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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1509.03622
Boyajian et al. (2015)
Planet Hunters X. KIC 8462852 - Where's the Flux?
(プラネットハンター 10. KIC 8462852)

概要

ケプラー宇宙望遠鏡で発見された、KIC 8462852における不規則な形状の非周期的な光度曲線の ~ 20%の減少 ("dip")についての解析を行った。
観測から、この光度曲線のdipping activityは 5 - 80日程度継続する。
この光度曲線について、高分散分光観測、エネルギースペクトルのフィッティング、ケプラーの光度曲線のフーリエ解析から分析を行った。

その結果、中心星は主系列段階の、スペクトル型が F3 V/IVの恒星であることが判明した。
また自転周期は 0.88日である。
スペクトルにおける赤外超過 (IR excess, 赤外線領域で黒体輻射よりも上にずれること)は見られなかった。

ここでは、この奇妙な光度曲線のdipに対して考えられるシナリオをいくつか提示した。
しかし現状のデータではどれも問題点を抱えている。

通常の主系列星周りのダスト塊による影響を考えることで、系外彗星 (exocomets)の破片の群 (familiy)が恒星面を通過するというモデルが最も矛盾しないという結果を得た。
この彗星の群を構成する小天体は、全てが直前の1回の衝突破壊イベントによって生成されたとするシナリオである。

特異な光度曲線に対する仮説

観測機器による影響・データ処理時の影響

奇妙な光度曲線が得られた際に考えられるシナリオで、その天体起因ではなく観測機器の特性上の問題や、観測の生データを処理した際に起きたエラーなどが原因であるとするものである。

ここでは、宇宙線が当たったことによる影響や、CCDの影響など考えうる原因を確認し、これらの効果は光度曲線に見られるようなdipを形成し得ないと結論づけた。
そのため、光度曲線は技術的な問題から生じたものではなく、天文現象に起因するものであると考えられる。

恒星の内因性の変動

UX Orionis天体
恒星自身に原因がある変動として、例えばUX Orionis天体 (オリオン変光星の一種)などが考えられる。
UX Orionis天体は多くは中間質量を持つ前主系列星で、スペクトル観測をすると2 - 5 μmでの赤外超過を示す。
また、星への降着による輝線を持つ。

KIC 8462852のスペクトルにはそのような傾向は見られなかったため、UX Orionis天体であるためにdipが形成されるというシナリオは排除される。
かんむり座R型変光星
その他に、かんむり座R型変光星 (R Coronae Borealis type variable, RCB type variable)という可能性がある。

しかしRCB型変光星で典型的に発生する変光と、KIC 8462852での変光はタイムスケールが異なることと、RCB型変光星は超巨星で発生するものであるがKIC 8462852はそうではない。
KIC 8462852の表面重力と自転速度の関係からは、この恒星が超巨星である可能性は低いと判断できる。

そのため、RCB型変光星による変光という可能性も排除される。
Be星
高速自転星からの噴出物によって恒星の周りに円盤が形成される場合があり、この特徴を示す恒星はBe星 (Be star)と呼ばれる。

しかしBe星は一般的に赤外超過を示すが、KIC 8462852では赤外超過は確認されていない。
またKIC 8462852の有効温度は 6750 Kであるが、これはBe星としては低温すぎるため、Be星である可能性も低い。

外因性の変動

KIC 8462852そのものでの変動ではなく、近傍に存在する恒星の変動を誤認しているという可能性はある。

光分解の撮像観測では、KIC 8462852の近傍にM型星が発見されている。
このM型星が重力的に束縛されているかそうでないかに関わらず、光度曲線へのコンタミネーションを起こすことはあり得ることである。

しかし、解析の結果このM型星がdipを起こす見込みはないと判明した。

星周ダスト塊

恒星の周りをダスト粒子の塊が公転しており、これによる中心星の掩蔽によってdipが形成されるというシナリオである。
これは、彗星の群によるものとすると説明できる可能性がある。

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