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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1711.06905
Cieza et al. (2017)
ALMA observations of Elias 2-24: a protoplanetary disk with multiple gaps in the Ophiuchus Molecular Cloud
(Elias 2-24 の ALMA 観測:へびつかい座分子雲にある複数のギャップを持った原始惑星系円盤)
観測の結果,原始惑星系円盤に,同心円状の部分的に空間分解された 3 つのギャップが存在することを検出した.ギャップの位置はそれぞれ,恒星から ~ 20, 52, 87 au の距離である.
円盤の輻射輸送モデリングを行い,円盤の表面密度と温度の動径方向分布への制約を与え,円盤の構造について考察を行った.ギャップの成因として,活発に形成している最中の惑星による力学的な clearing,あるいは凝結線などの細いギャップを形成しうるメカニズムに注目した.
特に,各ギャップの距離における温度の推定値はそれぞれ 23, 15, 12 K であり,この温度は CO (23 - 28 K),N2 (12 - 15 K) のスノーラインの場所に非常に近い.
同様に,ギャップの幅がギャップ内部で形成途中の惑星の,ヒル半径の 4 - 8 倍であるという仮定をすると (これは数値シミュレーションから示唆されているもの),ギャップを形成している可能性がある惑星の質量は,それぞれ 0.2 - 1.5 木星質量,1.0 - 8.0 木星質量,0.02 - 0.15 木星質量と推定される.
円盤の面密度分布を与えると,これらのギャップの隙間の各位置における “失われた質量” (4 - 20 木星質量) は,このような惑星の形成を説明するのに十分な量である.
原始惑星系円盤の特徴的な温度とサイズ (20 K,100 au) を考えると,円盤からの熱的放射を空間分解して撮像観測するには,秒角以下の角度分解能でのミリ波・サブミリ波での観測が適している.
詳細な原始惑星系円盤の撮像観測を行うことは Atacama Large Millimeter/Submillimeter Array (ALMA) を建設する主要な科学的理由のひとつであり,ALMA が達成したこれまでにない分解能のお陰で,原始惑星系円盤に対する我々の見方は近年大きく進歩している.
ALMA の登場以前は,円盤中にはわずかな構造しか見られなかった,
主なものは,円盤の中心に空いた大きな cavity (空洞) で,空洞の半径は数十 au のものが発見されている (e.g., Brown et al. 2009; Andrews et al. 2010; Cieza et al. 2012).
高分解能と高感度で観測を行うと,原始惑星系円盤は非常に多くの内部構造を持っていることが分かる.
例えば,細いギャップ (ALMA Partnership 2015; Andrews et al. 2016; Isella etal. 2016 ),明るいリング (Canovas et al. 2016; van der Plas et al. 2017),ダスト捕獲 (Casassuset al. 2013; van der Marel et al. 2013; Kraus et al. 2017),渦状腕 (P ́erez et al. 2016),鋭い強度の break (Cieza et al. 2016) である.
これらの構造の起源と,その構造が円盤進化と惑星形成に対して果たす役割が,この分野の重要な研究課題である.
arXiv:1711.06905
Cieza et al. (2017)
ALMA observations of Elias 2-24: a protoplanetary disk with multiple gaps in the Ophiuchus Molecular Cloud
(Elias 2-24 の ALMA 観測:へびつかい座分子雲にある複数のギャップを持った原始惑星系円盤)
概要
ALMA を用いて,波長 1.3 mm の連続波で,0.2” の分解能で Elias 2-24 の観測を行った.この天体は, Ophiuchus Molecular Cloud (へびつかい座分子雲) の中にある,最も大きく明るい原始惑星系円盤の一つである.観測の結果,原始惑星系円盤に,同心円状の部分的に空間分解された 3 つのギャップが存在することを検出した.ギャップの位置はそれぞれ,恒星から ~ 20, 52, 87 au の距離である.
円盤の輻射輸送モデリングを行い,円盤の表面密度と温度の動径方向分布への制約を与え,円盤の構造について考察を行った.ギャップの成因として,活発に形成している最中の惑星による力学的な clearing,あるいは凝結線などの細いギャップを形成しうるメカニズムに注目した.
特に,各ギャップの距離における温度の推定値はそれぞれ 23, 15, 12 K であり,この温度は CO (23 - 28 K),N2 (12 - 15 K) のスノーラインの場所に非常に近い.
同様に,ギャップの幅がギャップ内部で形成途中の惑星の,ヒル半径の 4 - 8 倍であるという仮定をすると (これは数値シミュレーションから示唆されているもの),ギャップを形成している可能性がある惑星の質量は,それぞれ 0.2 - 1.5 木星質量,1.0 - 8.0 木星質量,0.02 - 0.15 木星質量と推定される.
円盤の面密度分布を与えると,これらのギャップの隙間の各位置における “失われた質量” (4 - 20 木星質量) は,このような惑星の形成を説明するのに十分な量である.
研究背景
ガスの豊富な星周円盤は,惑星形成が起きている現場である.それらの大部分はまだ分子雲の中に存在しているため,地球から 100 pc 以内には少数の原始惑星系円盤しか存在しない.原始惑星系円盤の特徴的な温度とサイズ (20 K,100 au) を考えると,円盤からの熱的放射を空間分解して撮像観測するには,秒角以下の角度分解能でのミリ波・サブミリ波での観測が適している.
詳細な原始惑星系円盤の撮像観測を行うことは Atacama Large Millimeter/Submillimeter Array (ALMA) を建設する主要な科学的理由のひとつであり,ALMA が達成したこれまでにない分解能のお陰で,原始惑星系円盤に対する我々の見方は近年大きく進歩している.
ALMA の登場以前は,円盤中にはわずかな構造しか見られなかった,
主なものは,円盤の中心に空いた大きな cavity (空洞) で,空洞の半径は数十 au のものが発見されている (e.g., Brown et al. 2009; Andrews et al. 2010; Cieza et al. 2012).
高分解能と高感度で観測を行うと,原始惑星系円盤は非常に多くの内部構造を持っていることが分かる.
例えば,細いギャップ (ALMA Partnership 2015; Andrews et al. 2016; Isella etal. 2016 ),明るいリング (Canovas et al. 2016; van der Plas et al. 2017),ダスト捕獲 (Casassuset al. 2013; van der Marel et al. 2013; Kraus et al. 2017),渦状腕 (P ́erez et al. 2016),鋭い強度の break (Cieza et al. 2016) である.
これらの構造の起源と,その構造が円盤進化と惑星形成に対して果たす役割が,この分野の重要な研究課題である.
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