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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1511.02882
Kane (2015)
Stability of Earth-mass Planets in the Kepler-68 System
(ケプラー68系における地球質量惑星の安定性)

概要

ケプラー68系における軌道力学についての研究を行った。中心星のケプラー68の特性から、恒星周りのハビタブルゾーンの範囲を計算した結果、この惑星系にある惑星のうち、外側の惑星はハビタブルゾーン内に位置する事が分かった。またN体計算を用いて軌道の安定性の解析を行った。その結果、外側の惑星の傾斜角は 5°以上であるという制限をかけられた。
(※ここで言う軌道の傾斜角は、地球から見た時の天球面から測った時の角度のこと。惑星がトランジットを起こす、edge-onの場合は傾斜角は ~ 90°、視線方向と軌道面が垂直な face-onの場合は傾斜角は ~ 0°)

また、地球質量の惑星がケプラー68系内で安定に存在できる場所が存在するかどうかの、網羅的な安定性調査のシミュレーションを行った。その結果、ハビタブルゾーン内にいくつかの "安定性の島 (islands of stability)" が存在することが判明した。特に、外側惑星と 2:3の平均運動共鳴になる軌道は安定となる範囲が広い。

ケプラー68系について

中心星のケプラー68は比較的明るい恒星 (K=10)であり、視線速度の分光観測や星震 (asteroseismology)の観測が行われている。またトランジット法によってケプラー68b, cが発見されている。軌道周期はそれぞれ 5.399日、9.605日である、

さらに、視線速度観測によって三番目の惑星ケプラー68dが発見された。これはトランジットは起こしていない恒星であり、軌道周期は 580日、やや軌道離心率が大きく e = 0.18である。

分光観測と星震の観測によって中心星のパラメータはよく制限されており、有効温度が 5793 K、1.076太陽質量、1.243太陽半径、1.564太陽光度である。惑星の軌道長半径は内側からそれぞれ 0.061 AU, 0.091 AU, 1.4 AUであり、質量は 8.3地球質量、4.8地球質量、0.947木星質量である。

恒星のパラメータからハビタブルゾーン (Kopparapu et al. 2013, 2014)が計算でき、保守的なハビタブルゾーン (conservative habitable zone)は 1,19 - 2.09 AUの間、楽観的なハビタブルゾーン (optimistic habitable zone)は 0.94 - 2.21 AUである。
一番外側のケプラー68dは大部分が保守的なハビタブルゾーンの内部を公転する軌道であるが、離心率が大きいため、遠点では保守的なハビタブルゾーンの中間程度、近点では保守的なハビタブルゾーンの内縁より内側へ出る。(楽観的なハビタブルゾーンの内部)

惑星系の軌道安定性

Mercury Integrator Package (Chambers 1999)を用いてN体計算をし、軌道の安定性の評価を行った。

外側の惑星の軌道傾斜角を 0° - 90°まで 1°ずつ変えて軌道計算を行った。その結果、5° - 90°までは全て安定であった。5°未満の場合は、内側の惑星の軌道が不安定になる確率が高くなった。
これは、軌道傾斜角が小さくなると外側惑星の質量が増すことと関係している。
(※外側の惑星は視線速度法による発見であるため、最小質量 Msiniしか判明していない。Msini = 0.947木星質量であるため、真の質量は M = 0.947木星質量/sini となり、iが小さくなると真の質量も大きくなる)

ケプラー68系内での地球型惑星の存在可能性

この系内に地球質量惑星が安定して存在できる領域があるかどうかのN体計算を行った。軌道長半径を 0.1 - 3 AUまで振って 1000個の計算を行った。

外側の惑星の軌道離心率は 0.18、軌道長半径は 1.4 AUであるため、ハビタブルゾーン内は大部分の領域で不安定であった。ケプラー68dは近点が 1.15 AU、遠点が 1.65 AUであるため、この結果は驚きではない。

ただし、ケプラー68dとの軌道共鳴になる軌道の周囲は安定の島が存在する。4:5, 3:4, 2:3, 3:5平均運動共鳴の部分がその安定の島である。特に、1.8 - 1.9 AUの領域に比較的広い安定の島があり、これは 2:3平均運動共鳴の位置に相当する。この軌道は保守的なハビタブルゾーン内に位置している。

仮にこの位置に地球質量の惑星が存在した場合、視線速度は ~ 6 cm s-1となり、現在の観測限界以下である。さらにトランジット深さも ~ 55 ppmであり、軌道長半径が 1.85 AUの場合は軌道周期が 880日であり、こちらも検出は厳しい。

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