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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1904.02733
Dorval et al. (2019)
MASCARA-4 b/bRing-1b - A retrograde hot Jupiter around the bright A3V star HD 85628
(MASCARA-4 b/bRing-1b - 明るい A3V 星 HD 85628 まわりの逆行ホットジュピター)

概要

MASCARAbRing は,空の局所的な領域の明るい恒星の変動をモニターするための,広角レンズを用いた CCD による複数の地上観測装置である.MASCARA は既に北天で複数の惑星を発見しており,トランジットするホットジュピター系の中で最も明るいもののひとつを発見している.

ここでは,MASCARA と bRing を組み合わせた南天でのトランジット惑星候補の特徴付けについて報告する.

惑星が発見されたのは HD 85628 のの周囲であり,この恒星はスペクトル型が A3V,等級が V = 8.2,距離が 172 pc で,フォローアップ観測で惑星を持っていることが確認された.

この惑星候補は,元々は MASCARA と bRing 双方のジョイント観測で得られたデータで検出されたものである.その後さらに 0.7 m CHAT での測光観測,ESO 1.0 m 望遠鏡の FIDEOS での視線速度測定が実施された.さらに SMARTS 1.0 m 望遠鏡での CHIRON で,トランジット最中の高分散スペクトルも取得し,惑星候補のドップラーシャドーの探査も行われた.その結果,ホットジュピターの存在を確認し,MASCARA-4b および bRing-1b と命名した.

MASCARA- b/bRing-1b は軌道周期が 2.824 日,1.53 木星半径,3.1 木星質量と惑星の範囲のパラメータを持つ.

CHAT の観測では,部分的なトランジットが検出された,これにより,トランジットが暗い背景星の周りで発生している可能性を低減した.

CHIRON のデータでは惑星のトランジットによる明確なドップラーシャドーが検出され,トランジットする天体は逆行軌道を持ち,247.5° 傾斜した軌道面であることを示唆した.

惑星の軌道長半径は 0.047 AU で,アルベドをゼロとした場合の平衡温度は 2100 Kである.

さらに,主星はこれまでに報告されていなかった伴星を持つことが判明した.これは Gaia DR2 でのデータの解析から明らかになったものである.伴星は主星と固有運動を共有しており,4.3” の角距離で,射影距離 ~740 AU に相当する距離にある.絶対等級からはスペクトル型 K/M の主系列星と推定される.

MASCARA-4b/bRing-1b は,逆行軌道でトランジットするホットジュピターを持つ系としては最も明るい主星を持つ.極軌道や逆行軌道を持つ惑星は,早期型星の周りではより一般的であるというこれまでの傾向を補強する結果となった.
見かけの光度が大きいことと周期が短いことから,将来の大気の特徴付けに特に適した観測対象である.

パラメータ

HD 85628 A
スペクトル型:A3V
距離:171.54 pc
等級:V = 8.19
有効温度:7800 K
光度:12.23 太陽光度
金属量:[Fe/H] ~ 0
年齢:~8 億歳
質量:1.75 太陽質量
半径:1.92 太陽半径
MASCARA- b/bRing-1b
半径:1.53 木星半径
質量:3.1 木星質量
平衡温度:2100 K
軌道周期:2.82406 日
軌道長半径:0.047 AU
射影した軌道傾斜角:247.5°

各観測プロジェクトについて

MASCARA

MASCARA は The Multi-Site All-Sky CAmeRA の略称である (Snellen et al. 2012,Talens et al. 2017).明るい恒星をトランジットするホットジュピターの発見を目的としたサーベイプログラムである.

これまでに,MASCARA-1b (Talens et al. 2018),MASCARA-2b (Talens et al. 2018),MASCARA-3b (Hjorth et al. 2019) を発見している.

MASCARA のプロジェクトは,後述の bRing network (Stuik et al. 2017) と協働している.

bRing

bRing (Beta Pic b Ring) プロジェクトの主要な目的は,がか座ベータ星b のヒル球のトランジットを研究することである (Mellon et al. 2019,Kalas et al. 2019).また bRing は系外惑星のトランジット研究 (この研究) と,変光星の特徴付けにも用いられている.

bRing サーベイは,V = 4-8 の明るい恒星が観測対象である.がか座ベータ星の系外惑星とデブリ円盤の観測や,その他の明るい恒星周りでの系外惑星の探査を目的としている.

名前の通り,2017-2018 年にがか座ベータ星b のヒル球が中心星の前をトランジットするイベントを観測するために設計されたサーベイである.望遠鏡は 2 つあり,1 つは南アフリカのケープタウンのサザーランド・南アフリカ天文台に設置されている.こちらの建設はライデン大学が担当している.もう 1 つはオーストラリア・ニューサウスウェールズのサイディング・スプリング天文台にあり,こちらはロチェスター大学が建設を担当した.

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