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arXiv:1809.05517
Bailey & Batygin (2018)
The hot Jupiter period-mass distribution as a signature of in situ formation
(その場形成の兆候としてのホットジュピターの周期-質量分布)

概要

短周期の軌道を公転する木星クラスの惑星 (ホットジュピター) が多く発見されてから 20 年以上が立つが,これらの力学的な起源は未だに解明されていない.

従来のシナリオでは,これらの強い輻射を受けている巨大惑星は,木星や土星のように中心星から大きく離れた軌道で形成され,その後大きなスケールの軌道崩壊を経験して現在の軌道に到達したとされている.
より最近のモデルでは対照的に,ホットジュピターの大部分は現在の軌道付近において,急速なガス降着によって形成可能であると提案されている.

この研究では,ホットジュピターなどの近接巨大惑星の軌道周期-質量分布を調査した.その結果,この分布の集団の内側境界は,その場形成シナリオからの予測に従うことを再現した.具体的には,もし惑星が原始惑星系円盤の内縁に近い場合は,惑星の軌道長半径-質量の関係は,\(a\propto M^{-2/7}\) のべき乗則に従うようになる.これは観測データにも明確に見えている傾向である.

さらに,惑星軌道の潮汐崩壊によるこの関係性の変化についても議論を行った.

今回の発見は,軌道移動の結果としてのホットジュピターの形成が主要な物理過程であることを否定するものではないが,巨大惑星が経験する軌道移動の特徴的な範囲は限定的であることを示唆している.

ホットジュピターのその場形成について

ホットジュピターが現在存在するような,原始惑星系円盤の内側での物質の量について考慮する.

\(\xi\) = 0.1 au 以内に含まれる質量は,Mestel (1961) 型の原始惑星系円盤を考慮し,表面密度分布を \(\Sigma=\Sigma_{0}\left(r_{0}/r\right)\),\(r_{0}\) = 1 au での面密度 \(\Sigma_{0}\)=2000 g cm-3 とすると,
\[
\oint\int^{\xi}_{r_{\rm in}}\Sigma r dr d\phi < 2\pi\Sigma_{0}r_{0}\xi\ll M_{\rm J}
\]
と書くことが出来る.ここで \(r_{\rm in}\) は円盤の内側境界である.

この単純な推定だけでも,必要な質量が足りないため,局所的な惑星形成では短時間でホットジュピターがその場形成できないことが分かる.その代わりに,ガスは粘性降着によって原始惑星へと供給されている必要がある.

原始惑星へのガスの降着を考慮すると,ホットジュピターの質量は以下のように大まかに書くことができるだろう.
\[
M_{\rm HJ}\sim\tau\dot{M}
\]
ここで \(\dot{M}\sim10^{-8}M_{\odot}{\rm yr^{-1}}\) は円盤内縁でのガス降着率,\(\tau\sim10^{5}\) 年は特徴的な降着タイムスケールで,一般には円盤年齢の何割かの値になる.

ホットジュピター形成に関するその場モデルの枠組みの中で,ガス降着が可能な最も小さい軌道半径 (円盤内縁半径) は,おおまかには円盤の磁気圏切り取り半径になる.ここで重要なこととして,ホットジュピター質量と同様に,円盤切り取り半径も \(\dot{M}\) によって決まる.この長さスケールは以下のように書くことが出来る.
\[
R_{\rm t}\sim\left(\frac{\mathcal{M}^{2}}{\dot{M}\sqrt{GM_{\star}}}\right)^{2/7}
\]
(Ghosh & Lamb 1979,Koenigl 1991,Shu et al. 1994).ここで \(\mathcal{M}\) は恒星の磁気モーメントである.
物理的には,\(R_{\rm t}\) は円盤物質の粘性拡散が,恒星磁気圏がガスに与えるトルクとバランスする特徴的な長さを意味する.

これらを組み合わせると,
\[
a\sim\left(\frac{\mathcal{M}^{2}\tau}{M_{\rm HJ}\sqrt{GM_{\star}}}\right)^{2/7}\propto M_{\rm HJ}^{-2/7}
\]
となる.

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