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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1511.01492
Morley et al. (2015)
Thermal Emission and Albedo Spectra of Super Earths with Flat Transmission Spectra
(フラットな透過スペクトルを持つスーパーアースの熱放射とアルベド)

概要

地球より大きく、海王星より小さいサイズの惑星は、銀河系内では最も多い惑星であるが、高高度にある光学的に厚い雲もしくはもや (ヘイズ, haze)が分子の特徴を隠してしまうため、この種類の惑星を観測的に理解するのは非常に大変である(Kreidberg et al. 2014)。

ここでは、スーパーアースの、厚い雲もしくはヘイズを含んだ大気モデルを開発した。また、透過光、熱放射、反射光のスペクトルを予言した。
金属量が多い大気 (太陽組成の1000倍)の、高度の高いところにある非常に厚い塩や硫化物の雲は、近赤外領域での特徴に乏しい透過スペクトルの原因となる。またサイズ分布を持つ光化学ヘイズも、低金属量で特徴に乏しい透過スペクトルを作る。

雲の多い大気からの熱放射スペクトルは特徴が抑えられ、むしろ黒体に近いスペクトルを示す。ヘイズの多い大気からの熱放射は、ヘイズが形成される高度の温度逆転層による放射の特徴を示すことが予想される。

温かい惑星 (400 - 800 K)の反射光の精密な分析からは、中間的なアルベド (0.05 - 0.20)を持つ雲の多い大気と、非常に暗いアルベド (0.0 - 0.03)を持つヘイズの多い大気のスペクトルの識別が可能であると考えられる。また冷たい惑星 (~ 200 K)の反射光 (宇宙空間からの可視光コロナグラフなどで観測可能)は、アルベドが高く、また多くの分子の特徴を含むスペクトルを示す。したがって、温かいトランジット惑星よりも特性評価が簡単であると予想される。

まとめ

このモデルからは、以下のことが予測される。

(1) 雲の多い大気が特徴に乏しい透過スペクトルを持つためには、太陽組成の 1000倍の金属量と、非常に低い雲の沈殿率の両方が必要である。これは可能な範囲ではあるが、もっとも起こり得そうなシナリオではない。

(2) 光化学ヘイズは、GJ 1214bのような惑星の大気上層で形成されやすい。太陽組成の 50倍の金属量で、サイズ分布が有るヘイズ (< 1 μm)と、ヘイズの生成率 > 10%の場合、広い波長域で透過スペクトルが特徴の乏しいものになる。

(3) メタンを起源とする光化学ヘイズは、惑星の有効温度が 1000 Kより高い時は生成しない。この予測は、小さい惑星の特徴に乏しい透過スペクトルの存在度を、さまざまな範囲の入射光の強度をもつ多くの惑星を観測して調べることによって確かめることが出来る。

(4) これらの惑星からの熱放射は、JWSTなどで検出することが可能である。また、雲の多い大気とヘイズの多い大気は熱放射に違いがある。雲の多いモデルはスペクトルの特長が抑えられ黒体放射的になり、光化学ヘイズの場合は、そのヘイズの光学特性によるが、ヘイズによる温度逆転層が原因の中間赤外線での特徴を持つ可能性がある。

(5) 反射光から、雲の多いモデルとヘイズの多いモデルを識別可能である。塩と硫化物の雲は明るいアルベドを持つ。また、雲自身の光学特性、例えば 0.53 μmの ZnSの特長を持つ可能性がある。すす (soot)が豊富な惑星のアルベドは暗いことが予想される (幾何学的アルベド ~ 2%)。

(6) 氷の雲を持つ冷たい惑星(~ 200 K)のスペクトルは高いアルベドを持つ。また情報量の多い分子の特長を持つと考えられ、スーパーアースの組成を探る鍵となる種族である可能性がある。これらの惑星は、将来的な宇宙空間からのコロナグラフ望遠鏡、例えば WFIRST-AFTAによって観測可能であると期待される。

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