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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1807.05267
Mullan & Bais (2018)
Photosynthesis on a planet orbiting an M dwarf: enhanced effectiveness during flares
(M 矮星を公転する惑星における光合成:フレアの最中の増幅された有効性)

概要

M 矮星の近くを公転する惑星では, 400 - 700 nm の間の波長を持つ可視光の光子の供給に依存した効率で光合成が起きる.

ここでは M 矮星に関連した 2 つの文脈で,周囲の惑星における光合成の効率を定量化した.まずは,静穏でフレアを起こしていない状態の M 矮星からの光子による光合成について調べた.

その結果,M 矮星周りでは,恒星のハビタブルゾーン内にある惑星での光合成は,地球での光合成の効率よりも 10 倍ほど低いことを見出した.これは M 型星が中期 M 型のスペクトル型を持ち,フレア星である場合の値である.晩期 M 型のスペクトル型を持つフレア星の場合は,光合成の効率は地球よりも 100 倍かそれ以上低い値となる.


次に,フレアの最中にハビタブルゾーン内の惑星に入射する光子を使用して光合成の効率について調査した.

その結果,フレアの最中における光合成の効率は,静穏時の値の 5 - 20 倍になることが分かった.中期 M 型星のフレア星の場合,フレアの最中の光合成の効率は地球での光合成の効率の 50 - 60% 程度にまで増加することがある.しかし晩期 M 型星のフレアでは,フレアの最中であっても光合成の効率は地球よりおおむね一桁ほど小さい値に留まる.

これらの結果を考慮すると,M 矮星まわりの惑星における生物学的な過程に関しては,公転周期による変化よりも恒星の活動サイクルによる変化の方が支配的になるだろうと考えられる

M 型星まわりでの "年" のサイクル

“年” のタイムスケールに関して,地球では公転平面に対する自転軸の傾きによってある緯度における光子のフラックスに変動が生じ,それによって軌道周期によって季節のサイクルが生じる (これが 1 年にあたる).

しかし,M 矮星周りのハビタブルゾーン内の惑星は,地球より軌道周期が短い.例えば TRAPPIST-1 でのハビタブルゾーン内の惑星 TRAPPIST-1e, f, g は,軌道周期が 6 - 12 日である.

惑星の温度が 288 K だとして,この温度での化学反応に必要な有限のタイムスケールを考えると,TRAPPIST-1 のハビタブルゾーン内の惑星上の植物が,わずか数日の間に,成長と休眠の完全なサイクルをどう辿ることになるのか,想像するのは難しい.
その一方で,もし光合成が中心星のフレアによる輻射で増幅される場合,その中心星の活動サイクルの周期は,光合成活動の自然な過程を提供しうる.

そのため M 型星まわりのハビタブルゾーンにある惑星では,"年" のサイクルは軌道周期によって決まるのではなく,中心星の活動サイクルによって決まる可能性がある.

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