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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1508.05763
Csizmadia et al. (2015)
Transiting exoplanets from the CoRoT space mission XXVIII. CoRoT-33b, an object in the brown dwarf desert with 2:3 commensurability with its host star
(CoRoTによるトランジット系外惑星観測XXVIII:CoRoT-33b、褐色矮星欠乏領域にある2:3の尽数関係にある天体)
中心星のCoRoT-33はスペクトル型G9V、金属量は [Fe/H] = +0.44とメタルリッチな恒星である。
褐色矮星CoRoT-33bの軌道周期は 5.82日、軌道離心率は 0.07とやや偏心した軌道である。
この褐色矮星は、褐色矮星の発見が有意に少ない"褐色矮星欠乏領域" (brown dwarf desert)のパラメータ領域に発見された褐色矮星である。
公転周期は中心星の自転周期との3:2共鳴の3%以内であり、潮汐進化の理解には重要な要素かもしれない。
中心星に近い(公転周期10日未満)褐色矮星の存在頻度は ~ 0.2%程度である。これは同じ中心星に近い軌道を持つホットジュピターの存在頻度の6分の1である。
褐色矮星の存在頻度は、周期が短くなるに従ってガス惑星の存在頻度よりも速く減少するものと思われる。
褐色矮星のうち、427個が多重連星系になっている。
褐色矮星は多数発見されているものの、F, G, K型星まわりの 2 AU以内を公転する褐色矮星はこれまでに 65個しか発見されていない。このうちトランジットを起こすのは9個のみであり、今回のCoRoT-33bは10個目の発見である。
褐色矮星は、65木星質量の境界を超えて分布している。この境界よりも軽いものは重水素の核融合を起こすことが出来る。また、この境界よりも重いものは一時的なリチウムの核融合イベントも起こす。
一方、惑星では核融合反応には点火しない。
重水素燃焼の有無によって定められる褐色矮星の質量下限は、11 - 16木星質量程度で、この値は金属量によって変化する(Spiegel et al. 2011)。
一般に惑星の質量はこの質量下限よりも小さいが、この領域にオーバーラップすることもある。
例として、"super-planets"はコア集積によって 20 - 40木星質量にまで成長し得るものが存在すると考えられている(Mordasini et al. 2009)。
また、褐色矮星の質量の上限値は 75 - 80木星質量である(Baraffe et al. 2002)。
Chabrier et al. (2014)の提案では、惑星と褐色矮星の境界線は、重水素の核融合に添加するための最小質量ではなく、それぞれの形成シナリオに関連付けられているべきとされる。
この形成機構とその後の進化の違いが、褐色矮星と惑星質量天体の存在頻度の違いと関連している可能性がある。
しかし、太陽型星が 5 AU以内に褐色矮星を持つ頻度はわずか 0.6 - 0.8%である。
この主系列星周りでの褐色矮星の欠乏を、brown dwarf desertと呼ぶ。
より長周期の、軌道長半径が 5 AUを超える褐色矮星の存在頻度については 2 - 3%と、短周期に比べると多くなる。
35 - 55木星質量の質量領域は、周期 100日以下の褐色矮星が特に少ないことが分かっている。
この形成過程の違いが、欠乏領域存在の理由だという考えである。
他の説としては、褐色矮星の内側移動は非常に効率的であるため、褐色矮星は内側に落下して恒星に飲み込まれてしまうというものがある。
これが太陽型星周りの 5 AU以内の褐色矮星が少ない理由だとするものである。
質量:0.86太陽質量
半径:0.94太陽半径
有効温度:5225 K
金属量:[Fe/H] = +0.44
スペクトル型:G9V
年齢:4.6 Gyr以上
CoRoT-33b
質量:59木星質量
半径:1.10木星半径
平均密度:55 ± 29 g cm-3
軌道長半径:0.0579 AU
軌道離心率:0.0700
軌道周期:5.819143日
発見された褐色矮星 (恒星の周りを公転しているもの)を、褐色矮星の軌道周期と質量で分類すると、軌道周期が短い褐色矮星は特に発見数が少ないということが分かっています。
もし存在するのであれば十分に検出可能であるため、観測バイアスではなく、その領域では何らかの原因で褐色矮星が少ない (形成されないか失われる)と考えられています。
その領域の事を "brown dwarf desert"と呼ぶのですが…日本語に訳すと「褐色矮星欠乏領域」でしょうかね。
arXiv:1508.05763
Csizmadia et al. (2015)
Transiting exoplanets from the CoRoT space mission XXVIII. CoRoT-33b, an object in the brown dwarf desert with 2:3 commensurability with its host star
(CoRoTによるトランジット系外惑星観測XXVIII:CoRoT-33b、褐色矮星欠乏領域にある2:3の尽数関係にある天体)
概要
宇宙望遠鏡CoRoTを用いた観測結果の解析から、59木星質量、1.1木星半径の褐色矮星を発見した。中心星のCoRoT-33はスペクトル型G9V、金属量は [Fe/H] = +0.44とメタルリッチな恒星である。
褐色矮星CoRoT-33bの軌道周期は 5.82日、軌道離心率は 0.07とやや偏心した軌道である。
この褐色矮星は、褐色矮星の発見が有意に少ない"褐色矮星欠乏領域" (brown dwarf desert)のパラメータ領域に発見された褐色矮星である。
公転周期は中心星の自転周期との3:2共鳴の3%以内であり、潮汐進化の理解には重要な要素かもしれない。
中心星に近い(公転周期10日未満)褐色矮星の存在頻度は ~ 0.2%程度である。これは同じ中心星に近い軌道を持つホットジュピターの存在頻度の6分の1である。
褐色矮星の存在頻度は、周期が短くなるに従ってガス惑星の存在頻度よりも速く減少するものと思われる。
褐色矮星について
褐色矮星の観測
2015年6月の時点で、2085個の褐色矮星が発見されている。また562個の褐色矮星候補天体も検出されている。褐色矮星のうち、427個が多重連星系になっている。
褐色矮星は多数発見されているものの、F, G, K型星まわりの 2 AU以内を公転する褐色矮星はこれまでに 65個しか発見されていない。このうちトランジットを起こすのは9個のみであり、今回のCoRoT-33bは10個目の発見である。
褐色矮星の特徴
褐色矮星の半径はおおむね木星半径程度であるが、質量は大きく異なる。褐色矮星は、65木星質量の境界を超えて分布している。この境界よりも軽いものは重水素の核融合を起こすことが出来る。また、この境界よりも重いものは一時的なリチウムの核融合イベントも起こす。
一方、惑星では核融合反応には点火しない。
重水素燃焼の有無によって定められる褐色矮星の質量下限は、11 - 16木星質量程度で、この値は金属量によって変化する(Spiegel et al. 2011)。
一般に惑星の質量はこの質量下限よりも小さいが、この領域にオーバーラップすることもある。
例として、"super-planets"はコア集積によって 20 - 40木星質量にまで成長し得るものが存在すると考えられている(Mordasini et al. 2009)。
また、褐色矮星の質量の上限値は 75 - 80木星質量である(Baraffe et al. 2002)。
Chabrier et al. (2014)の提案では、惑星と褐色矮星の境界線は、重水素の核融合に添加するための最小質量ではなく、それぞれの形成シナリオに関連付けられているべきとされる。
この形成機構とその後の進化の違いが、褐色矮星と惑星質量天体の存在頻度の違いと関連している可能性がある。
褐色矮星欠乏領域
太陽型星の ~ 50%は恒星の伴星を持つ。また ~ 30%は地球から海王星サイズの低質量の惑星を持つ。より大質量の惑星 (木星程度かそれ以上)を持つ頻度は ~ 2.5%程度である。しかし、太陽型星が 5 AU以内に褐色矮星を持つ頻度はわずか 0.6 - 0.8%である。
この主系列星周りでの褐色矮星の欠乏を、brown dwarf desertと呼ぶ。
より長周期の、軌道長半径が 5 AUを超える褐色矮星の存在頻度については 2 - 3%と、短周期に比べると多くなる。
欠乏領域がある理由
Ma & Ge (2014)では、35木星質量以下の天体は原始惑星系円盤内の重力不安定によって形成され、55木星質量より重い天体は分子雲の分裂によって形成されたものだと提案されている。35 - 55木星質量の質量領域は、周期 100日以下の褐色矮星が特に少ないことが分かっている。
この形成過程の違いが、欠乏領域存在の理由だという考えである。
他の説としては、褐色矮星の内側移動は非常に効率的であるため、褐色矮星は内側に落下して恒星に飲み込まれてしまうというものがある。
これが太陽型星周りの 5 AU以内の褐色矮星が少ない理由だとするものである。
CoRoT-33とCoRoT-33b
CoRoT-33質量:0.86太陽質量
半径:0.94太陽半径
有効温度:5225 K
金属量:[Fe/H] = +0.44
スペクトル型:G9V
年齢:4.6 Gyr以上
CoRoT-33b
質量:59木星質量
半径:1.10木星半径
平均密度:55 ± 29 g cm-3
軌道長半径:0.0579 AU
軌道離心率:0.0700
軌道周期:5.819143日
発見された褐色矮星 (恒星の周りを公転しているもの)を、褐色矮星の軌道周期と質量で分類すると、軌道周期が短い褐色矮星は特に発見数が少ないということが分かっています。
もし存在するのであれば十分に検出可能であるため、観測バイアスではなく、その領域では何らかの原因で褐色矮星が少ない (形成されないか失われる)と考えられています。
その領域の事を "brown dwarf desert"と呼ぶのですが…日本語に訳すと「褐色矮星欠乏領域」でしょうかね。
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