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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1511.06556
Morbidelli et al. (2015)
Fossilized condensation lines in the Solar System protoplanetary disk
(太陽系の原始惑星系円盤におけるスノーラインの化石化)

概要

太陽系において、地球型惑星と小惑星帯の主要な小惑星は水に乏しい組成を持っている。しかし原始惑星系円盤内では、円盤が光蒸発 (photoevapolation)するよりも前に、円盤内側で水が凝結する温度よりも低温になるはずである。従って、太陽系の内側に水が乏しいのは未解決の問題である。

ここでは、円盤の内側が十分に低温になったとしても、水への直接の凝結は発生しないという事を示す。これは、スノーライン (snow line, 雪線、凍結線、など)は太陽に向かって移動するが、移動はガス自体よりはゆっくりと動くことが原因である。従って、スノーライン付近のガスは常に外側から運ばれてくる。遠方では低温のため既に凝結しており、そのため内側へやってくるガスは乾燥している。スノーラインの移動によってスノーラインに掃かれた領域内での氷微粒子は、円盤外側からの氷微粒子の動径方向の移動によってのみ供給される。

しかし、もし円盤中に 20地球質量より大きい惑星が存在した場合、粒子の動径方向の移動は阻害される。これは、そのような惑星はその軌道のすぐ外側の地点では円盤をケプラー回転よりも速い回転速度にするからである。

これらの結果から、過去の太陽系の原始惑星系円盤では、スノーラインがまだ 3 AU辺りに存在する時に原始木星がこの閾値となる質量を超えていた、というモデルを提案する。この状況では、スノーラインはその場所に "化石化" する。(論文中では "fossilized" と表現)
また、その後円盤が冷却して低温になっても、木星軌道よりも内側は氷が欠乏した状態に保たれる。これは、円盤外側からの氷微粒子が原始木星によって捕獲されてしまい、内側へ供給されないためである。

このシナリオでは、巨大惑星を持たない惑星系では、系の内側は太陽系よりも水が豊富な環境になることを予言する。
また、水星が比較的低質量であることと、水星よりも内側に惑星が存在しない事を説明するための条件である、「微惑星円盤の内縁が 0.7 AUである」という条件もこのモデルによって説明可能である。これは、微惑星の種を生み出した流動不安定性 (streaming instability)の最終状態における、"化石化" したシリケイトのスノーラインに対応する。円盤が冷えた時、シリケイトの粒子は昇華すること無く 0.7 AUより内側へ移動するが、それらは前から存在する微惑星に降着しない。

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