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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1808.02485
Kao et al. (2018)
The Strongest Magnetic Fields on the Coolest Brown Dwarfs
(最も低温な褐色矮星の最も強い磁場)
それぞれの観測対象を 7 時間に渡って観測した.観測は,これまでに行なわれたものよりも高周波数の範囲までをカバーしている.この観測によって,これらの褐色矮星の最大表面磁場強度に比例してより高い上限値を与えた.
今回の観測対象のうち 4 天体で,8 - 12 GHz の円偏光パルスを検出し,局所的な磁場強度が 3.2 - 4.1 kG という測定値を得た.この 4 天体の中には,原型的な大気中の雲による変動を持ち,惑星質量天体である可能性が高い T2.5 型星 SIMP J01365663+0933473 を含んでいる.
また,T6.5 矮星である 2MASS 10475385+2124234 から,15 - 16.5 GHz でのパルスを検出した,この電波放射は,この天体の局所的な磁場強度が 5.6 kG であることにに対応している.また,同じ天体に対して,暫定的に 16.5 - 18 GHz でのパルスを検出し,これは 6.2 kG の磁場強度に相当する.
また 2MASS J10430758+2225236,2MASS J12373919+6526148 および SDSS J04234858-0414035 に対して,自転周期を 1.47 - 2.28 時間と測定した.
これらの結果は,
(i) 対流ダイナモで強い双極子磁場を生成するためには,天体の高速な自転が重要であるという新しい合意
(ii) 天体の高速な自転は,現在の系がオーロラ電波放射にエネルギーを供給するための重要な要素である
という主張のどちらか,あるいは両方を支持するものである.
今回の観測では,観測ターゲットの周波数依存した時系列における,自転周期よりも短いタイムスケールでの変動構造が存在する証拠を観測した.これは,褐色矮星の表面付近での大きな変動性の存在を示唆している.
今回の観測でこの天体から検出された電波は,4.75 GHz で大きく円偏光を示している (72% 程度以上).フォローアップ観測で,静穏な放射と電子サイクロトロンメーザー (electron cyclortron maser, ECM) の両方を検出した.
赤外線波長での振幅の大きな変動は,L/T 遷移矮星には高頻度で見られる傾向である.これは,大気中の部分的な雲に原因があると考えられている.
この天体からの Hα 放射は検出されていないが,リチウム由来のシグナルが異常に強いことが分かっている.この天体は,明確なリチウム検出が報告されている中では最も晩期型の天体である.これは,この天体の年齢が若いことを示唆している (Pineda et al. 2016).
Kao et al. (2016) では,有効温度は 1089 K,0.022 太陽質量,年齢は 6 億歳と推定している.
最近,Gagne et al. (2017) によって年齢が 2 億歳程度の Carina-Near 運動集団に属している可能性が報告されている.この天体のボロメトリック光度の経験的な測定と Saumon & Marley (2008) のモデルを用いると,半径は 1.22 木星半径,有効温度は 1098 K,質量は 12.7 木星質量と推測される.
Kao et al. (2016) では,有効温度 1390 K,0.011 太陽質量,6 億歳と推定されている.
強い Hα の放射と,リチウムの吸収が検出されている.有効温度は 1678 K,0.015 太陽質量,4.9 億歳と推定されている.しかしこれらの推定値は,連星の両方が混合したスペクトルに基づいているため,値は不正確である.
arXiv:1808.02485
Kao et al. (2018)
The Strongest Magnetic Fields on the Coolest Brown Dwarfs
(最も低温な褐色矮星の最も強い磁場)
概要
Karl G. Jansky Very Large Array (VLA) を用いて,電波を放射していることが知られている 5 個の L, T 型矮星を観測した.これらの天体の年齢は 2 - 34 億歳である.それぞれの観測対象を 7 時間に渡って観測した.観測は,これまでに行なわれたものよりも高周波数の範囲までをカバーしている.この観測によって,これらの褐色矮星の最大表面磁場強度に比例してより高い上限値を与えた.
今回の観測対象のうち 4 天体で,8 - 12 GHz の円偏光パルスを検出し,局所的な磁場強度が 3.2 - 4.1 kG という測定値を得た.この 4 天体の中には,原型的な大気中の雲による変動を持ち,惑星質量天体である可能性が高い T2.5 型星 SIMP J01365663+0933473 を含んでいる.
また,T6.5 矮星である 2MASS 10475385+2124234 から,15 - 16.5 GHz でのパルスを検出した,この電波放射は,この天体の局所的な磁場強度が 5.6 kG であることにに対応している.また,同じ天体に対して,暫定的に 16.5 - 18 GHz でのパルスを検出し,これは 6.2 kG の磁場強度に相当する.
また 2MASS J10430758+2225236,2MASS J12373919+6526148 および SDSS J04234858-0414035 に対して,自転周期を 1.47 - 2.28 時間と測定した.
これらの結果は,
(i) 対流ダイナモで強い双極子磁場を生成するためには,天体の高速な自転が重要であるという新しい合意
(ii) 天体の高速な自転は,現在の系がオーロラ電波放射にエネルギーを供給するための重要な要素である
という主張のどちらか,あるいは両方を支持するものである.
今回の観測では,観測ターゲットの周波数依存した時系列における,自転周期よりも短いタイムスケールでの変動構造が存在する証拠を観測した.これは,褐色矮星の表面付近での大きな変動性の存在を示唆している.
観測対象
2MASS 10475385+2124234
2M1047 はスペクトル型 T6.5 の矮星である.この天体は,電波の周波数領域で検出された初めての T 型矮星である (Route & Wolszczan 2012).今回の観測でこの天体から検出された電波は,4.75 GHz で大きく円偏光を示している (72% 程度以上).フォローアップ観測で,静穏な放射と電子サイクロトロンメーザー (electron cyclortron maser, ECM) の両方を検出した.
SIMP J01365662+0933473
SIMP0136 はスペクトル型 T2.5 の矮星であり,J, Ks バンドでの測光観測から,変動幅が 5% 以上で 2.3805 日周期の大きな変動を持つことが知られている (Artigau et al. 2009,Croll et al. 2016).赤外線波長での振幅の大きな変動は,L/T 遷移矮星には高頻度で見られる傾向である.これは,大気中の部分的な雲に原因があると考えられている.
この天体からの Hα 放射は検出されていないが,リチウム由来のシグナルが異常に強いことが分かっている.この天体は,明確なリチウム検出が報告されている中では最も晩期型の天体である.これは,この天体の年齢が若いことを示唆している (Pineda et al. 2016).
Kao et al. (2016) では,有効温度は 1089 K,0.022 太陽質量,年齢は 6 億歳と推定している.
最近,Gagne et al. (2017) によって年齢が 2 億歳程度の Carina-Near 運動集団に属している可能性が報告されている.この天体のボロメトリック光度の経験的な測定と Saumon & Marley (2008) のモデルを用いると,半径は 1.22 木星半径,有効温度は 1098 K,質量は 12.7 木星質量と推測される.
2MASS J10430758+2225236
2M1043 は,異常に赤い L8 型の矮星であり,Hα 線での放射が暫定的に報告されている (Cruz et al. 2007).Kao et al. (2016) では,有効温度 1390 K,0.011 太陽質量,6 億歳と推定されている.
2MASS J12373919+6526148
2M1237 は T6.5 型の矮星であり,異常に活発な Hα 放射が検出されている.有効温度は 831 K,0.028 太陽質量以上の質量を持ち,推定される年齢は 34 億歳以上である.SDSS J04234858-0414035
SDSS0423 は L6/T2 の連星である.連星間の間隔は 0”.16 である.強い Hα の放射と,リチウムの吸収が検出されている.有効温度は 1678 K,0.015 太陽質量,4.9 億歳と推定されている.しかしこれらの推定値は,連星の両方が混合したスペクトルに基づいているため,値は不正確である.
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