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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1809.11116
Berardo et al. (2018)
Revisiting the HIP41378 system with K2 and Spitzer
(K2 とスピッツァーによる HIP 41378 系の再検討)
HIP 41378 は明るい恒星 (V = 8.9,Ks = 7.7) であり,5 個の惑星を持っていることが知られている.ケプラー K2 ミッションの Campaign 5 の期間中にこの天体が観測され,2 個の海王星サイズの天体の複数回のトランジットと,3 つのより大きい天体の 1 回のトランジットが検出されている.
K2 ミッションは最近 Campaign 18 でこの天体を再び観測した.その結果,大きい方の惑星の 2 つ両方の新しいトランジットを観測した.新たにトランジットが観測されたのは,HIP 41378d と f である.
この観測により,これらの惑星の軌道周期として可能な最大値として,1114 日と 1084 日をそれぞれ与えた.
その他のありうる軌道周期解としては,これらの周期の最大値を整数で割ったものが考えられ,下限値は 50 日である.
現在利用可能な全ての測光データを用いて, HIP 41378d, f の軌道離心率の分布を決定した.その結果,これらの惑星の軌道周期が 300 日以下である場合は,ゼロではない離心率が必要であることが分かった.
また HIP 41378d, f の軌道の安定性解析も行った.これは,異なるあり得る軌道周期の尤度を評価することが目的である.
その結果,300 日未満の短い軌道周期は,軌道安定性の観点から好ましくないことが分かった.
さらに,内側を公転する HIP 41378b と c のトランジットを,スピッツァー宇宙望遠鏡の IRAC を用いて観測した.この結果を,新しい K2 観測の結果と合わせて トランジット時刻変動 (transit timing variation, TTV) の解析を行った.
その結果,HIP 41378b の天体暦は線形であることを見出したが,HIP 41378c に関しては有意な TTV シグナルが見られた.これは HIP 41378d, e, f によって誘起されている可能性がある.
スピッツァー宇宙望遠鏡を用いてこの系内の 2 つの小さい惑星が観測できるということは,この興味深い系内にあるいくつかの惑星は,スピッツァー宇宙望遠鏡,CHEOPS,TESS とその他の観測装置で検出可能であるということを示している.
将来的な観測により HIP 41378d と f の周期を精密に決めることが可能となり,HIP 41378c の TTV を特徴付けることが出来,また惑星 HIP 41378e のトランジットを検出することが出来るだろうと考えられる.
最初の観測では,2 個の短周期惑星が検出されたほか,単独のトランジットイベントが 3 例検出された.後者のトランジットイベントは,統計的に有意に惑星であるとされた.
外側の 3 つの惑星の軌道や物理的特徴の推定値を改善するにはさらなるデータが必要であったが,K2 の Campaign 18 で再びこの天体がケプラーの観測視野に入り,新たなデータが取得された.
arXiv:1809.11116
Berardo et al. (2018)
Revisiting the HIP41378 system with K2 and Spitzer
(K2 とスピッツァーによる HIP 41378 系の再検討)
概要
HIP 41378 の複数惑星系の新しい観測結果について報告する.HIP 41378 は明るい恒星 (V = 8.9,Ks = 7.7) であり,5 個の惑星を持っていることが知られている.ケプラー K2 ミッションの Campaign 5 の期間中にこの天体が観測され,2 個の海王星サイズの天体の複数回のトランジットと,3 つのより大きい天体の 1 回のトランジットが検出されている.
K2 ミッションは最近 Campaign 18 でこの天体を再び観測した.その結果,大きい方の惑星の 2 つ両方の新しいトランジットを観測した.新たにトランジットが観測されたのは,HIP 41378d と f である.
この観測により,これらの惑星の軌道周期として可能な最大値として,1114 日と 1084 日をそれぞれ与えた.
その他のありうる軌道周期解としては,これらの周期の最大値を整数で割ったものが考えられ,下限値は 50 日である.
現在利用可能な全ての測光データを用いて, HIP 41378d, f の軌道離心率の分布を決定した.その結果,これらの惑星の軌道周期が 300 日以下である場合は,ゼロではない離心率が必要であることが分かった.
また HIP 41378d, f の軌道の安定性解析も行った.これは,異なるあり得る軌道周期の尤度を評価することが目的である.
その結果,300 日未満の短い軌道周期は,軌道安定性の観点から好ましくないことが分かった.
さらに,内側を公転する HIP 41378b と c のトランジットを,スピッツァー宇宙望遠鏡の IRAC を用いて観測した.この結果を,新しい K2 観測の結果と合わせて トランジット時刻変動 (transit timing variation, TTV) の解析を行った.
その結果,HIP 41378b の天体暦は線形であることを見出したが,HIP 41378c に関しては有意な TTV シグナルが見られた.これは HIP 41378d, e, f によって誘起されている可能性がある.
スピッツァー宇宙望遠鏡を用いてこの系内の 2 つの小さい惑星が観測できるということは,この興味深い系内にあるいくつかの惑星は,スピッツァー宇宙望遠鏡,CHEOPS,TESS とその他の観測装置で検出可能であるということを示している.
将来的な観測により HIP 41378d と f の周期を精密に決めることが可能となり,HIP 41378c の TTV を特徴付けることが出来,また惑星 HIP 41378e のトランジットを検出することが出来るだろうと考えられる.
HIP 41378 系について
HIP 41378 系は,ケプラーの K2 ミッションの Campaign 5 で観測された (Vanderburg et al. 2016).最初の観測では,2 個の短周期惑星が検出されたほか,単独のトランジットイベントが 3 例検出された.後者のトランジットイベントは,統計的に有意に惑星であるとされた.
外側の 3 つの惑星の軌道や物理的特徴の推定値を改善するにはさらなるデータが必要であったが,K2 の Campaign 18 で再びこの天体がケプラーの観測視野に入り,新たなデータが取得された.
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