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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1909.11090
Scholtz & Unwin (2019)
What if Planet 9 is a Primordial Black Hole?
(もしプラネット・ナインが原始ブラックホールだったら?)

概要

現在までに,似た質量を持つが,非常に異なる起源を持つ重力的異常が未解決問題となっている.

1 つ目は,太陽系外縁天体の軌道に関連した観測的なアノマリーである.これらの観測結果は太陽系内に新しい 9 番目の惑星が存在する証拠だと考えられており,Planet 9 (プラネット・ナイン) と呼称される.
この天体の質量は 5-15 地球質量,軌道長半径は 300-1000 AU と推定される.

2 つ目は,最近 Optical Gravitational Lensing Experiment (OGLE) で観測された,一連の重力的なアノマリーである.OGLE は,通過時間が 0.1-0.3 日の超短期間のマイクロレンズイベント 6 例の検出を報告した.これらのレンズ天体は,銀河バルジの方向およそ 8 kpc の方向に位置している.
これらのイベントは,0.5-20 地球質量の天体に対応しており,これは自由浮遊惑星 (free-floating planet) か,もしくは原始ブラックホール (primordial black hole) と解釈可能である.

これらのイベントは 2 つとも,想定される質量範囲が似ていることが特徴的である.


可能性としては,OGLE が捉えたのは恒星の密度よりも大きい自由浮遊惑星であり,プラネット・ナインはこれらの惑星が太陽系に捕獲されたというのが自然な説明である.この仮説では自由浮遊惑星を形成するための理論モデルをアップデートする必要が生じるが,現在行われているプラネット・ナインを捜索するための観測プログラムに影響を与えるものではないだろう.

ここでは,より興味深い可能性に注目する.
もし OGLE のイベントが原始ブラックホールによるものであった場合,太陽系外縁天体の軌道のアノマリーも,太陽系に捕獲された原始ブラックホールで説明できる可能性がある.ここではそのシナリオは不合理なものではないことを示し,また観測的な制約についても議論する.

地球質量程度の天体は,重力崩壊を介して形成される天体物理的なブラックホールとしては軽すぎるものの,初期宇宙の過剰密度から形成される原始ブラックホールの場合は,太陽質量よりも十分軽い質量になり得る.興味深い偶然として,電弱スケール周辺での強い一次相転移を介して放射優勢期の間に形成された原始ブラックホールは,プラネット・ナインの推定質量と同程度の質量のオーダーになる \(\sim M_{\oplus}\left(125\,{\rm GeV}/T\right)^{2}\).

プラネット・ナインの起源仮説としては,a) その場形成,b) 太陽系の内側で形成された後に現在の軌道まで散乱された,c) 太陽系外で形成後に太陽系に捕獲された,というものが考えられている.3 つのどれも確率は低いものの,観測されている太陽系外縁天体の軌道が偶然揃っているだけだという可能性に比べるとあり得るものである.


5 地球質量の原始ブラックホールのホーキング温度は 0.004 K であり,これは宇宙マイクロ波背景放射より冷たい.,またこのようなブラックホールの半径は ~5 cm と,単独での放射は極めて小さい.

しかし原始ブラックホール周りのダークマターハローは,もし対消滅を起こしていれば,強いシグナルを発生させうる.

現在のプラネット・ナインの捜索は可視光・赤外線とマイクロ波波長でのサーベイ観測で行われているが,原始ブラックホールの場合は大きく異なるシグナルになりうる.そのため原始ブラックホール説では,太陽系外縁天体の軌道に影響を与えている天体について,X 線,ガンマ線やその他の高エネルギー宇宙線での運動天体の捜索が必要である.

反対に,プラネット・ナインの現在の捜索が失敗し,さらに太陽系外縁天体の軌道のアノマリーの証拠が補強されるづけるのであれば,原始ブラックホール仮説が対抗する仮説になるだろう.

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