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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1911.12999
Kuwahara & Kurokawa (2019)
Influences of three-dimensional gas flow induced by protoplanets on pebble accretion --I. shear regime
(原始惑星に誘起される 3 次元ガス流のペブル集積への影響 I.シアレジーム)

概要

惑星形成におけるペブル集積モデルは,様々な種類の惑星の形成を説明する可能性がある.ペブル集積モデルの微惑星降着モデルとの主な違いは,ペブルは成長する惑星との重力相互作用のみではなく,周囲の原始惑星系円盤ガスによるガス摩擦力も経験するという点である.

原始惑星系円盤内に埋もれて成長している惑星は周囲に 3 次元ガス流を誘起し,これは惑星へのペブル降着に影響を及ぼす可能性がある.しかし従来のペブル降着モデルは,擾乱のない (サブ) ケプラーシア流の中でのみ議論されてきた.

ここでは,惑星が誘起する 3 次元ガス流がペブル降着に及ぼす影響について調べる.
非等温・非粘性ガス円盤を仮定し,惑星を中心においた球形極座標での 3 次元流体力学シミュレーションを実行した.その後,3 次元流体力学シミュレーションデータの中でペブルの運動方程式を数値的に積分した.

その結果,惑星が誘起するガス流中でのペブルの軌跡は,今回考慮したペブルのサイズの広い範囲おいて (St = 10-3 - 1),擾乱されていないシア流の中での軌跡とは大きく異なることを見出した.

ガスの馬蹄形の流れとアウトフローがペブルの動きを変え,惑星への降着領域の幅 \(\mathit{w}_{\rm acc}\) を減少させ,ペブルの降着断面積 \(A_{\rm acc}\) を減少させる.一方で,ペブルの軌跡の変化は惑星に対するペブルの相対速度の増加を引き起こし,これは \(\mathit{w}_{\rm acc}\) と \(A_{\rm acc}\) の減少を相殺する.

結果として,ストークスレジームでは,惑星が誘起するガス流内でのペブルの降着確率は,ペブルが二次元的降着で St ~ 10-3 とストークス数が小さい場合,もしくは三次元的降着で惑星の熱質量が m = 0.03 と小さい時を除くと,擾乱のないシア流での値と同程度になる

対照的にエプスタインレジームでは,惑星が誘起するガス流内での降着確率は,ストークス数や熱的質量に関わらず,二次元的降着でも三次元的降着でも,シア流での値より小さくなる

今回の結果は,3 次元の惑星誘起ガス流は系外惑星の分布や太陽系の構造を説明するのに役立つ可能性がある.

“Thermal mass” (熱質量) は無次元化した惑星質量で (Fung et al. 2015),
\[
m = \frac{R_{\rm Bondi}}{H} = \frac{G M_{\rm pl}}{c_{\rm s}^{3}\Omega}
\]
で表される.\(R_{\rm Bondi}\) は惑星のボンディ半径,\(H\) は円盤のスケールハイト,\(M_{\rm pl}\) は惑星質量,\(c_{\rm s}\) は音速,\(\Omega\) は角速度.

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