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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1511.04415
Dyudina et al. (2015)
Reflected Light Curves, Spherical and Bond Albedos of Jupiter- and Saturn-like Exoplanets
(木星型・土星型系外惑星の反射光光度曲線、球面アルベドとボンドアルベド)

概要

惑星の二次食 (secondary eclipse)時の光度曲線と、恒星による惑星の加熱が、どのように雲の前方散乱・後方散乱に依存するかの見積もりを行った。見積もりを行うために、木星類似惑星と土星類似惑星の光度曲線を観測に基づいて再現した。惑星の軌道位相と木星・土星表面での反射光の輝度の関係に、解析的な関数をフィットさせた。関数の推定には、パイオニアとカッシーニによる木星・土星の観測画像を用いた。これらの観測は、0.59 - 0.72 μm、0.39 - 0.5 μmの広い波長域と、大気の窓に相当する 0.938 μm、メタンの吸収に対応する 0.889 μm、0.24 - 0.28 μmの狭いバンドの観測に対応する。

Dyudina et al. (2005)による光線追跡法 (ray-tracing model)から、異なる位相での惑星の画像のシミュレーションを行った。惑星の位相によって変わる光度が、軌道全体での光度曲線を再現する。

また、木星と土星の全方向への反射光の積分を行って球面アルベド (spherical albedo)の計算を行った。さらに惑星大気がランバート面的な散乱をする場合、レイリー散乱的である場合それぞれの場合の球面アルベドの計算も行った。

木星に関する計算モデルを、複数の確度から観測されている full-diskの輝度に合わせた。その結果、木星的な大気を持つ場合、半分の位相 (半月状)の場合は、ランバート面的な反射の場合よりもファクター 2暗いことが分かった。(両者の幾何学的アルベドが同じ場合の比較)
さらに、球面アルベドと、これを波長で積分したボンドアルベド (Bond albedo)も、ランバート面的な反射をする場合のモデルよりも小さくなることを示した。これに伴い、恒星光の大気での吸収と惑星全体の加熱率は、灰色ランバート大気の場合より大きくなる。ランバート大気を仮定した場合は、球面アルベドを最大でファクター ~1.5程度過大評価することになる。

研究背景

系外惑星の熱放射の光度曲線や二次食の観測は、50を超える惑星で観測されている。また 5つの惑星の熱放射が直接撮像で観測されている(Madhushdhan et al. 2014)。

系外惑星の位相曲線は、トランジットしていない惑星であるアンドロメダウプシロン星b (υ Andromedae b)において、24 μmで観測された (Harrington et al. 2006)。次に HD 179949bにおいて 8 μmで観測された (Cowan et al. 2007)。更にトランジット惑星である HD 189733bにおいて、8 μmでも観測された (Knutson et al. 2007)。これ以降複数の惑星で位相曲線が観測されており、このうち 2つは軌道離心率がある軌道でのものである。

位相曲線が観測されているもののうち、可視光での観測は 3例存在する。可視光では惑星からの光は熱放射と反射光の合計であり、両者を区別するためには赤外線での観測が必要である。
Demory et al. (2013)では、スピッツァー宇宙望遠鏡での 3.6, 4.5 μmでの観測と比較することによって位相曲線中の反射光の寄与を区別し、ケプラー7bは反射率が非常に高い事を示した。この惑星の幾何学的アルベド (惑星の反射光のフラックスと、惑星と同サイズの面積を持つランバート面での反射光フラックスとの比)は、Ag = 0.35である。

また、ホットジュピターであるHD 189733bの二次食観測からは、惑星の反射光は青色で、Ag = 0.4と推定されている (Evans et al. 2013)。
惑星の高い反射率は、大気中の雲の存在を示唆する。この雲は、ケイ酸塩 (silicate)の凝縮やあるいはその他の岩石成分、または光化学で生成される物質によるものであると考えられる。多くのホットジュピターのアルベドは 0.1以下と小さい値をとるが、いくつかのグループでは 0.3程度と高い値を持つ (Heng & Demory 2013)。このグループには、ケプラー7bや HD 189733bも含まれる。

幾何学的アルベドが ~ 0.4という値は、雲の存在が必要である。木星や土星の雲は、ホットジュピターのものとは異なる。例えば、温度領域の差異、雲ができる領域がより高圧であること、組成が異なること、さらにいくらか明るい (Ag ~ 0.5 - 0.6)という点などである。しかし、木星や土星の雲と同様に多重散乱を示す。

大気の窓領域で得られた木星・土星の雲は、スペクトルに驚くべきほど特徴が欠けている事が分かっている。雲粒子はスペクトル依存性の無い散乱体としてはたらいており、輝度は粒子サイズ、アルベド、密度に依存するが、組成には依存しない。系外惑星においては、雲の上に存在する異なるガスがスペクトルを変えうるが、雲の散乱特性自体はホットジュピターと木星・土星で似ていると期待される。そのため、位相曲線の理解は系外惑星の観測結果を理解する上で非常に重要である。

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