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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1811.05955
Ribas et al. (2018)
A super-Earth planet candidate orbiting at the snow-line of Barnard's star
(バーナード星のスノーラインを公転するスーパーアース惑星候補)

概要

太陽系から 1.8 pc の距離にあるバーナード星 (Gl 699) は,既知の恒星の中で最も大きな見かけの運動をする赤色矮星である.単独で存在する星としては太陽に最も近い距離にあり,ケンタウルス座アルファ星の三重星系に次いで近い.

バーナード星は既知の赤色矮星の中では磁気的に最も不活発なものの一つであり,太陽系より年老いていると考えられる.そのため視線速度法やアストロメトリ,直接撮像での系外惑星探査の主要なターゲットである.様々な観測ではそれぞれ感度限界が異なるものの,これまでの全ての観測では惑星の発見報告には至っていない.

ここでは,バーナード星の高精度視線速度装置を用いた多数の観測から,233 日周期の低振幅だが有意なシグナルを検出したことを報告する.機器の系統の影響の解析と共に,独立して測光と分光モニタリング観測も行い,惑星質量の天体が公転していると考えると検出されたシグナルが最もよく説明できることを示す.

今回発見された惑星候補は低温なスーパーアースで,最小質量は 3.2 地球質量である.バーナード星のスノーラインの近くを公転している.

バーナード星の視線速度の 20 年にわたるデータセットから,恒星の磁気活動サイクルに起因すると思われる長周期の変調の存在も明らかになった.ただしこのシグナルは,より遠方を公転する惑星に起因している可能性もある.

バーナード星は太陽に近いため,惑星候補天体のバーナード星からの角距離は最大で 220 ミリ秒角になる.そのため,直接撮像やアストロメトリ観測での追加観測の良いターゲットである.

バーナード星の特徴

太陽系に最も近い赤色矮星は,ケンタウルス座アルファ星系に存在するプロキシマ・ケンタウリであり,2 番目に近い赤色矮星がバーナード星である.

バーナード星の X 線放射は非常に弱く,また Hα 線での放射は検出されていない.恒星彩層の放射指数も低く,自転周期も遅い.金属量はわずかに太陽より少ない値である.また,厚い銀河系円盤の運動集団に属していることから,磁気的活動が非常に低い水準であることが示唆されており,太陽よりも年老いていると考えられる.見かけの明るさと変動性の小ささから,バーナード星はしばしば中間的な M 側矮星のベンチマークであるとみなされる

今回の観測では,CARMENES 分光器を用いてバーナード星を観測して視線速度を測定した.また HARPS,HARPS-N も使用した.

パラメータ

バーナード星
スペクトル型:M3.5V
質量:0.163 太陽質量
半径:0.178 太陽半径
光度:0.00329 太陽光度
有効温度:3278 K
自転周期:140 日
年齢:70-100 億歳
バーナード星b
軌道周期:232.80 日
軌道離心率:0.32
最小質量:3.23 地球質量
軌道長半径:0.404 AU
日射量:地球の 0.0203 倍
平衡温度:105 K 以下

アストロメトリの最小半振幅:0.0133 mas
角距離:221 mas

バーナード星b の公転半径は,バーナード星のスノーラインがあると思われる距離 (0.4 AU) に近い.スノーライン周辺は惑星形成に適した場所だと考えられている.またスーパーアースは低質量星周りで最も普遍的な種類の惑星である.

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