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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1601.00452
Erkaev et al. (2016)
Thermal mass loss of protoplanetary cores with hydrogen-dominated atmospheres: The influences of ionization and orbital distance
(水素主体大気の原始惑星コアの熱的質量散逸:電離と軌道距離の影響)

概要

地球型惑星からの水素大気の散逸率について、現在より 100倍強い軟 X 線と極端紫外線 (XUV) フラックスのもとでの、様々な軌道距離と質量の範囲内における計算を行った。水素大気の散逸率の計算のため、電離、解離、再結合を取り入れたモデルを構築した、大気の輻射吸収とハイドロダイナミックエスケープの 1D モデルを適用した。このモデルを用いて、水素主体大気を持つスーパーアースからの熱的質量散逸における電離、解離、再結合の影響を調べた。

また、この結果を質量散逸進化によく用いられているエネルギー律速散逸の式による結果と比較した。その結果、エネルギー律速散逸の式は、質量散逸率を大いに過大評価もしくは過小評価することが判明した。どの程度異なるかは、恒星の XUV フラックスと惑星のパラメータ (質量、サイズ、有効温度、XUV 吸収半径) に依存する。

計算モデル

ここで用いるのは、1D 流体モデルである (Erkaev et al. 2014, 2015, Lammer et al. 2013, 2014)。このモデルでは、流体力学の方程式を数値計算している (質量保存、運動量保存、エネルギー保存の式)。さらに電離の効果を含めるために、中性水素原子、水素イオン、水素分子、水素分子イオンの数密度の連続の式も解いている。

XUV による単位質量あたりの加熱率は、XUV フラックス・水素原子と分子の数密度・XUV 吸収断面積の積に、η をかけた式で表す。ここで η は、恒星からの輻射の吸収と大気のローカルな加熱の比であり、水素大気の場合は典型的には 15%である (Shematovich et al. 2014)。

大気からの赤外線での放射損失においては、H3+の冷却が重要である。しかし、軌道長半径が小さく、また XUV が強い時はこの効果は無視できる。

シミュレーションの内側の境界は、コアの半径 + ホモポーズ (homopause, 均質圏界面) の高さに取っている。この高さは熱圏の下部に対応している。その高度の温度は惑星の有効温度と同一にしている。

主な結果

岩石コアが 1 - 5地球質量、軌道長半径が 0.1 - 1 AU の範囲で計算を行った。質量放出率は、1 - 0.1 AU でそれぞれ 108 - 1010 g s-1であった。

スーパーアースや小型の海王星型天体のような低質量の水素主体大気を持つ惑星の場合は、エネルギー律速的な散逸の式では大気散逸率を過大評価することが判明した。惑星の物理半径と XUV 吸収半径を同一とすると、エネルギー律速的な散逸の式は物理的に間違った質量散逸率を導く。低質量の惑星では、 XUV 吸収半径が惑星の物理半径よりもずっと大きくなるからである。

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