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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1810.06486
Fox & Wiegert (2018)
A New Planet in the Kepler-159 System From Transit Timing Variations
(トランジット時刻変動によるケプラー159 系での新しい惑星)
ここでは,過去に発見されていたケプラー159b と c のトランジット時刻変動から,トランジットシミュレータの TTVFast と Bayesian Interface ツールの MultiNest を用いて,トランジットしていない新しい惑星ケプラー159d を検出した.
ケプラー159d は,ケプラー159c と 2:1 の共鳴に入っていると考えられる.
この軌道配置は少なくとも 1000 万年のタイムスケールで力学的に安定である.ただし,2:1 共鳴以外のその他のやや不安定な高次の共鳴に入っているとする軌道も,ケプラーの 3 年間の観測期間中に得られた TTV を同様に再現可能であることには注意が必要である.
中心星のケプラー159 は M0V 星であり,0.52 太陽質量,0.50 太陽半径,有効温度 3893 K である.
惑星質量の直接測定結果は存在しないが,ここでは Chen & Kipping (2017) による初期質量推定を元に,また Wolfgang et al. (2016) によるサブネプチューン惑星の質量半径関係から惑星質量を推定した.2 つの惑星の半径はトランジット深さの観測から推定されており,おそらくガス惑星であると推定されている.
ケプラー159b は軌道周期 10.14 日の惑星である.
この惑星のトランジットは,全て予測される時刻の 30 分以内に発生し,TTV がゼロであることと整合的である.従ってケプラー159b は測定誤差の範囲内で周期的である.
しかし ケプラー159c は平均の軌道周期は 43.58 日で,観測されている全 30 回のトランジットのうちほぼ全てで有意な TTV を示した.これは測定誤差を十分に超えた大きさであった.そのため,この惑星系内の 3 体目の天体の存在が示唆された.
ただし,4:1 か 5:1 共鳴の軌道である可能性も完全には否定できなかった.この場合は,推定質量は 3.1 木星質量か 6.9 木星質量となる.ただし軌道の安定性を考慮すると,これらの軌道である可能性は低いと考えられる.
その他の共鳴の場合は,短いタイムスケールで軌道不安定になるため否定できる.
arXiv:1810.06486
Fox & Wiegert (2018)
A New Planet in the Kepler-159 System From Transit Timing Variations
(トランジット時刻変動によるケプラー159 系での新しい惑星)
概要
ケプラー宇宙望遠鏡を用いて,数千もの惑星がトランジット法を介して発見されている.これらの惑星のトランジット時刻変動 (transit timing variations, TTVs) は,その惑星系内にある別のトランジットしている惑星・していない惑星の存在を示唆してくれるだけではなく,惑星系の多くのパラメータを特徴付けることを可能にする.ここでは,過去に発見されていたケプラー159b と c のトランジット時刻変動から,トランジットシミュレータの TTVFast と Bayesian Interface ツールの MultiNest を用いて,トランジットしていない新しい惑星ケプラー159d を検出した.
ケプラー159d は,ケプラー159c と 2:1 の共鳴に入っていると考えられる.
この軌道配置は少なくとも 1000 万年のタイムスケールで力学的に安定である.ただし,2:1 共鳴以外のその他のやや不安定な高次の共鳴に入っているとする軌道も,ケプラーの 3 年間の観測期間中に得られた TTV を同様に再現可能であることには注意が必要である.
ケプラー159 系について
ケプラー159 の周囲には,2 つの存在が確定した系外惑星が存在している.中心星のケプラー159 は M0V 星であり,0.52 太陽質量,0.50 太陽半径,有効温度 3893 K である.
惑星質量の直接測定結果は存在しないが,ここでは Chen & Kipping (2017) による初期質量推定を元に,また Wolfgang et al. (2016) によるサブネプチューン惑星の質量半径関係から惑星質量を推定した.2 つの惑星の半径はトランジット深さの観測から推定されており,おそらくガス惑星であると推定されている.
ケプラー159b は軌道周期 10.14 日の惑星である.
この惑星のトランジットは,全て予測される時刻の 30 分以内に発生し,TTV がゼロであることと整合的である.従ってケプラー159b は測定誤差の範囲内で周期的である.
しかし ケプラー159c は平均の軌道周期は 43.58 日で,観測されている全 30 回のトランジットのうちほぼ全てで有意な TTV を示した.これは測定誤差を十分に超えた大きさであった.そのため,この惑星系内の 3 体目の天体の存在が示唆された.
解析結果
解析の結果,ケプラー159c と 2:1 共鳴にある 88.7 日周期の惑星が存在すると考えると,観測結果と整合的であることが判明した.推定されるケプラー159d の質量は木星と同程度である.ただし,4:1 か 5:1 共鳴の軌道である可能性も完全には否定できなかった.この場合は,推定質量は 3.1 木星質量か 6.9 木星質量となる.ただし軌道の安定性を考慮すると,これらの軌道である可能性は低いと考えられる.
その他の共鳴の場合は,短いタイムスケールで軌道不安定になるため否定できる.
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