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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1509.05772
Liu et al. (2015)
Giant Impact: An Efficient Mechanism for Devolatilization of Super-Earths
(巨大衝突:スーパーアースのdevolatilizationの効果的なメカニズム)

概要

ミニ・ネプチューンと呼ばれる惑星と、揮発性物質に乏しいスーパーアースは、中心星に近接したお互いに近い軌道に共存している例が見られる。
その例が ケプラー36、ケプラー11などである。

このような近接した惑星における組成の多様性を説明するための、惑星形成後のプロセスがいくつか提案されている。
例えば、中心星からのX線・極端紫外線 (XUV)の照射による質量散逸、降着してくる物質の脱ガス、円盤ガスのその場集積などである。

中心星に近接した惑星では、形成の進んだ段階で巨大衝突 (giant impact)を経験する事がある。
ここでは、巨大衝突によって揮発性物質に富んだスーパーアースあるいはミニネプチューンが、揮発性物質に乏しいスーパーアースへ変化しうるかどうかについて調べる。

巨大衝突のターゲット天体は、鉄のコア、岩石質のマントル、水素・ヘリウムエンベロープの3層からなる構造を仮定する。

破壊的な衝突のケースでは、巨大衝突は水素・ヘリウム大気をただちに取り除き、惑星内部の難揮発性物質を均質化する。

降着的な衝突のケースでは、巨大衝突後もガスのエンベロープは半分以上を保持することが出来る。
またその後に内部が二重拡散対流 (double-diffusive convection)を起こすことにより、組成の勾配が効率的な熱輸送を抑える効果がある。
巨大衝突の後は、熱く膨張した惑星は、ゆっくりと冷えて収縮していくことになる。

この過程の広がった大気は、熱圧力によるパーカー風 (Parker wind)と、中心星からのXUV照射によるハイドロダイナミックエスケープの両方を大きくする効果がある。
従って、結果としてどちらの衝突のケースにおいても、全てのガスエンベロープはこれらの効果の組み合わせによって失われる。

これらの結果に基づくと、ケプラー36bでは巨大衝突によって揮発性物質が失われてしまったが、ケプラー36cでは揮発性物質は無傷で残っている、という経過を経たことが予言される。
さらに、巨大衝突は確率的に発生するという性質は、観測されている中心星に近接したスーパーアースとミニネプチューンにおける質量・半径の関係性の多様性と関係している可能性がある (少なくともある程度は)。

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