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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1509.05397
Cloutier et al. (2015)
Could Jupiter or Saturn Have Ejected a Fifth Giant Planet?
(木星か土星は5つ目の巨大惑星を系から弾き出すことが出来たか?)
統計的に、成功している先行研究の力学的シミュレーションモデルの中には、太陽系内にはかつて5つ目の巨大ガス惑星もしくは巨大氷惑星質量の惑星があり、太陽系の天体の軌道が不安定になっている時期にガス惑星によって太陽系外に弾き飛ばされたとするものがある。
ここでは、木星や土星による巨大氷惑星の系からの放出の可能性について、軌道長半径の大きい木星の規則衛星カリストと、軌道長半径の大きい土星の規則衛星イアペトゥスの現在の軌道の状態から制限を与えることを試みる。
惑星軌道が不安定になっている時期に惑星同士の近接遭遇によって、惑星が系外に弾き出されることがある。
巨大氷惑星を系から放出するのに十分な近接遭遇は、カリストやイアペトゥスのような比較的外側を公転している規則衛星の軌道に対して、しばしば過剰な擾乱を与え得る。
軌道の計算を行った結果、定量的には、巨大氷惑星を系から弾き出すような木星への近接遭遇イベントのうち、カリストの位置の規則衛星の軌道に対して大きく影響を及ぼさない確率は ~ 42%となった。
この大きな値は、5番目の巨大惑星が太陽系内に存在したという仮説を支持するものである。
同様の計算を土星に対して行った結果、イアペトゥスの位置の規則衛星に対して大きく影響を及ぼさない確率は ~ 1%にとどまった。
そのため、土星との近接遭遇によって太陽系外に巨大氷惑星を弾き出すのは、土星の衛星への影響を考慮すると難しい。
しかし、イアペトゥスの現在の独特の軌道 (軌道傾斜角がやや大きい)での衛星形成の過程を考慮する必要があるなど、土星に対する計算の結果の解釈は難しい。
惑星同士の近接遭遇によって惑星が系から弾き飛ばされる事は、数値計算では確認されています。
過去の太陽系で起きたかどうかは確かなことはいえませんが、木星、土星、海王星、天王星に次ぐ"5番目の巨大惑星"がかつて太陽系内に存在し、その後の軌道不安定の時期に系から弾き飛ばされたとするシミュレーションモデルはいくつも存在します。
木星や土星との近接遭遇によって飛ばされることは大いにあり得ることですが、その可能性について惑星の衛星への影響から制限をかけようという試みで、興味深いモデルだと思います。
規則衛星のうちの最も外側の部類の物を選んでいるのは、それより外側に多数存在する不規則衛星は、近接遭遇の後に小天体を捕獲すれば良いということで、惑星形成と一緒に形成されたと考えられる規則衛星のうち、最も近接遭遇の影響を受けやすい外側を考えるという理由なのでしょう。
ただ、不規則衛星の捕獲に関してはまだ周惑星円盤が残っている段階に起きたと考える説もあるため、それとの兼ね合いは気になるところです。
arXiv:1509.05397
Cloutier et al. (2015)
Could Jupiter or Saturn Have Ejected a Fifth Giant Planet?
(木星か土星は5つ目の巨大惑星を系から弾き出すことが出来たか?)
概要
太陽系形成論において、原始惑星系円盤のガスが拡散した後に、巨大惑星の軌道の再配置が起きるというモデルがある。統計的に、成功している先行研究の力学的シミュレーションモデルの中には、太陽系内にはかつて5つ目の巨大ガス惑星もしくは巨大氷惑星質量の惑星があり、太陽系の天体の軌道が不安定になっている時期にガス惑星によって太陽系外に弾き飛ばされたとするものがある。
ここでは、木星や土星による巨大氷惑星の系からの放出の可能性について、軌道長半径の大きい木星の規則衛星カリストと、軌道長半径の大きい土星の規則衛星イアペトゥスの現在の軌道の状態から制限を与えることを試みる。
惑星軌道が不安定になっている時期に惑星同士の近接遭遇によって、惑星が系外に弾き出されることがある。
巨大氷惑星を系から放出するのに十分な近接遭遇は、カリストやイアペトゥスのような比較的外側を公転している規則衛星の軌道に対して、しばしば過剰な擾乱を与え得る。
軌道の計算を行った結果、定量的には、巨大氷惑星を系から弾き出すような木星への近接遭遇イベントのうち、カリストの位置の規則衛星の軌道に対して大きく影響を及ぼさない確率は ~ 42%となった。
この大きな値は、5番目の巨大惑星が太陽系内に存在したという仮説を支持するものである。
同様の計算を土星に対して行った結果、イアペトゥスの位置の規則衛星に対して大きく影響を及ぼさない確率は ~ 1%にとどまった。
そのため、土星との近接遭遇によって太陽系外に巨大氷惑星を弾き出すのは、土星の衛星への影響を考慮すると難しい。
しかし、イアペトゥスの現在の独特の軌道 (軌道傾斜角がやや大きい)での衛星形成の過程を考慮する必要があるなど、土星に対する計算の結果の解釈は難しい。
惑星同士の近接遭遇によって惑星が系から弾き飛ばされる事は、数値計算では確認されています。
過去の太陽系で起きたかどうかは確かなことはいえませんが、木星、土星、海王星、天王星に次ぐ"5番目の巨大惑星"がかつて太陽系内に存在し、その後の軌道不安定の時期に系から弾き飛ばされたとするシミュレーションモデルはいくつも存在します。
木星や土星との近接遭遇によって飛ばされることは大いにあり得ることですが、その可能性について惑星の衛星への影響から制限をかけようという試みで、興味深いモデルだと思います。
規則衛星のうちの最も外側の部類の物を選んでいるのは、それより外側に多数存在する不規則衛星は、近接遭遇の後に小天体を捕獲すれば良いということで、惑星形成と一緒に形成されたと考えられる規則衛星のうち、最も近接遭遇の影響を受けやすい外側を考えるという理由なのでしょう。
ただ、不規則衛星の捕獲に関してはまだ周惑星円盤が残っている段階に起きたと考える説もあるため、それとの兼ね合いは気になるところです。
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