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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1906.01486
Haffert et al. (2019)
Two accreting protoplanets around the young star PDS 70
(若い恒星 PDS 70 のまわりの 2 つの降着する原始惑星)

概要

新しく形成される原始惑星は若いガス豊富な原始惑星系円盤に空洞やサブ構造を形成すると考えられているが,これらの構造は進化した画像解析技術によって円盤の特徴と混同されうるため,検出することが難しい.

最近,おうし座T型星 PDS 70 の遷移円盤のギャップの中に惑星が発見された.ここでは,この系の 2 つの異なる場所からの強い Hα 放射が検出されたことを報告する.
一つは過去に発見が報告されている PDS 70b に対応しており,過去の Hα での検出報告を確認するものである.もう一つはギャップの外縁に近い場所にあり,過去に同定された円盤中の明るいダストのスポットと,分子輝線のリング中の小さい開口部分と一致した.これは,この系における 2 番目の原始惑星 PDS 70c と同定された.

双方の原始惑星から検出された Hα 輝線の存在は,原始惑星へ降着が進行していることを示唆している.また PDS 70b と c は 2:1 平均運動共鳴に近い軌道にあるように思われる.

今回の観測は,補償光学を用い,中間分解能で,MUSE による面分光を用いて惑星への降着の特徴を観測ターゲットにするのは,遷移円盤中での異なる進化の段階における進行中の惑星形成をトレースするための強力な手段であることを示した.

平均運動共鳴に入っている若い惑星系をさらに発見することで,太陽系の初期形成段階の間に木星と土星は共鳴状態で移動したというグランドタック仮説に信頼性を与えるものになる.

PDS 70 について

PDS 70 は,若いおうし座T型星 (T Tauri star) である.距離は 113.43 pc で,分光学的な年齢推定からは 540 万歳と推定される.

PDS 70 の周囲の原始惑星系円盤は,スペクトルエネルギー分布 (spectral energy distribution, SED) のモデリングから初めて発見された.後に近赤外とサブミリ波での直接撮像も行われた.

SED モデリングと直接撮像の双方で,この天体は遷移円盤を持っており,半径が 20 - 40 AU の範囲にダストが排除された領域が存在することが示されている.このことは,おそらくは円盤中の動径方向の圧力勾配によって生成されたダスト粒子の蓄積が起きていることを示唆している.このような圧力極大を形成する可能性のあるメカニズムは,円盤中に惑星質量の天体が存在することによる,円盤物質の力学的な掃き出しである.

PDS 70b の質量は 4-17 木星質量と推定され,中心星との射影距離は 22 AU である.
その後のマゼラン 6.5 m 望遠鏡での撮像観測では,4σ の信頼度で水素の Hα 線の放射シグナルが検出されている.Hα シグナルは一般には天体への降着に伴って発生するものであり,この惑星がまだ形成中であることを示唆している.

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