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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1911.02112
Fedorets et al. (2019)
Discovering Earth's transient moons with the Large Synoptic Survey Telescope
(大型シノプティック望遠鏡での地球の一時的な衛星の発見)

概要

地球に一時的に捕獲される天体 (temporarily-captured orbiters, TCOs) は,地球近傍天体 (near-Earth objects, NEO) の一部を成す下部集団である.TCO の観測からは,直径が 1-10 メートルの範囲の NEO のポピュレーションモデルへの制約を与えることができ,また天体に到達するために必要な探査機の速度変化 Δv が小さいため,小惑星のその場探査を行う上で優れたターゲットとなる.

これまでのところ,TCO は偶然発見された一例しか知られていない.ここでは,将来の大型シノプティック望遠鏡 (Large Synoptic Survey Telescope, LSST) での TCO の発見可能性について詳細に評価した.

LSST サーベイのシミュレーションを用いて合成された TCO の集団を合わせて,TCO の観測をシミュレーションした.その後,TCO の検出率や軌道計算,および TCO と混同し得る要因についての評価を行った.

検出可能な TCO の天球上での典型的な速度は 1°/day から 50°/day であり,典型的な等級は V = 21-23 である.潜在的に危険な小惑星は TCO と似た観測的な特徴を持っているが,これら 2 つの集団は LSST による観測データのみで,それらの天体の軌道に基づき識別可能である.

移動天体処理システム (MOPS) を用いて,1 年に 1 個の TCO の発見が期待できると予測される.これらの天体を発見する特定の目的のために MOPS を補完するツールが開発された場合,検出率は 2 ヶ月に 1 個に上昇するだろう

地球の一時的な衛星

初めて発見された地球の一時的な衛星は 2006 RH120 である (Kwiatkowski et al. 2009).その後,任意の段階で地球の周囲を公転する軌道にある小さい小惑星の種族が存在するという説が提唱された (Granvik et al. 2012).

一時的に捕獲された衛星のその他のさらなる証拠としては,例えば後ろ向き軌道積分を元にして,小惑星 1991 VG が過去に一時的に捕獲されていたことが示唆された (de la Fuente Marcos & de la Fuente Marcos 2018).また地球中心軌道の天体に由来を持つ流星 EN130114 が検出されているほか (Clark et al. 2016),Space Surveillance Telescope を用いた一時的に捕獲された衛星候補天体の検出なども行われている (Lue et al. 2019).

地球に一時的に捕獲された天然の衛星は,一時的に捕獲された周回天体 (temporarily-captured orbiters, TCOs) と呼ばれており,捕獲されている間に地球の周りを少なくとも 1 回,公転に相当する運動をするものと,一時的に捕獲されたフライバイ (temporarily-captured flybys, TCFs) で,捕獲されている間に 1 回の公転に相当する動きよりも短い運動をするものの両方を含む.
なお,ここでの解析では TCF は無視する.これは,TCF は捕獲期間が短いことと,それに伴いフォローアップ観測や宇宙ミッション対象としての興味が TCO に比べて薄いからである.

一時的な捕獲の定義はいくらか不明瞭である.ここでは,地球中心軌道への捕獲は,以下の条件を満たすものとする.
・地球中心の軌道離心率が 1 未満
・小惑星が地球の 3 ヒル半径以内にいる
・小惑星が捕獲の最中にヒル半径距離以内に地球に接近する

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