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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1903.01478
Dalba & Tamburo (2019)
Spitzer Detection of the Transiting Jupiter-analog Exoplanet Kepler-167e
(トランジットする木星類似系外惑星ケプラー167e のスピッツァーによる検出)

概要

ケプラー167e の部分的なトランジットの観測結果について報告する.この惑星は軌道周期が 1071 日の木星に類似た系外惑星であり,水のスノーラインよりも十分外側を公転している.観測はスピッツァー宇宙望遠鏡を用いて行われた.

スピッツァー宇宙望遠鏡で観測されたトランジットの時刻は,ケプラーで過去に観測された 2 回のトランジットからの天体暦と整合的である.

スピッツァー宇宙望遠鏡の観測では,他の長周期の系外惑星では存在することが知られている,数時間から数日のオーダーのトランジットタイミング変化 (transit timing variation, TTV) の存在は否定された.
このような TTV が存在する場合,トランジットを検出するためには長い観測時間が必要であり,またトランジット非検出のリスクが高いことから,トランジットのフォローアップ観測を難しいものにする.しかしこの惑星の場合は TTV の存在が検出されなかったため,将来のトランジットの時刻を予測することができ,ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡での観測が行われる時代でのトランジット時刻を 6 分未満の不定性で予測可能である.

TTV が検出されなかったことから,この系は外側に重い別の天体を持っていないか,あるいは他の天体との重力的相互作用が我々の検出の閾値を下回っていたかのどちらかであると考えられる.

また 3.6 µm 波長でのトランジット深さを測定し,系外惑星と太陽系のモデルを用いて,その透過スペクトルの予測を行った.

この惑星がトランジットを起こすということと,木星に類似しているという点から,将来の大気特徴付けを行うための独特な良い対象と言える.この惑星はトランジット系外惑星の中では非常に希少なカテゴリに属し,トランジットの天体暦が精密に制約されているため,系外惑星と太陽系の間の比較研究のベンチマークとなる.

ケプラー167e について

この惑星は 0.9 木星半径で,K 型矮星の主星を 1071 日ごとにトランジットする (Kipping et al. 2016).ケプラーの 4 年という長い観測期間が,この長周期の系外惑星の検出を可能にした.

この惑星のサイズや,軌道離心率が小さいこと,木星に似た量の恒星の輻射を受けていることから,木星に類似した「ジュピターアナログ」(Jupiter analog) だとみなされている.

ケプラーの観測では,この惑星のトランジットは 2 回しか検出されなかった.そのため TTV は検出できなかった.ケプラーで発見されている長周期のトランジット系外惑星とその候補天体のうち 50% は,少なくとも 2-40 時間の TTV を示すことが分かっている (Wang et al. 2015).このような変動はたった数回のトランジット観測では特徴付けすることが難しく,多くの場合,将来のトランジットの時刻の予測に回避不可能な不定性を残す.

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