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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1812.05119
Bourrier et al. (2018)
Hubble PanCET: An extended upper atmosphere of neutral hydrogen around the warm Neptune GJ 3470 b
(Hubble PanCET:ウォームネプチューン GJ 3470b まわりの中性水素の広がった高層大気)

概要

GJ 3470b は M 型矮星をトランジットするウォームネプチューンであり,軌道周期と惑星質量のパラメータ空間における「蒸発砂漠 (evaporation desert)」の縁に位置している.この惑星は,低質量の近接系外惑星が中心星からの輻射のもとでどのように進化していくかを探査する良い対象である.

ここでは,ハッブル宇宙望遠鏡を用いてライマンアルファ波長で GJ 3470b の 3 回のトランジットを観測した結果について報告する.この観測は Panchromatic Comparative Exoplanet Treasury (PanCET) の一貫として行われた.

その結果,ライマンアルファの吸収特徴は 3 回のトランジットそれぞれで検出され,スペクトル線の吸収深さは blue wing で 35%,red wing で 23%であった.これらの特徴の反復性と,惑星トランジットとの位相の一致,および吸収ガスの視線速度から,この惑星の周囲には中性水素の広がった高層大気があると結論付けた.

また観測から,恒星の輻射圧と XUV 放射強度を決定し,この惑星の高層大気を EVaporating Exoplanets (EVE) コードで数値計算するのための条件として用いた.

異常に赤方偏移したスペクトルの特徴は,ロッシュローブを越えて惑星の運動の方向に延びて広がっている,中性水素の濃い層が存在することで説明可能である.この構造は,広がる熱圏と恒星風との衝突によって形成される,惑星物質のショック層に対応している可能性がある.

青方偏移の特徴は,中性水素原子が 1010 g s-1 で散逸しているとするとよく説明できる.散逸する大気は恒星の強い輻射圧によって吹き流されており,また輻射によって急速に光電離されており,結果としてウォームネプチューン GJ 436b と比べると小さい外気圏になる.
この惑星からの大気散逸量は大きいものの,20 億年程度の寿命の間にその全質量の 4-35% を失う程度の値である.

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