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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1711.07294
Martioli et al. (2017)
A survey of eight hot Jupiters in secondary eclipse using WIRCam at CFHT
(CFHT の WIRCam を用いた 8 個のホットジュピターの二次食のサーベイ)

概要

トランジットする 8 個のホットジュピターに対し,二次食 (secondary eclipse,惑星が中心星の背後に隠れる現象) が予想される時間帯に,近赤外領域での高分散測光観測を行った.観測対象は,WASP-12, KELT-4A, WASP-14, TrES-4, ケプラー5, KELT-2A, KELT-7, WASP-31, HAT-P-33 である.
観測は,Canada-France-Hawaii Telescope (CFHT,カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡) の WIRCam 装置を用いて行った.

観測データから惑星と恒星のフラックス比を測定し,惑星の輝度温度を測定することで,ホットジュピターの昼側からの熱放射への制約を与えた.

過去の観測と今回の結果を合わせた結果,広い範囲の熱再分配効率に対する惑星の平衡温度に対して予測される黒体放射と比較して,輝度温度には超過が見られることが明らかになった.またこの超過は,平衡温度が低い惑星に対しては大きく現れる傾向があることを見出した.

この事は,惑星表面での反射光や,惑星形成時の内部熱の残余に起因する熱放射など,追加の熱源の存在を示唆する.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1711.06377
Petigura et al. (2017)
Planet Candidates from K2 Campaigns 5-8 and Follow-Up Optical Spectroscopy
(K2 の Campaign 5-8 での惑星候補と可視分光フォローアップ)

概要

ケプラー K2 ミッションの Campaign 5 - 8 の期間に行われた観測データから,141 個の恒星周りの,151 個の惑星候補天体を検出した.これは,K2 測光データの系統的な探査を通じて同定を行ったものである.

また,光度曲線の形状に基づき,16 個の対象は惑星起源のシグナルではなく,食連星であると同定した.

141 個の恒星のうち 105 個で,フォローアップ観測から可視光でのスペクトルを得た.また,16 個の食連星のうち 8 個でも可視光のスペクトルを得た.
分光観測を用いることで,主星の半径を ~10% の精度で測定することが出来る.広帯域の測光観測データのみでは,主星の半径の決定精度は ~ 40% にとどまる.恒星半径の測定精度を上げることは,トランジットする惑星の半径の測定精度を上げることに繋がる.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1711.06618
Dybczyński & Królikowska (2017)
On the dynamical history of the recently discovered interstellar object A/2017 U1 - where does it come from?
(最近発見された恒星間天体 A/2017 U1 の力学的な履歴についてーどこからやってきたのか?)

概要

太陽系外天体 A/2017 U1 (現在の呼称は 1I/2017 U1 ('Oumuamua)) の母天体を探る試みについて報告する.

この天体の母天体となりうる 200000 個以上の天体を確認した結果,いくらかの候補天体を同定した.

太陽から 30 pc 以内の天体に範囲を絞ると,起源としてもっともらしいと思われる天体は UCAC4 535-065571 だが,GJ 876 起源である可能性もも完全には排除できない.しかし,より遠い天体からやってきた可能性については未解決の問題であり,また明確な主星は同定出来なかった.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1711.05735
Schneider (2017)
Is 1I/2017 U1 really of interstellar origin ?
(1I/2017 U1 は本当に星間起源か?)

概要

1I/2017 U1 が,実際は太陽系内部に起源を持つ天体であり,最近の太陽系天体との遭遇によって太陽系からはじき出されている最中である,という可能性について検証を行った

Laughlin & Batygin (2017) で指摘されている通り,木星と海王星の 2 つは太陽系内天体を太陽から遠方に弾き飛ばすのに十分な質量を持つ.この時,\(f0\left(\left(M_{\rm pl}a\right)/\left(M_{\ast}R_{\rm pl}\right)\right)\) が十分に 1 より大きい場合は,遭遇した小天体は太陽系からはじき出される.

しかしこの可能性は,1I/2017 U1 の軌道傾斜角が 33° という大きな値を持つことから否定される (de la Fuente Marcos & de la Fuente Marcos 2017).(1I/2017 U1 ('Oumuamua) の軌道傾斜角は,惑星の軌道面を基準にした場合 123°,)
そのため,この天体は木星や海王星と近接遭遇することができない

ただし,仮説上の天体である Planet Nine (Batygin & Brown 2016) の場合は状況が異なる.これは,Planet Nine の軌道傾斜角は 18 - 48° あると予想されており,さらに太陽からの距離が 500 AU で質量が 10 地球質量程度と予想され,上記の f の値は 10 程度になり得ることが原因である.
太陽系外縁部では彗星は非常に一般的な存在であるのに対し,揮発性物質に乏しい小惑星は検出されていない.そのため,遠方の惑星によって初めて明確な双曲線軌道に加速されているのが発見されたのが,彗星ではなく小惑星であるというのは可能性が低い,という主張が有り得る.
これはたしかに非常に低確率なことではあるが,非常に稀なカテゴリの天体を偶然に検出しただけであるということは論理的にありえなくはない.


結論として,太陽系内の小惑星の軌道上に別の未知の惑星 (Planet Nine など) が存在しない限り,この天体は星間空間から直接やってきた天体であると結論付けられる.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1711.05739
Luger et al. (2017)
Planet-Planet Occultations in TRAPPIST-1 and Other Exoplanet Systems
(TRAPPIST-1 とその他の系外惑星系における惑星同士の掩蔽)

概要

系外惑星系における惑星相互食 (planet-planet occultations, PPOs) の頻度と,その検出可能性についての研究を行った.惑星相互食とは,同じ系内において惑星が別の惑星を隠すことによって,背後の惑星からの熱的放射あるいは反射光がブロックされ,光度曲線中に小さいシグナルを引き起こす現象である.


ここでは,TRAPPIST-1 の惑星に焦点を当てる.

この惑星系のそれぞれの惑星の軌道面は,90% の信頼度で 0.3° の範囲内に収まっている.TRAPPIST-1 やその他の惑星系において,惑星大気の様々な状態の仮定のもとで,PPO について予測し計算するための光力学モデルを提示する.

全ての軌道要素の不確定性を除外すると,TRAPPIST-1 系での PPOs の頻度は,1 日あたり 1.4 回と予測される.ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を用いて観測した場合のこれらのイベントの検出の見通しを調査した.その結果,12 - 15 µm の範囲において,TRAPPIST-1b と TRAPPIST-1c の掩蔽が,年間 ~ 10 - 20 回,ノイズレベルを上回るシグナルを示す可能性があることを見出した.

これらの PPOs のいくつかのジョイントモデリングから,確実な検出に繋がる可能性がある.あるいは,将来的に計画されている Origins Space Telescope による観測の場合は,高いシグナルノイズ比でそれぞれの PPOs を検出できるだろうと期待される.

PPOs の検出により,トランジット時刻変動の縮退を解き,惑星の軌道離心率や質量に強い制限を与え,交点経度も制約を与えることができる.従って,惑星系の完全な三次元構造に対して制約を与えることが出来る.さらにこれらのイベントのモデリングを使用し,惑星の昼・夜の温度差を明らかにし,大まかな表面マップを作成する方法についても示す.

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