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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1904.03679
Hromakina et al. (2019)
Long-term photometric monitoring of the dwarf planet (136472) Makemake
(準惑星マケマケの長期間測光モニタリング)

概要

準惑星マケマケの自転特性についての研究を行った.
異なる望遠鏡を用いて,2006 年〜2017 年に測光観測を行った.大部分の観測は一般的な Johnson-Cousins photometric system の BVRI 広帯域フィルターで行われた.

その結果,マケマケは過去に報告されているよりもゆっくりと自転していることを見出した.光度曲線中にあると考えられる非対称性では,二重極大を示す 22.8266 時間の周期が示唆された.

R フィルターでの小さい頂点間の振幅は 0.032 等級であり,マケマケがほぼ球形をしているか,あるいは自転軸の極をこちらに向けているかのどちらかを示唆する結果となった.

また BVRI の色と,R フィルター位相角の傾きを測定し,マケマケの絶対等級を測定値を改訂した.マケマケの絶対等級は 2005 年の発見以来変化していない.

今回の測光データ中には,未発見の衛星の兆候は見られなかった.しかし,その他の大きな衛星が存在する可能性についても議論した.

マケマケの自転

準惑星マケマケは,既知の太陽系外縁天体の中でも最も大きく明るい天体のひとつである.

マケマケの測光観測から,自転周期の測定が行われている.

最初の測定は Ortiz et al. (2007) によるものであり,11.24 時間とその 2 倍の 22.48 時間の 2 つの可能性が指摘された.

その後さらに詳細な観測データから,7.77 時間という自転周期が Heinze & de Lahunta (2009) で提案された.最終的に,Thirouin et al. (2010) が 7.7 時間の自転周期とそれに伴うエイリアスの 11.5 時間の周期性を報告し,自転周期としては前者の値がもっともらしいとした.

マケマケの光度曲線の振幅は 0.03 等級と小さいことから,光度曲線から自転周期を決定するのが難しい (Heinze & de Lahunta 2009).その後マケマケに衛星が発見されたことにより,さらなる測光観測が重要となった (Parker et al. 2016).マケマケに発見されたような衛星がマケマケの自転に伴う光度曲線に与える影響は小さいと考えられるが,さらなるハーモニクスが検出される可能性があり,これは衛星の物理的特性や軌道特性を制約するのに用いられる.

議論と結論

マケマケの光度曲線

マケマケの光度曲線中に見られる非対称性は,マケマケの形状が不規則であるか,表面のアルベドの模様が存在する,もしくはその両方が原因として考えられる.例えば準惑星ケレスの場合,振幅は 0.03 等級と小さく,非対称的な二重極大の光度曲線は,主に表面のアルベドの違いによって引き起こされている (Chamberlain et al. 2007,Reddy et al. 2015).

過去のマケマケの観測データでは,表面は自転する間にわたって非常に一様であることを示唆する結果が得られている (Perna et al. 2017).

天体の形状による光度曲線の非対称性は,表面の地形の特徴によって説明可能である.しかしマケマケのサイズと,氷/岩石の組成比を変えた場合にマケマケが取りうる密度の範囲を考慮すると,マケマケの表面に存在できる山は 10 km を超えないと予想される (Rambaux et al. 2017).このような比較的小さい地形の特徴では,光度曲線には 0.001 等級未満の違いしか生み出さない.

一方で観測では 0.01 等級に達する違いが検出されている.このことから,マケマケには双方の変動の要因が存在する可能性があると推定される.つまり,スペクトルの観測からは検出されなかった小さなアルベドの違いと,対称な形状からの小さなずれである.

マケマケの衛星

Parker et al. (2016) によるマケマケの衛星の発見報告では,観測データが疎であり,衛星の軌道は確定していない,従って,マケマケと衛星の合計質量も不明である.主星と伴星の既知の等級の違いを用い,また太陽系内の天体の最も低くなりうるアルベド 4% を想定すると,衛星の直径の上限は ~100 km と推定される.このサイズの衛星は,マケマケの合計の輝度をおよそ 0.01 等級下げうる.今回のデータでは光度曲線中には衛星の影響は見られなかった.

マケマケの遅い自転周期は,衛星との潮汐効果によって引き起こされている可能性がある.連星を成している天体は,長い自転周期を持つ傾向がある (Thirouin et al. 2014).

しかし,発見された衛星はマケマケを現在の低速な自転周期に減速するほど十分な質量を持っていない.さらに,Parker et al. (2016) では,マケマケの衛星は Lim et al. (2010) の熱観測に合わせるためには部分的に暗い領域を持っている必要があることに言及.しかしそれは必要な暗い地形の 1% しか占めておらず,残りの領域はマケマケの表面か,もしくは未発見の大きな暗い衛星が持っている必要がある.

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