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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1710.00858
Weinberg et al. (2017)
Tidal Dissipation in WASP-12
(WASP-12 での潮汐散逸)
最近の Maciejewski et al. (2016) と Patra et al. (2017) によるトランジット時刻の観測からは,この惑星の軌道周期の減少率が \(P/\dot{P}=3.2\,{\rm Myr}\) であることが分かっている.これは,潮汐散逸による軌道崩壊 (orbital decay) か,惑星軌道の近点移動に伴う見かけ上の長周期振動のどちらかの証拠であると解釈されている.
ここでは,軌道周期の減少は軌道崩壊が原因であるという可能性について考察する.
中心星 WASP-12 のパラメータは,1.3 太陽質量の主系列星とするものと,1.2 太陽質量の準巨星とするものの両方と整合的である.
前者の場合,もし中心星が主系列段階にある場合,予想される潮汐散逸の大きさは,観測されている軌道周期の減衰を説明するには小さすぎることが判明した.
しかし,もし中心星が準巨星であった場合は,潮汐散逸は恒星の中心付近における力学的潮汐の非線形の波破壊によって,大きく増幅される.
準巨星モデルでは,潮汐のクオリティファクターは 2 × 105 であり,この値を元に推定した軌道崩壊率は観測されている値とよく一致する.
この結果は,惑星がなぜ主系列段階の 30 億年の間にわたって落下せず生き延びているのか,また現在の 300 万年という大きな軌道崩壊のタイムスケールで落下している理由の両方を説明する事ができる.
今回の結果は,現在我々がこの惑星の寿命の最後の ~ 0.1%にあたる期間を目撃していることを示唆する.そのような状況を観測できる可能性は,1.2 太陽質量より重い主星を 3 日未満の軌道周期で公転する 30 個のホットジュピターのサンプルの中では数%である.
arXiv:1710.00858
Weinberg et al. (2017)
Tidal Dissipation in WASP-12
(WASP-12 での潮汐散逸)
概要
WASP-12 はホットジュピターを持つ系であり,惑星 WASP-12b の軌道周期は 1.1 日である.この惑星は,最も軌道周期が短い巨大惑星のひとつである.最近の Maciejewski et al. (2016) と Patra et al. (2017) によるトランジット時刻の観測からは,この惑星の軌道周期の減少率が \(P/\dot{P}=3.2\,{\rm Myr}\) であることが分かっている.これは,潮汐散逸による軌道崩壊 (orbital decay) か,惑星軌道の近点移動に伴う見かけ上の長周期振動のどちらかの証拠であると解釈されている.
ここでは,軌道周期の減少は軌道崩壊が原因であるという可能性について考察する.
中心星 WASP-12 のパラメータは,1.3 太陽質量の主系列星とするものと,1.2 太陽質量の準巨星とするものの両方と整合的である.
前者の場合,もし中心星が主系列段階にある場合,予想される潮汐散逸の大きさは,観測されている軌道周期の減衰を説明するには小さすぎることが判明した.
しかし,もし中心星が準巨星であった場合は,潮汐散逸は恒星の中心付近における力学的潮汐の非線形の波破壊によって,大きく増幅される.
準巨星モデルでは,潮汐のクオリティファクターは 2 × 105 であり,この値を元に推定した軌道崩壊率は観測されている値とよく一致する.
この結果は,惑星がなぜ主系列段階の 30 億年の間にわたって落下せず生き延びているのか,また現在の 300 万年という大きな軌道崩壊のタイムスケールで落下している理由の両方を説明する事ができる.
今回の結果は,現在我々がこの惑星の寿命の最後の ~ 0.1%にあたる期間を目撃していることを示唆する.そのような状況を観測できる可能性は,1.2 太陽質量より重い主星を 3 日未満の軌道周期で公転する 30 個のホットジュピターのサンプルの中では数%である.
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天文・宇宙物理関連メモ vol.417 Patra et al. (2017) WASP-12b の軌道周期変化の精密測定