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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1511.08821
Bodman & Quillen (2015)
KIC 8462852: Transit of a Large Comet Family
(KIC 8462852:大きな彗星の群のトランジット)

概要

彗星起源だと考えられる、KIC 8462852の異常なトランジット光度曲線について研究を行った。観測からは、トランジット深さは ~ 20%、トランジット継続時間は ~ 3日であった。太陽系内の典型的なサイズの彗星 1つがトランジットを起こしたとする場合、トランジット深さは 10-3のオーダーで、トランジット継続時間は ~ 1日であり、共に小さすぎる値となる。

しかし、10個を超える多数の近接した彗星の一群であれば、観測されたトランジット深さとトランジット継続時間をフィットすることが可能である。同一軌道にある大きな彗星のクラスターを仮定すると、観測時期の Quarter 16, 17の KIC 8462852の光度曲線を説明することが出来る。しかし Quarter 8の大きい食については説明出来ない。

しかし、観測されているトランジットの減光からは、トランジットを起こしている天体の軌道に対しては緩い制限しかかけられていない。天体の近星点が 1桁異なるとした場合は、彗星のクラスターで説明することが出来る。

トランジット深さ ~ 0.2を説明するためには、半径が ~ 100 kmの ~ 30個の彗星からなる一群か、半径 ~ 10kmの ~ 300個からなる一群が必要である。全ての食の説明のためには、半径 ~ 100 kmの ~ 73個の彗星の一群か、半径 ~ 10 kmの ~ 731個の一群が必要である。1つの大きな前駆体となる天体が完全に破壊され、1つの彗星の族となっているというシナリオによって、~ 60日継続した KIC 8462852の異常な光度曲線を説明することが出来る。

KIC 8462852について

KIC 8462852は等級が 12の恒星であり、Planet Hunterプロジェクトによってケプラーの光度曲線に奇妙な振る舞いを示すことが分かっている (Boyajian et al. 2015)。
(※参考記事
天文・宇宙物理関連メモ vol.70 Boyajian et al. (2015) KIC 8462852の奇妙な光度曲線の解析)

Boyajian et al. (2015)によると、この星は F3Vで、WISEの観測では赤外線での超過は存在しない。しかしこの星は赤外線での測光観測での変動はモニターされてこなかった。赤外超過の欠乏は星周円盤のサイズを大きく制限するが、WISEのデータが得られた後に大量のダストが生成されたという可能性も存在する。

Wright et al. (2015)は、先進文明による巨大構造物もあり得るシナリオだとしている。
(※参考記事
天文・宇宙物理関連メモ vol.98 Wright et al. (2015) 地球外文明による巨大構造物のトランジットに関する考察)
Boyajian et al. (2015)では、彗星の群によるトランジットが最も有り得る起源だと提案しており、ここではその仮説について検証を行った。

議論

彗星によるトランジットが正しいとすると、この彗星は恒星をかすめるような軌道をとる、いわゆるサングレーザーと呼ばれるタイプの彗星である。サングレーザーは 3つの異なる機構によって作られる。古在機構 (Kozai mechanism)、永年共鳴 (secular resonance)、として平均運動共鳴 (mean motion resonance)である。

Bailey et al. (1992)によると、古在機構は小惑星帯にある高軌道傾斜角の天体からサングレーザーを効率的に作ることが出来ることを示した。また ν6永年共鳴も小惑星帯の氷天体をサングレーザーに変えることが出来る (Farinella et al. 1994)。永年共鳴は少なくとも 2つの惑星の存在が必要であり、またその惑星系の構造に対して敏感である。従って ν6は太陽系では強力で、その他の永年共鳴が他の惑星系の配置では効く可能性がある。またもし惑星がデブリ円盤中を軌道移動するのであれば、微惑星は平均運動共鳴に捕らわれやすく、それらはサングレーザーの軌道に変化する (Quillen & Holman 2000など)。

彗星が氷主体で出来ている場合は密度は 1 g cm-3であり、100 kmの半径の彗星の質量は 4 × 1021 g、10 kmの場合は 4 × 1018 gである。全ての彗星の合計の質量は、10-5地球質量もしくは 10-7地球質量である (解析中のモデルに依存)。古在機構の場合、これは半径 ~ 400 kmの高軌道離心率にある氷天体が破壊されて我々とこの恒星の視線の間を通過する必要があり、これはレアな事象であろうと考えられる。

彗星の合計質量は円盤内の遅い時期の惑星軌道移動による共鳴による掃き出し (resonance sweeping)と整合的であり、これは例えばニースモデル (Morbidelli et al. 2010)で予測されているものである。

3つのどの機構も、観測結果の説明に必要な彗星を生み出すことが可能である、しかし平均運動共鳴がもっともらしいと考えられる。

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