忍者ブログ
日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1904.04170
Guilluy et al. (2019)
Exoplanet atmospheres with GIANO II. Detection of molecular absorption in the dayside spectrum of HD 102195b
(GIANO での系外惑星大気 II.HD 102195b の昼側スペクトル中の分子吸収の検出)

概要

系外惑星大気の研究は,物理的・化学的・力学的な過程における違いを理解する上で重要である.

現在のところ,大気の特徴付けの解析はトランジット惑星において行われている.しかし一部の明るい恒星に関しては,高分散分光観測を用いて,トランジットしていない惑星での観測も行われている.これは主に地上の 8-10 m 級の望遠鏡を使用した観測である.

ここでの目的は,Telescopio Nazionale Galileo (TNG) の GIANO 分光器を用いてトランジットしていない惑星 HD 102195b の昼側スペクトルの研究を行い,4 m 級望遠鏡を用いた高分散分光でのトランジットしていない惑星での大気の特徴付けの測定と分子の検出の可能性を実証することである.

ここでのデータ解析技術は,観測の最中に惑星からのシグナルは数 km s-1 のオーダーでドップラー偏位するのに対し,地球大気由来の吸収は波長が一定であるという事実を利用したものである.これにより,GIANO で得られたスペクトル中から系外惑星のスペクトルの特徴を保持しつつ,地球由来のスペクトルの混入を効率的に除去することが出来る.系外惑星大気からの放射シグナルが,惑星大気のモデルと GIANO スペクトルの残差との相互相関によって抽出される.

ここでは,4.4σ の水準の統計的有意度で,HD 102195b の大気中から水蒸気の吸収を検出した.また,メタンが存在する兆候も 4.1σ で検出した.これは高分散分光でのメタンの初検出例である.

2 つの分子は合計の有意性 5.3σ で検出され,惑星の視線速度の半振幅は 128 km s-1 であった.これにより,惑星の真の質量は 0.46 木星質量と推定され,また軌道傾斜角の範囲を 72.5° - 84.79° の範囲に制約した.

解析では,惑星大気は温度逆転層を持たないことが示唆され,比較的低い温度の惑星に期待される結果と整合的であった.これは低温の惑星では光の吸収源である TiO/VO をガス相に効率的に保っておけないからである.

さらに,理論モデルの予想との比較はメタンの検出を裏付けるものであり,また過去に報告されている化学モデル予測との矛盾は,検出されたメタンと水の特徴がこの惑星の低い C/O 比と整合的である可能性を示唆している.

最後に,この恒星はこれまでに 8 m 級望遠鏡で研究された非トランジット系よりも K バンドで 1-3 等級暗く,今回の研究はより大きな系外惑星のサンプルで大気の特徴付けを行う第一歩となるものである.

拍手[0回]

PR

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック