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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1805.08888
Hwang et al. (2018)
KMT-2016-BLG-1107: A New Hollywood-Planet Close/Wide Degeneracy
(KMT-2016-BLG-1107:近接/遠方縮退の新しい Hollywood 惑星)
レンズ天体に付随する惑星による光度曲線へのアノマリーは,光度曲線が減衰していく先での 2 日間に渡る連続的な “bump” として検出された.これは,ソース天体がレンズ天体の質量比 0.036 の近接伴星による minor-image caustic を完全に覆っているか,あるいは質量比 0.004 の間隔の離れた伴星による major-image caustic を部分的に覆っているかのどちらかによって説明できる.
どちらの場合も,伴星の推定質量は惑星質量の範囲内で,前者は 3.3 木星質量,後者は 0.090 木星質量である.ただし惑星質量の推定に関しては,質量比の推定による惑星の推定質量の違いよりも,中心星の質量の推定値の違いの影響の方が大きい.
この 2 つのシナリオの縮退は,次世代の 30 m 級の望遠鏡による高分解能撮像で区別可能である.
"Hollywood event" というのが具体的にどのようなマイクロレンズイベントなのかは説明がありませんが,語源を辿ると Gould (1997) での記述に遡ることが出来ます.
フランスのパリ天文台で開催された研究会 "12th IAP Astrophysics Meeting: Variable Stars and the Astrophysical Returns of Microlensing Surveys" での講演内容をまとめた集録の中に,Gould による "The Hollywood Strategy for Microlensing Detection of Planets." というものがあります.
ここでは,"Follow the big stars!" として,重力マイクロレンズ法での惑星探査に関して,ソース天体が巨星である場合のマイクロレンズイベントをモニタリングするのが良いという事を強調し,そのような観測戦略を "Hollywood strategy" と講演タイトルの中で表現しています.
Hwang et al. (2018a) などでは,ソース天体が巨星であるイベントを "Hollywood event" と呼んでおり,さらにレンズ天体系によって形成される焦線 (caustic) がソース天体の見かけの大きさの中に全て収まるイベントを "Cannae",一部が収まるイベントを "von Schlieffen" と呼んでいます (由来は不明).
ソース天体が小さい恒星である場合は点源とみなすことができ,点であるソース天体が焦線を "横切る" だけですが,ソース天体が巨星など大きな半径を持つ場合は,焦線を完全に含んでしまったり一部を覆ったりする状態になります.Hwang et al. (2018a) ではそれらをまとめて,ソース天体がレンズ天体系の作る焦線と同程度の見かけのサイズであるか,あるいは大きい場合を "Hollywood event" と呼んでいるようです.
従って,重力マイクロレンズイベントにおいて,レンズ天体系 (恒星と惑星) によって出来る焦線のサイズが,背景のソース天体の見かけのサイズと同程度か,あるいは大きくなっている場合を "Hollywood event" と呼んでいると考えられます.
arXiv:1805.08888
Hwang et al. (2018)
KMT-2016-BLG-1107: A New Hollywood-Planet Close/Wide Degeneracy
(KMT-2016-BLG-1107:近接/遠方縮退の新しい Hollywood 惑星)
概要
重力マイクロレンズイベント KMT-2016-BLG-1107 が,広い間隔の連星と狭い間隔の連星の新しいタイプの縮退を示す "Hollywood" イベントであることを示す.レンズ天体に付随する惑星による光度曲線へのアノマリーは,光度曲線が減衰していく先での 2 日間に渡る連続的な “bump” として検出された.これは,ソース天体がレンズ天体の質量比 0.036 の近接伴星による minor-image caustic を完全に覆っているか,あるいは質量比 0.004 の間隔の離れた伴星による major-image caustic を部分的に覆っているかのどちらかによって説明できる.
どちらの場合も,伴星の推定質量は惑星質量の範囲内で,前者は 3.3 木星質量,後者は 0.090 木星質量である.ただし惑星質量の推定に関しては,質量比の推定による惑星の推定質量の違いよりも,中心星の質量の推定値の違いの影響の方が大きい.
この 2 つのシナリオの縮退は,次世代の 30 m 級の望遠鏡による高分解能撮像で区別可能である.
"Hollywood event" というのが具体的にどのようなマイクロレンズイベントなのかは説明がありませんが,語源を辿ると Gould (1997) での記述に遡ることが出来ます.
フランスのパリ天文台で開催された研究会 "12th IAP Astrophysics Meeting: Variable Stars and the Astrophysical Returns of Microlensing Surveys" での講演内容をまとめた集録の中に,Gould による "The Hollywood Strategy for Microlensing Detection of Planets." というものがあります.
ここでは,"Follow the big stars!" として,重力マイクロレンズ法での惑星探査に関して,ソース天体が巨星である場合のマイクロレンズイベントをモニタリングするのが良いという事を強調し,そのような観測戦略を "Hollywood strategy" と講演タイトルの中で表現しています.
Hwang et al. (2018a) などでは,ソース天体が巨星であるイベントを "Hollywood event" と呼んでおり,さらにレンズ天体系によって形成される焦線 (caustic) がソース天体の見かけの大きさの中に全て収まるイベントを "Cannae",一部が収まるイベントを "von Schlieffen" と呼んでいます (由来は不明).
ソース天体が小さい恒星である場合は点源とみなすことができ,点であるソース天体が焦線を "横切る" だけですが,ソース天体が巨星など大きな半径を持つ場合は,焦線を完全に含んでしまったり一部を覆ったりする状態になります.Hwang et al. (2018a) ではそれらをまとめて,ソース天体がレンズ天体系の作る焦線と同程度の見かけのサイズであるか,あるいは大きい場合を "Hollywood event" と呼んでいるようです.
Originally, the nickname “Hollywood” developed because cases in which the star is big enough that it can envelop the caustic generally correspond to cases in which the star is a giant and therefore are often the brightest objects in the field. However, we use the term here more generally to describe any case in which the source is comparable to or larger than the caustic. In fact, in the WFIRST era (Spergel et al. 2013), even dwarf stars may fully envelop the tiny caustics of extremely low-mass planets that will be detectable.(Hwang et al. (2018a) の脚注より引用)
従って,重力マイクロレンズイベントにおいて,レンズ天体系 (恒星と惑星) によって出来る焦線のサイズが,背景のソース天体の見かけのサイズと同程度か,あるいは大きくなっている場合を "Hollywood event" と呼んでいると考えられます.
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