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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1909.12144
Fitzsimmons et al. (2019)
Detection of CN gas in Interstellar Object 2I/Borisov
(恒星間天体 2I/Borisov の CN ガスの検出)

概要

太陽系内を通過する恒星間天体の検出は,他の太陽系外系での惑星形成の,物理的および化学的過程に制約を与える機会である.

初の恒星間天体であるオウムアムア (1I/2017 U1 ’Oumuamua) での脱ガスの効果は力学的には観測されたものの,放出された物質の直接検出は行われなかった.活発な恒星間彗星 2I/Borisov (ボリソフ彗星) の発見は,この天体に対する昇華した氷の分光的な研究が可能になることを意味する.

2019 年 9 月 20 日の,ボリソフ彗星が太陽中心距離 2.7 au にある時点での近紫外線での CN の観測から,恒星間彗星から放出されたガスを初検出したことを報告する.
ボリソフ彗星からの CN (シアンラジカル) ガスの生成率は (3.7±0.4) × 1024 s-1 と推定される.

その他のガスの放出は検出されず,C2 に関しては 4 × 1024 s-1 という上限値を与えた.

彗星のダストコマの 3900-6000 Å での反射スペクトルの傾きは,長波長領域で急になった.これは他の彗星と同様の特徴である.

広帯域の測光観測からは,ダスト生成率は 143 ± 10 cm-1 と推定される.

観測されたガスとダストの生成率から,ボリソフ彗星の核の特性として考えられるものを仮定した結果,核の半径は 0.7-3.3 km と制約される.全体として,初めての活発な恒星間天体のガスとダストと核の特性は,通常の太陽系の彗星と似ていることを発見した.

恒星間天体

2017 年 10 月 19 日に,初の恒星間天体オウムアムア (1I/2017 U1 ’Oumuamua) が発見された.この天体の高感度の観測が行われたものの,ガス等は何も検出されなかった.分光学的に判明したのは,輻射を受けた彗星の表面で予測されるものに似た,特徴に欠けた赤い表面を持つこと程度である (Fitzsimmons et al. 2018).

なお,観測により非重力的な加速は検出されている.この現象に対して唯一の考えられる説明は,観測された期間において検出限界以下の脱ガスが存在するというものである.


2019 年 8 月 30 日にクリミアの MARGO 観測所で,Gennady Borisov が彗星 C/2019 Q4 (Borisov,ボリソフ彗星) を発見した.この天体はすぐに,軌道が双曲線で離心率が 3 を超えることが判明した (MPEC 2019-R106; 2019 September 11, https://minorplanetcenter.net/mpec/K19/K19RA6.html).

この天体は 9 月 24 日に,国際天文学連合によって正式に 2I/Borisov と命名され,2 番目の恒星間天体と認定された.

1I (オウムアムア) とは異なり,2I (ボリソフ彗星) は天体が近日点を通過する前に発見された.
近日点距離は q = 2.0 au で,2019 年 12 月 8 日に通過予定である.また 2020 年 10 月に太陽と合の位置関係に入る前に,観測に適した位置に来る.

初期の測光観測では,広帯域での可視光の色は他の活発な彗星と類似し (Guzik et al. 2019),可視光のスペクトルでは特徴に欠けた赤い反射スペクトルを持つことが示されている (de Le ́on et al. 2019).

観測

観測には 4.2 m William Herschel Telescope と,La Palma の ISIS 分光器を使用し,2019 年 9 月 20 日に行われた.この段階で,ボリソフ彗星は太陽から 2.66 au の距離,地球から 3.25 au の距離にあった.

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