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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1511.02837
Strugarek et al. (2015)
Magnetic games between a planet and its host star: the key role of topology
(主星と惑星の間のmagnetic games:トポロジーの役割)

概要

恒星と、恒星に近接した軌道を持つ惑星の磁気的な相互作用は、系からの放射の増光の原因となっているという主張がある。また惑星軌道の永年進化とも関連がある事が示唆されている。

中心星近傍の惑星は、一般に恒星風中の "sub-Alfvenic領域" (アルフヴェン速度よりも遅い領域)を公転している。そのため、恒星と惑星の間では効率的なエネルギー・角運動量の輸送ができる。ここでは、この恒星と惑星との間の相互作用を、3次元・大局的・圧縮性の磁気流体力学シミュレーションを用いてモデル化した。モデル化に際しては、自己整合的な恒星風の中を公転している惑星を想定した。磁場を持つ惑星に注目し、代表的な3つの磁場構造を考慮してモデル化を行った。

その結果、磁気的な相互作用に起源を持つポインティングフラックスは、系からの放射の増光のエネルギーソースとなり得ることが分かった。またこのフラックスは ~ 1019 Wになることを確認した。また、中心星近傍の惑星は、十分に強い恒星風磁場との磁気トルクによって軌道移動する。磁気的な相互作用のトポロジーは、磁気トルクを生み出す磁気的な障害の形状に大きな影響を与える。その結果、磁気的な相互作用のトポロジーの変化によって、惑星にはたらく磁気トルクはおよそ 1桁変化する。

惑星と恒星の磁気的相互作用

これまでに発見されている系外惑星の中で、34%は中心星に非常に近く、中心星半径の 20倍以内の距離を公転している。そのため惑星は中心星と強く相互作用していると予想される(Cuntz et al. 2000など)。この相互作用は観測的にも確認できると考えられる。

この相互作用には、潮汐・磁場・輻射などのプロセスがある。実際に、幾つかの系では観測報告がある(Shkolnik et al. 2008)。特に、HD 189733bの観測では、遠紫外線での増光は惑星から中心星への物質の降着によるものだと示唆されている(Pillitteri et al. 2015)。また WASP-18のX線放射の驚くべきほどの欠乏は、同じく惑星と恒星との間の相互作用によるものと考えられているが、その詳細な機構は不明である (Pillitteri et al. 2014)。
惑星の影響による、恒星彩層やコロナからのX線放射の増光や欠乏は変動性が大きい。

また、系外惑星の統計的な分布でも興味深い特徴があることが分かっている。例えば、中心星近傍に惑星を持つ恒星の自転は、そのような惑星を持たない恒星よりも速い傾向がある (Pont 2009)。これは後に Maxted et al. (2015)でも確認された。Pont (2009)ではこの傾向は潮汐によって引き起こされるとしているが、この説明に対しては疑問が持たれている(Maxted et al. 2015など)。これは、観測から期待される潮汐力の大きさと、恒星の自転速度と年齢との関係性の以上には相関が見られないからである。

また、McQuillan et al. (2013)と Lanza & Shkolnik (2014)は、ケプラーのデータを用いて、高速自転星周りには中心星近傍の惑星が少ないと報告した。
これらのどちらも角運動量の輸送に原因があると考えられるが、その詳細は不明である。

恒星と惑星の間の磁気的な相互作用による磁気トルクは、惑星の軌道移動の原因となり得る (Laine et al. 2008など)。また、恒星の自転速度の加速の原因ともなり得る (Cohen et al. 2010など)。反対に、高速自転星まわりでは磁気トルクが自転速度を減速する効果があるが、この効果はいわゆる若い恒星の角運動量問題の説明には不十分である (Bouvier & Cebron 2015)。

数値計算

計算には PLUTOコードを使用している (Mignone et al. 2007)。3次元の理想磁気流体力学計算を行った。
恒星風についてはシンプルなモデルを構築し、コロナ加熱のメカニズム (Suzuki & Inutsuka 2006)は考慮していない。

惑星の磁場については、恒星風の磁場と平行のもの、反平行のもの、垂直のものの3つを考慮した。

結果

磁場が平行の場合、惑星の磁場は周囲を取り巻く恒星風の磁場に対して一部が開いた状態になっており、恒星と惑星は磁場を介して接続している。この形状は、効率的な角運動量輸送を行う原因となる磁気張力のもととなる。

今回のシミュレーションのケースでは、惑星は角運動量を失い内側へ移動した。磁場が平行な場合、軌道移動のタイムスケールは 100 - 1000 Myrであった (T-Tauri星まわりの場合)。そのため、磁気的な相互作用は若い中心星近傍周りの惑星に対して重要である。

磁場が反平行の場合、惑星磁場は周囲の恒星風磁場に対して完全に閉じている。そのため、磁気トルクはコロナのプラズマが磁気券の断面積に当たることによって生じる。従って磁気的相互作用を起こす領域も小さくなり、磁気トルクは磁場が平行なケースに比べて 14倍低下した。

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