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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1807.10871
Ida et al. (2018)
Slowing Down Type II Migration of Gas Giants to Match Observational Data
(観測データと一致する巨大ガス惑星のタイプ II 軌道移動の減速)

概要

視線速度サーベイで得られた系外惑星系の巨大ガス惑星の質量と軌道長半径分布では,スーパージュピター質量の惑星が 1 au 程度以遠に多く存在している (パイルアップしている) ことが分かっている.その一方で,木星質量やサブジュピター質量の惑星は,~ 0.03 au から 1 au 以遠までの広い範囲に分布している.この特徴は,理論的な予測ではまだ説明できていない.

この非整合性を説明するため,Kanagawa et al. (2018) による,新しいタイプ II 惑星移動の公式を用いて巨大ガス惑星の進化について調査を行った.ガス惑星の軌道移動と成長のタイムスケール,円盤寿命の比較と,種族合成ミュレーションを用いた.

従来の惑星軌道移動モデルでは,巨大ガス惑星は原始惑星系円盤の中に明確なギャップを開け,惑星の移動は円盤のガス降着に固定されていると仮定されていた.
一方で,最近の高分解能シミュレーションでは,ギャップを形成している惑星の軌道移動は円盤のガス降着から分離していることが示さている.また Kanagawa et al. (2018) では,タイプ II 惑星移動の速度は,ギャップの中での減少した円盤ガス表面密度の中におけるタイプ I 惑星移動に他ならないことを提案している.

この新しい公式を用いると,円盤の降着が最近の MHD シミュレーションで示唆されているような円盤風によって駆動されている場合,スーパージュピター質量の惑星の場合はタイプ II 惑星移動が大きく低下することが示された.これを元にした種族合成シミュレーションでは,円盤の光蒸発のような追加の要素がなくても,スーパージュピター質量の惑星は 1 au 程度以遠に留まることが示された

従って,重い巨大ガス惑星が 1 au 程度以遠におけるパイルアップの謎は,もし惑星の軌道移動に関する新しい公式が正しいことが確認され,また円盤風駆動による円盤降着が支配的である場合は,解決されるだろう.

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