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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1809.05967
Huang et al. (2018)
TESS Discovery of a Transiting Super-Earth in the Π Mensae System
(テーブルさん座パイ星系におけるトランジットスーパーアースの TESS による発見)

概要

π Men (テーブルさん座パイ星,HD 39091) 周りのトランジット惑星の検出について報告する.この検出は,最近打ち上げられた Transiting Exoplanet Survey Satellite (TESS) のデータを元に行われた.

中心星のテーブルさん座パイ星は太陽型の恒星であり,等級は V = 5.7 と非常に明るい.この恒星は木星型惑星であるテーブルさん座パイ星b を持っていることが既に知られている.この惑星は軌道離心率が大きく,5.7 年周期で公転している.

今回新しく検出されたのは,2.14 地球半径で 6.27 日周期の惑星テーブルさん座パイ星c である.HARPS と AAT/UCLES アーカイブデータから得られた視線速度でも,同じく 6.27 日の周期での変動が検出され,惑星の存在が確認された.また,視線速度から質量は 4.82 地球質量と推定される.

この恒星は近傍にあり明るいため,さらなる探査に適している.例えば惑星大気の分光観測,星震学,ロシター・マクローリン効果,アストロメトリ,直接撮像などである.

背景

TESS ミッション

Transiting Exoplanet Survey Satellite (TESS) は,太陽系近傍の明るい恒星周りにおける,地球サイズまでの小さいトランジット惑星を検出するのを目的としたミッション,およびその宇宙望遠鏡である.

TESS に搭載された 4 つの 10 cm 口径の望遠鏡を用いて広視野を反復的に観測し,惑星検出に適した恒星の光度をモニターする.
宇宙機は 2018 年 4 月 18 日に打ち上げられ,7 月 25 日にサーベイを開始した.

テーブルさん座パイ星について

テーブルさん座パイ星は HD 39091 としても知られ,肉眼で見える恒星である.スペクトル型 G0V の主系列星で,距離は 18.27 pc である (Gaia Collaboration et al. 2018).また質量と半径は 1.1 太陽質量,1.1 太陽半径である.

ドップラー観測によって,π Men b (テーブルさん座パイ星b) が発見されている.この惑星は質量が木星の 10 倍ほどであり,軌道周期は 5.7 年,軌道離心率が 0.6 である (Jones et al. 2002など).

中心星の実視等級は 5.67 と明るく,TESS によるサーベイの主要ターゲットである.

パラメータ

テーブルさん座パイ星
有効温度:6037 K
金属量:[Fe/H] = 0.08
質量:1.094 太陽質量
半径:1.10 太陽半径
光度:1.444 太陽光度
年齢:29.8 億歳
距離:18.27 pc
テーブルさん座パイ星b
軌道周期:2093.07 日
軌道離心率:0.637
質量:10.02 木星質量
軌道長半径:3.10 AU
テーブルさん座パイ星c
軌道周期:6.2682 日
質量:4.82 地球質量
半径:2.14 地球半径
平均密度:2.97 g cm-3
軌道長半径:0.06839 AU
平衡温度:1169.8 K






arXiv:1809.07573
Gandolfi et al. (2018)
TESS's first planet: a super-Earth transiting the naked-eye star π Mensae
(TESS の初めての惑星:肉眼で見える恒星テーブルさん座パイ星をトランジットするスーパーアース)

概要

π Men c (テーブルさん座パイ星c) の確認と質量決定について報告する.これは,NASA の TESS ミッションでの初めてのトランジット惑星の発見報告である

π Men (テーブルさん座パイ星) は,肉眼で見える 5.65 等級の静穏な G0V 星である.この恒星の周りには,準恒星質量の伴星 π Men b (テーブルさん座パイ星b) が 2091 日の長周期で,軌道離心率 0.64 の高軌道離心率で公転していることが知られている.

TESS の測光観測と Gaia による年周視差のデータを合わせ,さらに HARPS による視線速度アーカイブデータも合わせて解析し,内側にある テーブルさん座パイ星c を発見した.軌道周期は 6.25 日,4.51 地球質量,1.838 地球半径である.

軌道周期とサイズから,この惑星はスーパーアースであり,系外惑星の軌道長半径-惑星半径の分布図における半径ギャップかその近くに位置している.ただし,惑星の質量とバルク密度からは,この惑星は一定量の大気を持っていることが示唆される.

中心星が明るいため,この系は惑星大気や力学的測定を特徴付けるためのさらなる観測の対象として適している.

また,TESS で得られた光度曲線から星震学的解析も行った.
その結果,2600 µHz 周辺に ~ 120 µHz の間隔を持った独立したピークの兆候を検出した.この結果はシグナルノイズ比が低いものの,このタイプの恒星に見られる振動の周波数として予測されるものと整合的であり,TESS ミッションでの星震学的解析の可能性を示すものである.








今年 4 月に打ち上げられた NASA の新しい系外惑星探査機,TESS による惑星の初発見報告です.
同じ観測対象に関して,ほぼ同時期に 2 つの発見報告論文が投稿されました.

前者の論文の謝辞欄には
We acknowledge the use of TESS Alert data, whichis currently in a beta test phase, from the TESS Sci-ence Office.
という文章があり,まだベータテスト段階の運用である TESS のアラートデータを使用した惑星の検出だったようです.

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