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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1911.02473
Hallatt & Wiegert (2019)
The Dynamics of Interstellar Asteroids and Comets within the Galaxy: an Assessment of Local Candidate Source Regions for 1I/`Oumuamua and 2I/Borisov
(銀河系内での恒星間小惑星と彗星の力学:オウムアムアとボリソフ彗星の局所的な起源領域候補の評価)

概要

恒星間天体オウムアムアの,銀河系の局所慣性系に対する速度は小さい.このことは,オウムアムアが母星系の少なくとも原始惑星系円盤の段階で系外に放出されたと考えると,この天体は若いことを示唆する.
この恒星間天体の年齢が若いという仮説に基づき,2 つの方法で恒星間天体の母星系候補の評価を行った.

はじめに,オウムアムアの過去の軌跡を銀河潮汐と円盤加熱 (例えば散乱) の影響のもとでモデル化し,どれくらい過去までオウムアムアの軌道を信頼性を持って辿れるかを評価した.

円盤加熱の影響が統計的な性質を示すことから,オウムアムアの過去への積分計算の正確さは,1000 万年前の段階では 15 pc と 2 km/s 以内,5000 万年前で 100 pc と 5 km/s 以内,1 億年前で 400 pc と 10 km/s 以内までしか期待できないことを意味する.そのため,天体の詳細な起源を決定できる可能性を大きく制限する.

しかし,もしオウムアムアが,大部分の放出過程においてもっともらしい予測である,低速 (~1 km/s) での系からの放出を経験したのであれば,オウムアムアの母星系は現在地球から 1 kpc 以内にあると言える.このことは,オウムアムア起源の星系は銀河系内の局所オリオン腕の中にあり,望遠鏡を用いた研究で比較的容易にアクセスできるであろうことを意味する.そのため,オウムアムアが誕生した場所を決定する努力を継続する強いモチベーションになる.

次に,この初期評価を元にして起源である星系候補の領域を評価するために,その候補領域の速度と位置の不定性を考慮したオウムアムアの軌跡の逆向き積分を実行した.Gaia DR2 カタログと SIMBAD カタログのデータを考慮し,Catalog of Suspected Nearby Young Stars (Riedel et al. 2018) と Gagne et al. (2019) に収録されている運動星団に詳細がある若い系を重視した.

円盤加熱の影響により,局所的な星形成領域や運動星団への結びつけは統計的にしか行えないものの,母星系として最も良い候補は,Carina and Columba 運動星団,Lupus 星形成領域,おうし座T型星である V391 Ori と BD+11 414,そして M 型矮星の GJ 1167A が挙げられる.

天体が惑星形成過程によって放出された場合,オウムアムアは少なくともその年齢に匹敵する時期に Carina と Columba 運動星団の一部分を通過し,おそらくはもっともらしい起源領域になったと考えられる.

なお,この論文の執筆中に,2 番目の恒星間彗星 2I/Borisov (ボリソフ彗星) が発見された.
この天体は局所基準座標系に対する速度が大きいため年齢は若くない可能性があるが,オウムアムアと同様の解析を行って,3 つの候補天体を Ursa Major group 内に発見した (GJ 4384,EV Lac,GJ 102),
また AB Dor 星団中の褐色矮星 2MASS J03552337+113343,EV Lac を含む 8 個の Gaia DR2 天体を見出した.

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