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arXiv:1910.02070
Ninan et al. (2019)
Detection of He I 10830 Å~ absorption during the transit of a warm Neptune around the M-dwarf GJ 3470 with the Habitable-zone Planet Finder
(Habitable-zone Planet Finder による M 型矮星 GJ 3470 の周りのウォームネプチューンのトランジット中の中性ヘリウム 10830 Å 吸収の検出)

概要

最近,地上望遠鏡による観測で準安定ヘリウム原子の 10830 Å 波長の共鳴吸収の観測が行われており,系外惑星大気の流出を駆動する基本的な環境を探る強力なツールとして用いられている.

ここでは M 型矮星を公転するウォームネプチューン GJ 3470b の外気圏から,ヘリウムの吸収を検出したことを報告する.吸収線の等価幅は ~0.012 Å である.Habitable Zone Planet Finder (HPF) の近赤外線分光器を使用して,計 3 回のトランジットを観測した.

今回の結果は,M 型星まわりの惑星におけるヘリウムの初めての検出報告である.

検出された吸収線は広く,青方偏移側は -36 km/s にまで広がっている.これは,これまでのヘリウム吸収の検出報告の中では最も大きいものである.

中心星の紫外線と X 線の影響を元にして惑星の外気圏内にあるヘリウムの状態をモデル化した.その結果,フラックスで重み付けした準安定ヘリウムの柱密度は,観測から導出した値である 2.4 × 1010 cm-2 と,モデルの不定性の範囲内で整合的であることを見出した.

系外惑星の外気圏観測

過去の紫外線波長での観測

これまでに,ホットジュピターやホットネプチューン,ウォームネプチューンの外気圏の観測が Lyα 線波長で行われてきた.検出例としては,HD 209458b (Vidal-Madjar et al. 2003),GJ 436b (Kulow et al. 2014),GJ 3470b (Bourrier et al. 2018) がある.これらは全てハッブル宇宙望遠鏡を用いた観測である.

紫外線波長の Lyα は,蒸発する惑星大気を探る重要な手段であるが,2 つの大きな問題点がある.
一つは,Lyα は星間吸収によって減衰してしまい,また地球コロナ放射からの混入の影響もウケる.そのため Lyα 線のコア部分は使うことができず,ウィング部分のフィッティングから,外気圏の高速度成分しか探査できない.
また,紫外線観測は宇宙空間からしか行うことができず,多くの系の探査を行うにはコストが掛かり困難である.

近年の近赤外線ヘリウム吸収での観測

Oklopˇci ́c & Hirata (2018) は,準安定ヘリウムの 10830 Å 波長が,蒸発する系外惑星大気を探査するための代替策になると提案した.この波長は星間吸収で影響を受けず,地上の高分散近赤外線分光器で検出可能である.また,スペクトル線のコアを検出可能なので,外気圏の低速度成分も検出可能である.

ヘリウムのスペクトルの探査自体は新しい発想というわけではない,
例えば,Seager & Sasselov (2000) では,F9V 星 HD 209458 ではヘリウムの吸収は大きな兆候を示すと指摘した.しかし Moutou et al. (2003) での VLT/ISAAC を用いた HD 209458 の観測では,ヘリウムの吸収は検出されなかった.

最近は,K 型星周りの惑星でヘリウムの検出が報告されている.WASP-107b (Spake et al. 2018,Allart et al. 2019),HD 189733b (Salz et al. 2018),HAT-P-11b (Mansfield et al. 2018,Allart et al. 2018),WASP-69b (Nortmann et al. 2018) である.
今回は M 型矮星をトランジットするウォームネプチューンからのヘリウム吸収の発見報告である.

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