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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1802.06795
Shvartzvald et al. (2018)
UKIRT-2017-BLG-001Lb: A giant planet detected through the dust
(UKIRT-2017-BLG-001Lb:ダストを通して検出された巨大惑星)

概要

UKIRT マイクロレンズサーベイで検出された重力マイクロレンズイベント UKIRT-2017-BLG-001 の解析から,巨大惑星の発見について報告する.

レンズ天体系の惑星と中心星の質量比は 1.50 × 10-3 で,これは木星/太陽質量比のおよそ 1.5 倍である.

このマイクロレンズイベントは銀河中心から 0.35° の位置にあり,ダストによる光の大きな減衰の影響を受けている.減光の度合いは \(A_{K}=1.68\) である.そのため,この現象は近赤外線サーベイでしか検出することが出来ない.
またこの領域は,空間的に大きな差異のある減衰の影響があり,このためマイクロレンズのアインシュタイン角半径を導出するのに必要な,ソース天体の特性の推定が難しい.

しかし,ソース天体はおそらく銀河系の far disk に位置しているであろうということを示す.もしこの推定が正しければ,これは far disk に属するものとして識別されたマイクロレンズイベントとしては最小のソース天体である

ベイズ解析を用いてレンズ天体の質量と距離を推定した結果,惑星は 1.47 木星質量,中心星は 0.93 太陽質量,惑星と中心星の射影距離は 4.5 AU と推定される.この系はおよそ 6.6 kpc の距離にあり,おそらくは銀河バルジに属する天体である.

さらに,この領域での標準的でない減光曲線も発見した.これは,銀河中心付近の高減衰領域についての過去の結果と一致するものである

UKIRT でのマイクロレンズサーベイ

2015 - 2016 年にかけて,UKIRT を用いた近赤外線でのマイクロレンズサーベイが行われた.これは,スピッツァー宇宙望遠鏡とケプラーでのマイクロレンズキャンペーンのサポートとして行われた観測プログラムである.

この一環として,低銀緯領域でのマイクロレンズイベントを発見した.これらは可視光のサーベイでは発見されなかった.おそらく可視光ではダストによる減光が大きいためであると考えられる.

今回の惑星は UKIRT サーベイ単独で検出された初めての惑星である.

なお,UKIRT (United Kingdom Infrared Telescope) はハワイ・マウナケアの 3.8 m 望遠鏡である.今回の観測ではこの望遠鏡の,Wide-field NIR camera (WFCAM) を用いている.

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