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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1509.00735
Grießmeier et al. (2015)
Galactic cosmic rays on extrasolar Earth-like planets I. Cosmic ray flux
(太陽系外の地球型惑星への銀河宇宙線 I 宇宙線フラックス)
しかし惑星の磁場は、宇宙線粒子を防ぐためのシールド層の一つとなる。
惑星の磁場が弱い場合は、大気へ降り注ぐ銀河宇宙線のフラックスは大きくなる。
ここでは、惑星大気への銀河宇宙線のフラックスを、宇宙線粒子のエネルギーと惑星の磁気モーメントの関数として計算した。
惑星の磁気圏内における粒子の伝播を数値計算した。
また磁気圏による宇宙線の遮蔽の効果を、宇宙線粒子のエネルギーが 16 MeV - 524 GeV、磁場強度が地球の 0倍から 10倍で計算を行った。
その結果、磁場が存在しない場合は、大気への宇宙線粒子のフラックスは 3桁以上上昇することが分かった。
惑星が弱く磁化されている場合 (地球の 5%)、512 MeV以下のエネルギーを持つ宇宙線粒子のみが、少なくとも部分的にシールドされる。
地球と同程度の磁場の場合は、このリミットは 32 GeVにまで上昇し、地球の 10倍の磁場強度を持つ場合は、 ~ 200 GeVでも遮蔽が出来る。
今回のパラメータ領域では、弱く磁化された惑星では強い遮蔽効果は発生しない。
地球程度の磁場の場合は 512 MeV以下の宇宙線粒子は強く遮蔽され、地球の 10倍の磁場強度の場合は 10 GeV以下のものは強く遮蔽される。
10地球質量以下の系外惑星は、太陽型星を回る系外惑星の初発見 (ペガスス座51番星b, 1995年)から 10年ほど経った後に可能となった。
地球の 10倍の質量と言うのは、一般的にスーパーアースと呼ばれる惑星の上限値と見なされている値である(明確な基準は無し)。
初めて視線速度法で検出されたスーパーアースは GJ 876dであり、M型星を回る ~ 7.5地球質量の惑星である (Rivera et al. 2005)。
その後もすぐに様々な手法で発見されている。
例えば、重力マイクロレンズ法を用いて発見された、軌道長半径 ~ 5 AU、5.5地球質量のOGLE-2005-BLG-390Lb (Beaulieu et al. 2006)、トランジット法を用いて発見された、1.7地球半径、7 - 8地球質量の CoRoT-7b (Leger et al. 2009など)である。
しかしこれはここ数年で変化して来ており、スーパーアースにおける磁場の理論的な研究も進んでいる。
系外岩石惑星の磁場に対する理論的なアプローチには様々なものがあるが、それらは全て似た結果を導いている。
すなわち、M型星まわりのスーパーアースは、最も良い場合でも弱く短寿命の磁場を持つ傾向があり、最悪の場合は磁場を持たないというものである。
過去の研究では (Grießmeier et al. 2005, 2009)、K型星・M型星まわりのスーパーアースの磁場を、解析的なスケーリング則に従って推定した。
その結果、スーパーアースの双極磁場の磁気モーメントは、地球の現在の磁気モーメントの 0.02倍〜0.15倍程度になることが示された。
ただし、このような単純化した磁場の定量的推測はあまり信頼性がない。
しかしより複雑なアプローチでは得られる値はモデル依存性だけではなく、詳細な惑星のパラメータにも依存するものになる。
そこでここでは異なる手法を取る。
惑星磁場の磁気モーメントのモデルを適用するのではなく、磁場による遮蔽が惑星の双極磁場の磁気モーメントによってどう変化するかを調べる、というものである。
惑星は軌道長半径が 0.2 AU、地球質量、地球半径の物を想定した。
惑星の双極子磁場の磁気モーメントは、地球の 0倍から 10倍までをパラメータとして振り、宇宙線粒子のエネルギーは 16 MeVから 524 GeVまでを降った。
これは自転が遅い恒星における恒星風のモデルであるが、中心星のパラメータとしては年齢が太陽と同じとしているため、この近似は良いと考えられる。
arXiv:1509.00735
Grießmeier et al. (2015)
Galactic cosmic rays on extrasolar Earth-like planets I. Cosmic ray flux
(太陽系外の地球型惑星への銀河宇宙線 I 宇宙線フラックス)
概要
理論的な予測によると、中心星に近い地球型惑星の場合は、特に地球より重いスーパーアースの場合は弱い磁場を持つだろうということが示唆されている。しかし惑星の磁場は、宇宙線粒子を防ぐためのシールド層の一つとなる。
惑星の磁場が弱い場合は、大気へ降り注ぐ銀河宇宙線のフラックスは大きくなる。
ここでは、惑星大気への銀河宇宙線のフラックスを、宇宙線粒子のエネルギーと惑星の磁気モーメントの関数として計算した。
惑星の磁気圏内における粒子の伝播を数値計算した。
また磁気圏による宇宙線の遮蔽の効果を、宇宙線粒子のエネルギーが 16 MeV - 524 GeV、磁場強度が地球の 0倍から 10倍で計算を行った。
その結果、磁場が存在しない場合は、大気への宇宙線粒子のフラックスは 3桁以上上昇することが分かった。
惑星が弱く磁化されている場合 (地球の 5%)、512 MeV以下のエネルギーを持つ宇宙線粒子のみが、少なくとも部分的にシールドされる。
地球と同程度の磁場の場合は、このリミットは 32 GeVにまで上昇し、地球の 10倍の磁場強度を持つ場合は、 ~ 200 GeVでも遮蔽が出来る。
今回のパラメータ領域では、弱く磁化された惑星では強い遮蔽効果は発生しない。
地球程度の磁場の場合は 512 MeV以下の宇宙線粒子は強く遮蔽され、地球の 10倍の磁場強度の場合は 10 GeV以下のものは強く遮蔽される。
スーパーアースについて
観測技術の向上により、小さい惑星も数多く発見されるようになってきている。10地球質量以下の系外惑星は、太陽型星を回る系外惑星の初発見 (ペガスス座51番星b, 1995年)から 10年ほど経った後に可能となった。
地球の 10倍の質量と言うのは、一般的にスーパーアースと呼ばれる惑星の上限値と見なされている値である(明確な基準は無し)。
初めて視線速度法で検出されたスーパーアースは GJ 876dであり、M型星を回る ~ 7.5地球質量の惑星である (Rivera et al. 2005)。
その後もすぐに様々な手法で発見されている。
例えば、重力マイクロレンズ法を用いて発見された、軌道長半径 ~ 5 AU、5.5地球質量のOGLE-2005-BLG-390Lb (Beaulieu et al. 2006)、トランジット法を用いて発見された、1.7地球半径、7 - 8地球質量の CoRoT-7b (Leger et al. 2009など)である。
惑星の磁気モーメント
最近までは、系外の岩石惑星の磁場は、観測できないだけではなく、理論的にも不明であった。しかしこれはここ数年で変化して来ており、スーパーアースにおける磁場の理論的な研究も進んでいる。
系外岩石惑星の磁場に対する理論的なアプローチには様々なものがあるが、それらは全て似た結果を導いている。
すなわち、M型星まわりのスーパーアースは、最も良い場合でも弱く短寿命の磁場を持つ傾向があり、最悪の場合は磁場を持たないというものである。
過去の研究では (Grießmeier et al. 2005, 2009)、K型星・M型星まわりのスーパーアースの磁場を、解析的なスケーリング則に従って推定した。
その結果、スーパーアースの双極磁場の磁気モーメントは、地球の現在の磁気モーメントの 0.02倍〜0.15倍程度になることが示された。
ただし、このような単純化した磁場の定量的推測はあまり信頼性がない。
しかしより複雑なアプローチでは得られる値はモデル依存性だけではなく、詳細な惑星のパラメータにも依存するものになる。
そこでここでは異なる手法を取る。
惑星磁場の磁気モーメントのモデルを適用するのではなく、磁場による遮蔽が惑星の双極磁場の磁気モーメントによってどう変化するかを調べる、というものである。
計算モデル
中心星と惑星
中心星は、0.5太陽質量、0.46太陽半径で、年齢が 46億年の物を想定。惑星は軌道長半径が 0.2 AU、地球質量、地球半径の物を想定した。
惑星の双極子磁場の磁気モーメントは、地球の 0倍から 10倍までをパラメータとして振り、宇宙線粒子のエネルギーは 16 MeVから 524 GeVまでを降った。
恒星風モデル
この計算中では、Parker (1958)による恒星風のモデルを採用している。これは自転が遅い恒星における恒星風のモデルであるが、中心星のパラメータとしては年齢が太陽と同じとしているため、この近似は良いと考えられる。
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