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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:2002.01772
Stock et al. (2020)
The CARMENES search for exoplanets around M dwarfs. Characterization of the nearby ultra-compact multiplanetary system YZ Ceti
(M 矮星周りの CARMENES による系外惑星探査.近傍の非常にコンパクトな複数惑星系くじら座 YZ 星の特徴付け)
これらの惑星の軌道周期に関しては,過去の研究で議論が続いている.これは検出された視線速度データに強いエイリアスが存在するためであり,さらに中心星の M 型矮星の恒星活動も惑星のパラメータを導出するのを大きく妨げている.
ここでは惑星の発見報告以降に得られた 229 セットのさらなる視線速度測定から,この系を解析してエイリアスの問題を解決した.データ中のエイリアスを解くため,ベイズ統計の枠組みと,Dawson & Fabrycky の手法に基づいた周期シミュレーションの比較モデルを使用した.視線速度中のさらなるシグナルについて議論し,恒星活動をガウス過程回帰モデルを用いて同時にモデル化して惑星パラメータを導出した.さらに,惑星のパラメータをさらに制約するため,ケプラー運動フィットの組の安定性解析も実行した.
その結果,過去に報告されていた 4 番目の天体の証拠は得られなかった.過去のデータに見られたエイリアスの問題は解決し,3 惑星の軌道周期はそれぞれ 2,02,3.06,4.66 日である.
また恒星の自転に起因するシグナルが惑星パラメータの導出に与える影響について調査を行った.特に,最も内側の惑星の軌道離心率に与える影響について調査した.
測光観測を用いて,恒星の自転周期を 68 日程度と決定した,またこのシグナルは,3 惑星の視線速度データとスペクトル活動指数からの残差のシグナル中にも検出された.
安定性解析から,惑星が同一平面上の軌道にあるという仮定の元で,軌道傾斜角の下限値を 0.9° と制約した.TESS では惑星のトランジットイベントが検出されていないことから,上限値は 87.43° と導出される.
くじら座 YZ 星は,系外惑星の軌道周期の決定が観測データの強いエイリアスによって阻害されている主要な例である.さらに,恒星活動が惑星のパラメータの導出に影響を及ぼすため,それらを正しくモデル化することが,この特定のコンパクトな系において軌道パラメータの信頼できる推定を行うのに重要である.
2019 年 7 月の時点では,665 個の複数惑星系が発見されている.このうち 148 個が精密なドップラー分光観測によって検出されている.これらのうち,0.3 太陽質量より軽い恒星周りでの発見例は 11 個のみである.
Astudillo-Defru et al. (2017) でこの恒星の周りに複数の惑星が発見された.視線速度のシグナルが小さく,スペクトルの観測ウィンドウの影響もあり,この系の視線速度データは強いエイリアスの影響を受けている.
arXiv:2002.01772
Stock et al. (2020)
The CARMENES search for exoplanets around M dwarfs. Characterization of the nearby ultra-compact multiplanetary system YZ Ceti
(M 矮星周りの CARMENES による系外惑星探査.近傍の非常にコンパクトな複数惑星系くじら座 YZ 星の特徴付け)
概要
YZ Ceti (くじら座 YZ 星) は近傍の超コンパクトな複数惑星系で,少なくとも 3 つの惑星を持ち,4 番目の惑星候補シグナルが報告されている.これらの惑星の軌道周期に関しては,過去の研究で議論が続いている.これは検出された視線速度データに強いエイリアスが存在するためであり,さらに中心星の M 型矮星の恒星活動も惑星のパラメータを導出するのを大きく妨げている.
ここでは惑星の発見報告以降に得られた 229 セットのさらなる視線速度測定から,この系を解析してエイリアスの問題を解決した.データ中のエイリアスを解くため,ベイズ統計の枠組みと,Dawson & Fabrycky の手法に基づいた周期シミュレーションの比較モデルを使用した.視線速度中のさらなるシグナルについて議論し,恒星活動をガウス過程回帰モデルを用いて同時にモデル化して惑星パラメータを導出した.さらに,惑星のパラメータをさらに制約するため,ケプラー運動フィットの組の安定性解析も実行した.
その結果,過去に報告されていた 4 番目の天体の証拠は得られなかった.過去のデータに見られたエイリアスの問題は解決し,3 惑星の軌道周期はそれぞれ 2,02,3.06,4.66 日である.
また恒星の自転に起因するシグナルが惑星パラメータの導出に与える影響について調査を行った.特に,最も内側の惑星の軌道離心率に与える影響について調査した.
測光観測を用いて,恒星の自転周期を 68 日程度と決定した,またこのシグナルは,3 惑星の視線速度データとスペクトル活動指数からの残差のシグナル中にも検出された.
安定性解析から,惑星が同一平面上の軌道にあるという仮定の元で,軌道傾斜角の下限値を 0.9° と制約した.TESS では惑星のトランジットイベントが検出されていないことから,上限値は 87.43° と導出される.
くじら座 YZ 星は,系外惑星の軌道周期の決定が観測データの強いエイリアスによって阻害されている主要な例である.さらに,恒星活動が惑星のパラメータの導出に影響を及ぼすため,それらを正しくモデル化することが,この特定のコンパクトな系において軌道パラメータの信頼できる推定を行うのに重要である.
くじら座 YZ 星について
くじら座 YZ 星は別名を GJ 54.1 と言い.0.3 太陽質量の恒星である.2019 年 7 月の時点では,665 個の複数惑星系が発見されている.このうち 148 個が精密なドップラー分光観測によって検出されている.これらのうち,0.3 太陽質量より軽い恒星周りでの発見例は 11 個のみである.
Astudillo-Defru et al. (2017) でこの恒星の周りに複数の惑星が発見された.視線速度のシグナルが小さく,スペクトルの観測ウィンドウの影響もあり,この系の視線速度データは強いエイリアスの影響を受けている.
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天文・宇宙物理関連メモ vol.553 Astudillo-Defru et al. (2017) くじら座YZ星まわりの惑星の発見