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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1808.10790
Petit dit de la Roche et al. (2018)
Molecule mapping of HR8799b using OSIRIS on Keck: Strong detection of water and carbon monoxide, but no methane
(Keck の OSIRIS を用いた HR 8799b の分子マッピング:水と一酸化炭素の強い検出も,メタンの検出なし)
ここでは,観測データを解析するための molecule mapping (分子マッピング) と呼ばれる新しい手法を開発した.これは Integral Field Unit (IFU) のデータキューブ (3 次元配列データ) 中の,特定の分子の高周波の特徴を探査する手法である.
この論文の目的は,分子マッピングの技術を用いて,過去に検出されている HR 8799b 大気のスペクトルの特徴を,同じ観測データ中から探査することである.この解析を行うことにより,分子マッピング手法を過去の解析手法と比較することができる.
パイプラインでリダクションされた,H と K バンドの中分散のアーカイブデータを,Keck アーカイブ装置の中から復元した.地球大気と恒星大気によるスペクトル線の影響を除去し,残ったデータを一酸化炭素,水,メタンのモデルスペクトルと相互相関して解析を行った.
その結果,大気スペクトル中に一酸化炭素と水は高いシグナルノイズ比で明確に検出された.しかし過去に報告されていたメタンの特徴は復元できなかった.
HR 8799b の OSIRIS データの解析において,分子マッピングは非常に有効であることが示された.
しかし,なぜ過去の解析ではメタンが検出され,今回の分子マッピング技術では検出されなかったのかは明確ではない.考えられる原因としては,地球大気の影響を除去した際の残差の存在や,スペクトルフィルタリング技術の差異,あるいはメタンのスペクトルモデルとして異なるものを使用していたという可能性がある.
なお過去の解析では,メタンは K バンドでのみ検出されているが,モデルでは H バンドでのメタンのシグナルも K バンドと同様の強度になることが予想されているという点に注意が必要である.
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によるより感度の高い観測によって,この惑星におけるメタンの存在をより高い信頼度を持って確認,もしくは否定できるだろう.
arXiv:1808.10790
Petit dit de la Roche et al. (2018)
Molecule mapping of HR8799b using OSIRIS on Keck: Strong detection of water and carbon monoxide, but no methane
(Keck の OSIRIS を用いた HR 8799b の分子マッピング:水と一酸化炭素の強い検出も,メタンの検出なし)
概要
Barman et al. (2015) では,直接撮像で発見されている系外惑星 HR 8799b の大気から,水,一酸化炭素,メタンの吸収を検出したと報告している.Barman et al. (2015) の観測は,Keck II 望遠鏡の OSIRIS を用いた積分場分光観測 (integral field spectroscopy, IFS) を使用している.ここでは,観測データを解析するための molecule mapping (分子マッピング) と呼ばれる新しい手法を開発した.これは Integral Field Unit (IFU) のデータキューブ (3 次元配列データ) 中の,特定の分子の高周波の特徴を探査する手法である.
この論文の目的は,分子マッピングの技術を用いて,過去に検出されている HR 8799b 大気のスペクトルの特徴を,同じ観測データ中から探査することである.この解析を行うことにより,分子マッピング手法を過去の解析手法と比較することができる.
パイプラインでリダクションされた,H と K バンドの中分散のアーカイブデータを,Keck アーカイブ装置の中から復元した.地球大気と恒星大気によるスペクトル線の影響を除去し,残ったデータを一酸化炭素,水,メタンのモデルスペクトルと相互相関して解析を行った.
その結果,大気スペクトル中に一酸化炭素と水は高いシグナルノイズ比で明確に検出された.しかし過去に報告されていたメタンの特徴は復元できなかった.
HR 8799b の OSIRIS データの解析において,分子マッピングは非常に有効であることが示された.
しかし,なぜ過去の解析ではメタンが検出され,今回の分子マッピング技術では検出されなかったのかは明確ではない.考えられる原因としては,地球大気の影響を除去した際の残差の存在や,スペクトルフィルタリング技術の差異,あるいはメタンのスペクトルモデルとして異なるものを使用していたという可能性がある.
なお過去の解析では,メタンは K バンドでのみ検出されているが,モデルでは H バンドでのメタンのシグナルも K バンドと同様の強度になることが予想されているという点に注意が必要である.
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によるより感度の高い観測によって,この惑星におけるメタンの存在をより高い信頼度を持って確認,もしくは否定できるだろう.
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