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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1707.06575
Huitson et al. (2017)
Gemini/GMOS Transmission Spectral Survey: Complete Optical Transmission Spectrum of the hot Jupiter WASP-4b
(Gemini/GMOS 透過スペクトルサーベイ:ホットジュピター WASP-4b の完全な可視光透過スペクトル)

概要

ホットジュピター WASP-4b の可視光の透過光スペクトルを,440 - 940 nm の波長帯で分解能 R ~ 400 - 1500 で観測した.

観測には Gemini Multi-Object Spectrometers (GMOS) を使用した.今回の観測は,GMOS を用いた近接ガス惑星の比較系外惑星学サーベイブログラムにおける最初の結果である.
WASP-4b は平衡温度が 1700 K であり,大気のスケールハイトが 370 km と大きいため大気透過光の観測に適した天体である.

この惑星において,計 4 回の透過スペクトルを取得し,フォトンノイズの 2 倍以上の精度で透過スペクトルを導出した.これは大気の 1 スケールハイトにおおむね相当する大きさである.

透過スペクトルは,波長の関数として一様な不透明度でよくフィットできた.一様な不透明度と水素分子によるレイリースロープの欠如から,この惑星の大気は凝縮物の粒子サイズが ~ 1 µm からなる雲によって占められている事が示唆される

WASP-4b と類似した平衡温度を持つ惑星での同様の観測では,同じく一様なスペクトルを示し,大気中における雲の存在が示唆されている.そのため今回の結果は過去の類似したホットジュピターの観測と整合的である.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1707.04262
Talens et al. (2017)
MASCARA-1 b: A hot Jupiter transiting a bright mV=8.3 A-star in a misaligned orbit
(MASCARA-1b:明るい V=8.3 の A 型星をずれた軌道でトランジットするホットジュピター)

概要

Multi-site All-Sky CAmeRA (MASCARA) によって発見された,初めての系外惑星 MASCARA-1b について報告する.この惑星は,V バンド等級が 8.3 等級と明るく,高速で自転する (射影した自転速度 > 100 km s-1) A8 星の周りを,2.148780 日周期で公転するホットジュピターである.惑星の質量と半径はそれぞれ,3.7 木星質量,1.5 木星半径であった.

早期型の恒星の周りをトランジットするホットジュピターの多くは,惑星の公転軸と恒星の自転軸が揃っていないことが分かっていて,これはこれらの惑星の形成と軌道移動の歴史を反映していると考えられている.

MASCARA-1b の平均密度は 1.5 ± 0.9 g cm-3 で,平衡温度は 2570 K であった.これまで見つかっているホットジュピターの中でも最も高温の部類の一つである.

この系を他の惑星系と比較すると,WASP-33 系に類似している.しかし中心星は WASP-33 とは異なり,delta-Scuti 型変光 (たて座デルタ型変光) を示さない.そのため,今後の観測による大気の特徴付けに適していると考えられる.

MASCARA について

明るく早期型の恒星まわりでのトランジット惑星の探査には観測バイアスが存在し,これらの恒星の周りでは少数の惑星しか発見されていなかった.このパラメータ空間のギャップを埋めるため,等級が 4 - 8.4 の間のすべての恒星の探査を行うことが MASCARA を用いたサーベイ観測の目的である.

MASCARA は,南北の 2 箇所に装置が設置.北は La Palma に位置しており,科学観測は 2015 年から開始した.

パラメータ

MASCARA-1
別名:HD 201585, HIP 104513
年齢:1.0 Gyr
有効温度:7554 K
質量:1.72 太陽質量
半径:2.1 太陽半径
MASCARA-1b
半径:1.5 木星半径
質量:3.7 木星質量
平衡温度:2570 K
軌道周期:2.148780 日
軌道長半径:0.043 AU
射影された傾斜角:69.5°

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1707.04292
Cloutier et al. (2017)
Characterization of the K2-18 multi-planetary system with HARPS: A habitable zone super-Earth and discovery of a second, warm super-Earth on a non-coplanar orbit
(HARPS を用いた K2-18 複数惑星系の特徴付け:ハビタブルゾーンのスーパーアースと、同一平面上にない温暖な二番目のスーパーアースの発見)

概要

K2-18 は明るい M2.5 矮星であり,質量と半径はそれぞれ 0.36 太陽質量,0.41 太陽半径である.また太陽系からの距離は 34 pc である.

この恒星は,ハビタブルゾーン内を公転するスーパーアースサイズの惑星 K2-18b を持つことが知られている.この系の大気の組成を解釈し,また惑星の全体の組成についての情報を得るために,惑星の質量の特徴付けを試みた.HAPRS 分光器を用いて,K2-18 の詳細な視線速度観測を行った.

その結果,K2-18b の質量は 8.0 ± 1.9 地球質量,平均密度は 3.7 ± 0.9 g cm-3 であった.これは,岩石主体の本体の周りに大量のガスエンベロープをまとっているか,質量に占める水の割合が 50%を超える海洋惑星であるかのどちらかであると考えられる.

また,2 番目の温暖なスーパーアース K2-18c (最小質量 7.5 ± 1.3 地球質量) が存在する証拠を発見した.この惑星は,軌道周期が 9 日程度であり,軌道長半径は K2-18b より ~ 2.4 倍小さい値であった.

K2-18 の光度曲線を再解析した結果,K2-18c によるトランジットは検出されなかった,従って,K2-18c の軌道平面は K2-18b とは同一平面上にないと考えられる.

力学的積分を用いて,系の力学的安定性を数値的に確認した.
数値計算上での 2 惑星の軌道離心率をパラメータとして変化させることで,両惑星の軌道離心率として,それぞれ < 0.43 と < 0.47 という上限値を得た.今回の K2-18c の発見により,M 型矮星のまりには複数惑星が存在する傾向が高いという傾向が補強される.

K2-18b の平均密度より,この惑星はおそらく分厚いガスエンベロープを保持する惑星であると考えられる.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1707.04549
Smith et al. (2017)
EPIC 228813918 b: an Earth-sized planet in a 4.3-hour orbit around an M-dwarf
(EPIC 228813918b:M 型矮星を 4.3 時間で公転する軌道にいる地球サイズの惑星)

概要

M3 星の周りに,超短周期軌道でトランジットする地球型惑星を発見した.検出には,ケプラーの K2 ミッションでの測光観測データが用いられた.

今回発見された EPIC 228813918b は,軌道を一周するのにかかる時間はわずか 4.3 時間であり,これまでに知られている系外惑星の中で 2 番目に短い公転周期を持つ.なお,最も軌道周期が短いのは KOI 1843.93 で,この惑星も M 型星を公転しているが.EPIC 228813918b の軌道周期は KOI 1843.93 の軌道周期よりわずか 4 分長いだけである.

アーカイブデータ,補償光学を用いた撮像観測,視線速度測定,光度曲線のモデリングの組み合わせから,K2 の光度曲線は食連星シナリオでは説明できず,惑星由来のシグナルであることを示した.この惑星は 0.89 地球半径であり,組成として鉄の割合が 0.45 より大きい必要がある.また中心星は 0.463 太陽質量,0.442 太陽半径である.

パラメータ

EPIC 228813918
有効温度:3492 K
半径:0.442 太陽半径
金属量:[Fe/H] = 0.08
質量:0.463 太陽質量
光度:0.0264 太陽光度
距離:95 pc
スペクトル型:M3V
EPIC 228813918b
軌道周期:0.179715 日
半径:0.89 地球半径
質量の 3 σ 上限値:0.7 地球質量
軌道長半径:0.0058 AU
平衡温度:1471 K

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arXiv:1707.03345
Murgas et al. (2017)
The GTC exoplanet transit spectroscopy survey. VII. An optical transmission spectrum of WASP-48b
(GTC 系外惑星トランジット分光サーベイ VII.WASP-48b の可視光透過スペクトル)

概要

口径 10 m の Gran Telescopio Canarias (GCT) を用いて,系外惑星大気の透過スペクトルを観測するサーベイを行っている.ここでは WASP-48b の観測結果について報告する.この惑星は F 型の恒星のまわりを 2.14 日で公転するホットジュピターである.

Optical System for Imaging and low-Intermediate-Resolution Integrated Spectroscopy (OSIRIS) 分光器を用いて透過光スペクトルを取得した.波長ごとのトランジット深さを決定し,その結果を大気モデルを比較した.

その結果,530 - 905 nm の波長帯でのトランジット深さの測定結果は,過去の観測と整合するものだった.また,WASP-48b の透過スペクトルは比較的平坦であり,何らかの大気成分の統計的に有意な検出は見られなかった.しかし理論モデルとのフィットでは,TiO と VO を含む大気モデルと近い.

WASP-48b について

この惑星の発見は Enoch et al. (2011) によるものであり,トランジット法により WASP サーベイの一環として検出された.

中心星 WASP-48 はやや進化した F 型星で,V バンド等級は 11.72.1.19 太陽質量,1.75 太陽半径.有効温度は 6000 K である.Enoch et al. (2011) によると,惑星質量は 0.98 木星質量,半径 1.67 木星半径,軌道周期 2.14 日であった.

O’Rourke et al. (2014) では,スピッツァー宇宙望遠鏡を用いて,H バンド,Ks バンド,3.5 µm,4,5 µm で惑星の二次食 (secondary eclipse) を観測した.その時の惑星の昼側の放射スペクトルのフィッティングから,惑星の有効温度を 2158 K と測定した.また,Fortney et al. (2008) と Burrows et al. (2008) の大気モデルを元にすると,この惑星の大気中には温度逆転層は存在しないか,存在したとしても弱いものであると結論付けた.

Ciceri et al. (2015) では多色測光観測を行い,恒星のパラメータを改善した.その観測によると,恒星は 1.062 太陽質量,1.519 太陽半径であり,これにより惑星の半径は 1.396 木星半径とやや小さい値を与えた.

結論

トランジット分光観測を行った結果,平坦で特徴に欠いた透過スペクトルを得た.これは過去の観測と一致するものである.

得られた透過スペクトルは,予想されてい雲無しの理論的な大気モデルにおいて,TiO と VO を含むというものに近い.しかし,これらの分子を検出したと言うには統計的な有意性は足りなかった.

また Na I doublet (589.0 nm と 589.6 nm) では,統計的に有意な検出は無かった.

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