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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1906.08913
Marocco et al. (2019)
CWISEP J193518.59−154620.3: An Extremely Cold Brown Dwarf in the Solar Neighborhood Discovered with CatWISE
(CWISEP J193518.59−154620.3:CatWISE で発見された太陽近傍の極めて低温な褐色矮星)

概要

CatWise カタログの中から,太陽近傍の非常に低温な褐色矮星 CWISEP J193518.59–154620.3 を発見した.Cat WISE とは,WISE と NEOWISE で 2010-2016 年に観測された,900849014 個の天体の赤外線での測光観測と位置天文観測のデータをまとめた天体カタログである.

この天体はスピッツァー宇宙望遠鏡でのフォローアップ測光観測によって,色指数が ch1-ch2 = 3.24 mag と測定され,これまでで最も赤い褐色矮星の一つとなった.

スピッツァーによる測光観測と Kirkpatrick et al. (2019) での多項関係を用いると,有効温度は ~270-360 K の範囲であると推定され,また距離は 5.6-10.9 pc の範囲だと推定される.WISE,NEOWISE,スピッツァーの観測データを合わせてこの天体の固有運動を測定した結果,接線方向の速度は比較的小さく,7-22 km s-1 と推定された.

太陽系近傍の低温天体

太陽近傍にある天体の調査は,近年盛んに行われている.可視光と近赤外線での大規模なサーベイには,2MASS,SDSS,UKIDSS,VHS,PanSTARRS,AllWISE などがある.また最近では Gaia の第二次データリリースも行われた.

これらのサーベイ観測のデータは,これまでは見落とされてきた太陽から 20 pc 以内に存在する天体を同定する良い機会である.

近年は太陽近傍にある超低温矮星の発見が報告されているが,最も低温で低質量の太陽近傍天体の調査はかなり不完全である.
Kirkpatrick et al. (2019) では,T 矮星と Y 矮星の発見に関する網羅性の限界は,天体の有効温度の急激な減少関数であることが示された.例えば,有効温度が 900-1050 K の天体の場合は検出可能な天体の距離は 19 pc で,300-450 K だと 8 pc にまで減少してしまう.さらに低い有効温度を持つ天体の場合,2.3 pc の距離に WISE J085510.83–071442.5 の 1 個が発見されているのみである (Luhman 2014).

この温度領域にある天体の発見数が欠乏していることは,宇宙物理学における基本的な疑問に答えることを妨げている.つまり,星形成はどのようにして非常に低質量の天体を形成し,またその形成効率はどの程度のものなのか?という疑問である.

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