発見した.
  • 木星に影響を受けている軌道長半径 1000 AU 未満の彗星の交点の距離の二峰性分布を,ETNOs の分布の力学的なアナロジーとして用いた場合,軌道長半径が 300 - 400 AU の範囲の冥王星以遠惑星が存在する可能性があることが指摘される.この結果は,大きな軌道長半径を持つケンタウルス族天体と彗星に見られる傾向と整合的である.




"Extreme trans-Neptnuan objects (ETNOs)" には今のところ定訳は無いようです.原義からすると,ETNOs は "海王星軌道から遥かに遠くにある天体" という意味になります.なお "trans-Neptunian objects (TNOs)" は直訳すれば「海王星以遠天体」となりますが,これは日本語では「太陽系外縁天体」と呼ばれています.

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