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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1911.02814
Costes et al. (2019)
NGTS-8b and NGTS-9b: two non-inflated hot-Jupiters
(NGTS-8b と NGTS-9b:2 つの膨張していないホットジュピター)

概要

Next Generation Transit Survey (NGTS) での 2 つのホットジュピター NGTS-8bNGTS-9b の発見を報告する.

2 惑星のトランジットは,SAAO 1.0 m 望遠鏡とオイラー望遠鏡による測光フォローアップ観測で独立に検証された.また惑星のパラメータを HARPS,FEROS,CORALIE 視線速度観測から測定.

今回発見された 2 つの惑星は,理論的に予測される半径よりも統計的には大きい範囲にある.しかし,理論的な非膨張モデルによる予測と一致する半径である.

パラメータ

NGTS-8 系

NGTS-8
等級:V = 13.68
スペクトル型:K0V
有効温度:5241 K
金属量:[Fe/H] = 0.24
質量:0.89 太陽質量
半径:0.98 太陽半径
年齢:124.8 億歳
距離:434.273 pc
NGTS-8b
軌道周期:2.49970 日
軌道離心率:0.010
質量:0.93 木星質量
半径:1.09 木星半径
密度:0.89 g cm-3
軌道長半径:0.035 AU
平衡温度:1345 K

NGTS-9 系

NGTS-9
等級:V = 12.80
スペクトル型:F8V
有効温度:6330 K
金属量:[Fe/H] = 0.31
質量:1.34 太陽質量
半径:1.38 太陽半径
年齢:9.6 億歳
距離:619.732 pc
NGTS-9b
軌道周期:4.43527 日
軌道離心率:0.060
質量:2.90 木星質量
半径:1.07 木星半径
密度:2.93 g cm-3
軌道長半径:0.058 AU
平衡温度:1448 K

惑星半径についての議論

2 × 105 W m-2 より大きい輻射を受けている場合,ホットジュピターは理論的な予測よりも有意に大きな半径を持つことが知られている.今回発見されたそれぞれの惑星が受ける輻射は,それぞれ 6.85 × 105 W m-2 と 9.92 × 105 W m-2 であり,このしきい値を超えている.そのため,これらの惑星は理論的に予測される半径よりも大きい半径を持つことが期待されるパラメータ範囲にある.

Sestovis et al. (2018) は,ホットジュピターの半径に関する統計的な調査を行い,しきい値 (Miller & Fortney 2011, Demory & Seager 2011) を超えた輻射を受ける惑星は,追加の膨張パラメータ ΔR を加えた熱進化モデル (Thorngren et al. 2016など) で説明できることを見出した.
この観測された半径の「膨張」は,惑星への入射フラックスと惑星質量の両方に依存する.そこでは,フラックス・質量・半径の関係は,以下の 4 つの異なる惑星質量領域に分けられることを提案している:0.37 木星質量未満,0.37-0.98 木星質量,0.98-2.50 木星質量,2.50 木星質量以上である.

これらの関係を用いて,2 つの惑星の半径膨張 ΔR を推定した.
NGTS-8b については 0.98 木星質量以上・および未満の境界領域に位置しており,双方の関係からは ΔR は 0.24 木星半径と 0.02 木星半径と推定される.前者の値は大きく膨張した半径になることを示唆するが,後者の値はほぼ膨張しないことを示唆する.
NGTS-9b に関しては ΔR は 0.18 木星半径である.

従って,Sestovic et al. (2018) の結果を用いると,今回の 2 惑星は理論的な予測よりも大きな半径を持つことが期待される.

最後に,2 惑星の観測された惑星半径を Baraffe et al. (2008) と Fortney et al. (2007) の質量-半径モデルと比較した.これらのモデルは,太陽型の中心星を仮定し,惑星半径をコア質量・惑星質量・軌道間隔と系の年齢の関数として表現したものである.

今回の 2 惑星の中心星はどちらも太陽類似星ではないため,入射フラックスを一定にするように軌道間隔を再規格化してモデルを使用した.この場合,それぞれの惑星で予測される半径は 1.09 と 1.07 木星半径となり,観測結果と合う.

結論としては,もしどちらの惑星も予測より大きな半径を持つレジームにいたとしても,この 2 つの惑星は膨張していないホットジュピターであると考えられる.惑星の重元素が多い場合,惑星がコンパクトな構造になり,結果として小さい半径になる場合があることが分かっている.その一例は HD 149026b (Sato et al. 2005) である.

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