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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1802.07120
Boneberg et al. (2018)
The extremely truncated circumstellar disc of V410 X-ray 1: a precursor to TRAPPIST-1?
(V410 X-ray 1 の極端に切り取られた星周円盤:TRAPPIST-1 の前駆天体か?)

概要

褐色矮星や非常に低質量の恒星の周りに存在する原始惑星系円盤は,それらの天体のハビタブルゾーン中で地球サイズの惑星が形成するための条件の研究対象として適している.このような目的のもと,今回は非常に低質量な恒星 V410 X-ray 1 まわりの円盤の性質を調査した.

この天体のスペクトルエネルギー分布 (spectl energy distribution, SED) からは,光学的に厚く,外側が極端に切り取られたダスト円盤の存在が示唆される,円盤のモデル化からは,この円盤の外縁半径がわずか 0.6 au であることが示唆される


このような円盤の切り取りを起こし得る 2 つのシナリオについて調査し,そのどちらもが観測された SED を再現出来ることを見出した.

一つ目のシナリオは,円盤内のダストとガスの両方が,おそらくは過去の力学的相互作用か未検出の伴星の存在によって切り取られているというものである.

二つ目のシナリオは,0.6 au という半径が円盤中の水のスノーラインが期待される位置に近いことに起因するものである.
円盤内での効率的なダスト成長,半径方向の移動,そしてそれに引き続くスノーライン内側でのダスト破壊の組み合わせは,光学的に厚く小さいサイズの内側のダスト円盤と,大きく広がった光学的に薄い外側のダスト円盤という構造をもたらす.

これらのシナリオは,一酸化炭素の J = 2-1 遷移での詳細な観測を行って円盤内のガスの広がりを測定することによって,識別することが出来ると考えられる.

今回考慮した多くのモデルでは,0.6 au 以内には少なくとも数地球質量のダストが存在する.このことは,この天体が TRAPPIST-1 のような密集した内側惑星が存在するような惑星系の前駆天体である可能性を示唆している.

V410 X-ray 1 について

V410 X-ray 1 は,140 pc 程度の距離にあるおうし座星形成領域 L1495 の中にある,非常に低質量の恒星である.

スペクトル型は M4 (Andrews et al. 2013),あるいは M2.6 (Herczeg & Hillenbrand 2014) と推定されている.
※注釈:V410 X-ray 1 という天体名について
この天体のカタログ名は,Strom & Strom (1994) の観測でのカタログに由来している.
有名な weak line T Tauri star (WTTS,弱輝線おうし座T型星) である V410 Tau は,L1495 星雲 の中心部に存在する.Strom & Strom (1994) では,この V410 Tau 周辺の一部の領域を ROSAT を用いて X 線で探査している.この中での表中の呼称が天体名の由来である.

V410 X-ray 1 の他に,V410 X-ray 2, 3, 4, 5a, 5b, 6, 7, 8a, 8b, 8c, 8d, 8e, 8f が存在する.また同論文では多波長での観測も行っており,可視光.近赤外線でのサーベイで “anonymous stars” を 27 個同定している.これらは V410 anon NN (例:V410 anon 1) とナンバリングされている.

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