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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1912.00034
Speedie & Zanazzi (2019)
The Structure and Stability of Extended, Inclined Circumplanetary Disk or Ring Systems
(広がった,傾いた周惑星円盤や環の構造と安定性)

概要

多くの恒星で光度の大きな低下が観測されており,これに対する暫定的な説明は,トランジットする周惑星円盤や環による掩蔽が発生しているというものである.

惑星を取り巻く周惑星円盤や環が中心星の光を遮蔽するためには,円盤は惑星の軌道平面から傾いている必要がある.中心星の輝度の減少の期間を説明するためには半径方向に大きく広がった円盤が必要とされるため,この傾きは円盤の安定性の問題を引き起こす.

ここでは N 体計算で,自転する惑星の質量四重極によって惑星の軌道平面から傾いた周惑星円盤・環の系の構造と安定性について調査した.周惑星円盤を,初期にほぼラプラス面上 (中心星の潮汐力と惑星の質量四重極からの力の平衡面) の軌道を持ったテスト粒子の集まりとしてシミュレーションを行った.

その結果,多くの広がった傾いた周惑星円盤が,積分の期間 (~300 万-1600 万年) にわたって安定にとどまることを見出した.

2 種類の力学的共鳴/不安定が,円盤・環の粒子の離心率と傾斜角を励起する.それは,円盤の外側領域で発生する Lidov-Kozai 効果と,内側領域で発生する ivection 共鳴である.
この研究では傾いた周惑星円盤・環の最大の半径方向の広がりに制約を与え,またギャップが存在する周惑星円盤は必ずしも系外衛星の存在を表すものではないことを示す.

Ivection resonance

Ivection は Xu & Fabrycky (2019, submitted) で提唱された共鳴/不安定性であり,出差共鳴 (evection resonance) を元に命名されたものである.

出差共鳴は,近点歳差と,遠方の擾乱天体の軌道周波数の間に起きる共鳴であり,複数惑星系において惑星の軌道離心率を励起するものである (Touma & Wisdom 1998,Touma & Sridhar 2015).

Xu & Fabrycky (2019) が見出した新しい共鳴はこの出差共鳴に非常に似ているが,この共鳴は離心率ではなく傾斜角を励起するという点で異なるものである.そこで,出差共鳴の evection resonance の e を離心率の e に見立て,離心率の代わりに傾斜角 (inclination) を励起する共鳴であることで,e を i で置き換えて ivection という単語が作られた.

なお Touma & Wisdom (1998) では,\(e^{2}\) に比例する共鳴項との傾斜角-離心率共鳴について,同様に “eviction” resonance と命名している.この共鳴も傾斜角を励起するが,擾乱天体の初期の離心率が有限の値を持っている場合にのみ起きるものであり,ここでの ivection resonance とは異なる現象である.

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