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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1810.10009
Brewer et al. (2018)
Compact multi-planet systems are more common around metal poor hosts
(コンパクトな複数惑星系は金属欠乏星の周りにより多い)

概要

これまでに検出された系外惑星系では,ホットジュピターを持つ惑星系と複数の惑星を持つコンパクトな系は,お互いにほぼ排他的であることが分かっている.この 2 つの構造を持つ惑星系の相対的な存在度を比較し,惑星形成における金属量の役割について調査した.

惑星を持つ恒星 700 個以上のに対して分光学的に導出された金属量のデータを使用して調査した結果,コンパクトな複数惑星系は,金属量が低い恒星の周りに多く存在することが分かった

恒星の金属量が高い場合,惑星を持つ恒星がコンパクトな複数惑星系を持っている頻度は一定の割合を示した一方で,ホットジュピターか低温な木星型惑星を持つ恒星の割合は急激に上昇した.金属欠乏星周りでの惑星探査では現時点で不十分であることから,この結果はこれまでに報告されているよりも,コンパクトな複数惑星系の存在頻度が高いことを意味している.

視線速度法を用いた系外惑星探査は,観測的な限界を理由として,巨大惑星が発見される可能性の高い高金属量星をターゲットにしている場合が多い.今後の新しい極めて高精度な視線速度装置はこれらのコンパクトな複数惑星系を検出する能力があるため,これらを発見するためにより低い金属量を持つ恒星を観測対象にすることができる.

背景

惑星の存在と金属量の関連

系外惑星探査において,恒星の周りに巨大惑星が存在している割合と恒星の金属量との間には正の相関が見られる (Santos et al. 2004,Fischer & Valenti 2005).

このことは,惑星形成は重力不安定経由ではなくコア降着を介して形成されたとするモデル (Pollack et al. 1996) への強い支持となる.つまり,重いコアは金属量豊富な重い円盤ではより急速に形成されるということを示している.

ホットジュピターを持つ系とコンパクトな複数惑星系の対比

系外惑星の探査では, 惑星系の分類として 2 つの注目すべき特徴が同定されている.狭い範囲に複数の小さい惑星の軌道が集まっている,コンパクトな複数惑星系 (Lissauer et al. 2011) と,短周期軌道にある重い惑星,ホットジュピターが存在する惑星系である.

これらの 2 つの軌道配置は,お互いにほとんど排他的であることが分かっている.つまり,ホットジュピターの近くに近接した軌道の別の惑星を持っている系は少なく,またコンパクトな複数惑星系の中に恒星近傍の巨大惑星を持っている系は存在しない.

ホットジュピターは惑星全体の中では希少な存在だが,重元素を多く持つ恒星の周りではより多く存在することが分かっている (Santos et al. 2004,Fischer & Valenti 2005).一方で小さい惑星は,広い範囲の恒星金属量において存在している (Buchhave et al. 2012,Wang & Fischer 2015,Petigura et al. 2018).コンパクトな複数惑星系にある惑星は小型であるため,多くが現在の視線速度サーベイの検出限界付近か検出限界以下にある.しかしこれらの惑星は軌道が同一平面上によく揃っている傾向があり (Fabrycky et al. 2014),ケプラーのトランジット惑星サーベイでは検出されやすい.

いくつかの研究グループは,これらのコンパクトな複数惑星系を持つ恒星の平均金属量を惑星半径の関数として調査を行い,より小さい惑星はより低い平均金属量を持つ恒星の周りに発見されやすいことを見出した (Buchhave et al. 2014,Wang & Fischer 2015,Owen & Murray-Clay 2018).
このことは,固体の少ない原始惑星系円盤では大きな惑星は形成しづらく,あるいは惑星そのものも形成しづらいことを示唆している.

しかし観測の選択バイアスと検出の完全性の問題が,依然として惑星系の完全な描像を理解するのを妨げている.これらの問題を回避するため,ここでは検出された惑星を持つ系だけをピックアップし,それぞれの構造を持つ惑星系の特性を比較した.

結果

ホットジュピターを持つ系

それぞれの惑星の配置の比率に関して,中心星の鉄の存在度,あるいは [Fe/H] に対して対象的な傾向が存在することを発見した.

ホットジュピターを持つ惑星系では,過去の観測と同様に,惑星の存在頻度と中心星の金属量の間に相関が見られた.すなわち,ホットジュピターの存在頻度は中心星の金属量の増加とともに増加する傾向が見られる.

コンパクトな複数惑星系

最も高い金属量を持つ恒星の周りでは,コンパクトな複数惑星系の存在頻度も増加するが,金属量が -0.3 < [Fe/H] < 0.3 の範囲では,存在頻度の依存性はほとんど平坦とみなすことができる.

しかし,中心星の金属量が [Fe/H] < -0.3 と低い場合,コンパクトな複数惑星系の存在頻度は鋭い上昇を示した.[Fe/H] が 0.2 dex のみ変化する間に,コンパクトな複数惑星系が存在する確率密度は,ファクターで 3 も上昇した.

低温な巨大惑星を持つ系

最近の研究では,中心星から 1 AU より離れた位置にある低温な巨大惑星 (クールジュピター) は,相互軌道傾斜角が大きいため我々からは観測できない,コンパクトな複数惑星系の一員である可能性が示唆されている (Morton & Winn 2014,Zhu et al. 2018).

クールジュピターは中心星から離れた距離にあるため,視線速度やトランジットで検出することはより難しく,そのためクールジュピターの探査はより不完全である.しかしその分布を他の惑星を持つ恒星と比較して,別のタイプの惑星を持つ恒星の分布と明確に関連しているかどうかを確認することは有益である.

クールジュピターの存在頻度を中心星の金属量の関数として考えた場合,ホットジュピターが示す傾向をトレースしているように見える.金属量が -0.3 より大きい範囲では.元々の惑星存在頻度-金属量に関する研究は軌道周期が 4 年よりも短い惑星を持つ系が含まれていたため,この結果はそれほど驚くべきことではない.

しかし [Fe/H] < -0.3 の系では,コンパクトな複数惑星系が示す傾向と類似して,クールジュピターの存在頻度も上昇している様子が見られる.ただしその傾向は弱い.

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