×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1806.03870
Bonfils et al. (2018)
Radial velocity follow-up of GJ1132 with HARPS. A precise mass for planet 'b' and the discovery of a second planet
(HAPRS での GJ 1132 の視線速度フォローアップ:惑星 b の精密な質量と 2 番目の惑星の発見)
GJ 1132b のトランジットが検出された後,HAPRS で集中的な視線速度のフォローアップ観測を行った.その結果,GJ 1132b を視線速度単独でも検出したことを確認し,観測データをもとに軌道要素を更新した.質量は 1.66 地球質量,密度は 6.3 g cm-3 であり,軌道離心率は 95% の信頼度で 0.22 未満である.
また,少なくとももう一つの惑星 GJ 1132c を新たに検出した.
GJ 1132c はスーパーアースで,8.93 日周期,最小質量は 2.64 地球質量である.地球の 1.9 倍の日射量を受けており,平衡温度は温暖で,アルベドの範囲を 0.75 - 0.00 とすると平衡温度は 230 - 300 K である.この温度は,いわゆるハビタブルゾーンの内縁付近に相当する.
スピッツァーの観測では,GJ 1132c がトランジットを起こす軌道配置になっている可能性は否定され,トランジットを起こしている可能性は 1% 未満と推定される.
その他にも,GJ 1132(d) として 177 日周期の 3 番目の視線速度シグナルも検出された.このシグナルは,最小質量が 8.4 地球質量の惑星候補によるものか,もしくは恒星活動によって引き起こされるものである.
この 3 番目のドップラーシグナルは,今回の HAPRS の観測の中で最も強いものだったが,惑星ではなく,恒星の自転や磁気的周期によっても説明が可能である.一方で,シグナルの周期は恒星の自転周期として測定された値 (~ 125 日) とは異なり,マルコフ連鎖モンテカルロ計算を用いたベイズ統計解析とガウス過程では,相関ノイズよりもケプラー関数として良くシグナルを再現できることが分かった.
しかし,恒星活動に対して敏感な指標であるスペクトル指数のピリオドグラムは,この 3 番目のシグナルと同じ周期で超過を示す.また,恒星活動に誘起された視線速度のずれも,同様にケプラー関数によく一致する.最終的に,GJ 1132(d) のシグナルの原因については未決定としておく.
arXiv:1806.03870
Bonfils et al. (2018)
Radial velocity follow-up of GJ1132 with HARPS. A precise mass for planet 'b' and the discovery of a second planet
(HAPRS での GJ 1132 の視線速度フォローアップ:惑星 b の精密な質量と 2 番目の惑星の発見)
概要
GJ 1132 は,トランジットする地球サイズの惑星 GJ 1132b を持つことが知られている,太陽系近傍の赤色矮星である.GJ 1132b のトランジットが検出された後,HAPRS で集中的な視線速度のフォローアップ観測を行った.その結果,GJ 1132b を視線速度単独でも検出したことを確認し,観測データをもとに軌道要素を更新した.質量は 1.66 地球質量,密度は 6.3 g cm-3 であり,軌道離心率は 95% の信頼度で 0.22 未満である.
また,少なくとももう一つの惑星 GJ 1132c を新たに検出した.
GJ 1132c はスーパーアースで,8.93 日周期,最小質量は 2.64 地球質量である.地球の 1.9 倍の日射量を受けており,平衡温度は温暖で,アルベドの範囲を 0.75 - 0.00 とすると平衡温度は 230 - 300 K である.この温度は,いわゆるハビタブルゾーンの内縁付近に相当する.
スピッツァーの観測では,GJ 1132c がトランジットを起こす軌道配置になっている可能性は否定され,トランジットを起こしている可能性は 1% 未満と推定される.
その他にも,GJ 1132(d) として 177 日周期の 3 番目の視線速度シグナルも検出された.このシグナルは,最小質量が 8.4 地球質量の惑星候補によるものか,もしくは恒星活動によって引き起こされるものである.
この 3 番目のドップラーシグナルは,今回の HAPRS の観測の中で最も強いものだったが,惑星ではなく,恒星の自転や磁気的周期によっても説明が可能である.一方で,シグナルの周期は恒星の自転周期として測定された値 (~ 125 日) とは異なり,マルコフ連鎖モンテカルロ計算を用いたベイズ統計解析とガウス過程では,相関ノイズよりもケプラー関数として良くシグナルを再現できることが分かった.
しかし,恒星活動に対して敏感な指標であるスペクトル指数のピリオドグラムは,この 3 番目のシグナルと同じ周期で超過を示す.また,恒星活動に誘起された視線速度のずれも,同様にケプラー関数によく一致する.最終的に,GJ 1132(d) のシグナルの原因については未決定としておく.
PR
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック