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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1712.03746
Biller et al. (2017)
Simultaneous, Multi-Wavelength Variability Characterization of the Free-Floating Planetary Mass Object PSO J318.5-22
(自由浮遊惑星質量天体 PSO J318.5-22 の同時多波長変動性特性評価)
スピッツァー宇宙望遠鏡ではこの天体の自転周期 2 回分程度,ハッブル宇宙望遠鏡では 1 回の自転周期の大部分をカバーした.スピッツァー宇宙望遠鏡で得られた光度曲線から,自転周期は 8.6 ± 0.1 時間と測定された.
この天体の \(v \sin i\) の値と,得られた自転周期を組み合わせた結果,視線方向の自転軸の傾斜は 56.2 ± 8.1° と推定される.
変動のピーク値とトラフ値の変動の大きさは,スピッツァー宇宙望遠鏡の Channel 2 では 3.4%,近赤外バンド (1.07 - 1.67 µm) では 4.4 - 5.8% であった.この天体の中間赤外線での変動の大きさは,他の褐色矮星や惑星質量天体の中間赤外での変動の中では最も大きい部類に入る.
さらに,200 - 210° の間を変化する位相のズレを検出した.これは,合成された近赤外線での光度曲線と,スピッツァーでの中間赤外線の光度曲線の間に見られる位相のずれである.
これはこの天体の大気中の深さに依存する,経度方向の大気構造を示唆しているものと考えられる.吸収特性と比較して幅広いスペクトル帯における同様の変動の検出は,変動の原因は大気中の不均一な雲である可能性があることを示唆している.おそらくは,厚い雲の上の部分的なヘイズ層が原因だろうと考えられる.
arXiv:1712.03746
Biller et al. (2017)
Simultaneous, Multi-Wavelength Variability Characterization of the Free-Floating Planetary Mass Object PSO J318.5-22
(自由浮遊惑星質量天体 PSO J318.5-22 の同時多波長変動性特性評価)
概要
ハッブル宇宙望遠鏡の WFC3 とスピッツァー宇宙望遠鏡の IRAC を用いて,大きく変動する若い (~ 2000 万歳) の惑星質量天体 PSO J318.5-22 の同時モニタリングを行った.スピッツァー宇宙望遠鏡ではこの天体の自転周期 2 回分程度,ハッブル宇宙望遠鏡では 1 回の自転周期の大部分をカバーした.スピッツァー宇宙望遠鏡で得られた光度曲線から,自転周期は 8.6 ± 0.1 時間と測定された.
この天体の \(v \sin i\) の値と,得られた自転周期を組み合わせた結果,視線方向の自転軸の傾斜は 56.2 ± 8.1° と推定される.
変動のピーク値とトラフ値の変動の大きさは,スピッツァー宇宙望遠鏡の Channel 2 では 3.4%,近赤外バンド (1.07 - 1.67 µm) では 4.4 - 5.8% であった.この天体の中間赤外線での変動の大きさは,他の褐色矮星や惑星質量天体の中間赤外での変動の中では最も大きい部類に入る.
さらに,200 - 210° の間を変化する位相のズレを検出した.これは,合成された近赤外線での光度曲線と,スピッツァーでの中間赤外線の光度曲線の間に見られる位相のずれである.
これはこの天体の大気中の深さに依存する,経度方向の大気構造を示唆しているものと考えられる.吸収特性と比較して幅広いスペクトル帯における同様の変動の検出は,変動の原因は大気中の不均一な雲である可能性があることを示唆している.おそらくは,厚い雲の上の部分的なヘイズ層が原因だろうと考えられる.
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PSO は Pan-STARRS Object の略称である.Pan-STARRS 望遠鏡で空の広範囲を網羅的にサーベイしている観測プロジェクトであり,地球近傍天体の検出なども行っている.最近検出された恒星間天体オウムアムアの検出も,Pan-STARRS サーベイによるもの.PSO のカタログに登録されている天体は,1010 個程度に達している.