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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1709.03560
Feng & Jones (2017)
Was Proxima captured by alpha Centauri A and B?
(プロキシマはケンタウルス座アルファ星 A と B に捕獲されたか?)
プロキシマb の居住可能性は,ケンタウルス座アルファ星系の軌道進化に大きく影響されると考えられる.系の力学進化を調べるために,プロキシマとケンタウルス座アルファ星A, B の運動を数値計算した.モンテカルロ法を用い,銀河潮汐からの擾乱と,他の恒星の近接遭遇の影響を考慮した.
100 セットの計算のうち74%のケースでは,プロキシマの軌道はケンタウルス座アルファ星に重力的に束縛されているが,17%は過去 5 億年の間,9%は将来 5 億年の間に重力的に束縛されなくなる.軌道不安定な計算例は,シミュレーションの時間スケールと,系への恒星の遭遇率が大きくなるほど増える.
プロキシマの力学的な歴史は,恒星遭遇のモデルの不定性だけではなく,位置天文学データの不定性にも敏感である.
今回の結果は,現在のケンタウルス座アルファ星の三重星系の形成における,捕獲説を支持するものである.
過去の分光観測からは,ケンタウルス座アルファ星A, B は太陽よりも金属量が多いことが示されているが,プロキシマは太陽と同程度の金属量である.このことは,両者の起源が異なり,プロキシマは捕獲された恒星であるという仮説を補強する可能性がある.
とは言え,ケンタウルス座アルファ星系の歴史と,それがプロキシマb の居住可能性に与える影響を正しく評価するためには,現在のデータとモデルの更なる改善が必要である.
ケンタウルス座アルファ星A, B は太陽より明白に高い金属量を示し,それぞれ [Fe/H] = 0.26, 0.22 である (Jofre et al. 2015).一方でプロキシマの金属量は太陽と概ね同じである.プロキシマやその他の晩期 M 型星の金属量はあまり分かっていないが,これらの金属量の違いは,ケンタウルス座アルファ星A, B とプロキシマは異なる形成史を持ち,捕獲説を支持するものである.
arXiv:1709.03560
Feng & Jones (2017)
Was Proxima captured by alpha Centauri A and B?
(プロキシマはケンタウルス座アルファ星 A と B に捕獲されたか?)
概要
太陽系から最も近い恒星系はケンタウルス座アルファ星系であり,この系はプロキシマ,ケンタウルス座アルファ星A,ケンタウルス座アルファ星B と,少なくとも一つの惑星プロキシマb からなる.プロキシマb の居住可能性は,ケンタウルス座アルファ星系の軌道進化に大きく影響されると考えられる.系の力学進化を調べるために,プロキシマとケンタウルス座アルファ星A, B の運動を数値計算した.モンテカルロ法を用い,銀河潮汐からの擾乱と,他の恒星の近接遭遇の影響を考慮した.
100 セットの計算のうち74%のケースでは,プロキシマの軌道はケンタウルス座アルファ星に重力的に束縛されているが,17%は過去 5 億年の間,9%は将来 5 億年の間に重力的に束縛されなくなる.軌道不安定な計算例は,シミュレーションの時間スケールと,系への恒星の遭遇率が大きくなるほど増える.
プロキシマの力学的な歴史は,恒星遭遇のモデルの不定性だけではなく,位置天文学データの不定性にも敏感である.
今回の結果は,現在のケンタウルス座アルファ星の三重星系の形成における,捕獲説を支持するものである.
過去の分光観測からは,ケンタウルス座アルファ星A, B は太陽よりも金属量が多いことが示されているが,プロキシマは太陽と同程度の金属量である.このことは,両者の起源が異なり,プロキシマは捕獲された恒星であるという仮説を補強する可能性がある.
とは言え,ケンタウルス座アルファ星系の歴史と,それがプロキシマb の居住可能性に与える影響を正しく評価するためには,現在のデータとモデルの更なる改善が必要である.
議論
プロキシマは現在ケンタウルス座アルファ星に重力的に束縛されているが,捕獲されたという可能性もある.また,ケンタウルス座アルファ星とプロキシマは金属量が異なるという点も,捕獲説を示唆する.ケンタウルス座アルファ星A, B は太陽より明白に高い金属量を示し,それぞれ [Fe/H] = 0.26, 0.22 である (Jofre et al. 2015).一方でプロキシマの金属量は太陽と概ね同じである.プロキシマやその他の晩期 M 型星の金属量はあまり分かっていないが,これらの金属量の違いは,ケンタウルス座アルファ星A, B とプロキシマは異なる形成史を持ち,捕獲説を支持するものである.
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