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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1601.05143
Owen & Mohanty (2016)
Habitability of Terrestrial-Mass Planets in the HZ of M Dwarfs. I. H/He-Dominated Atmospheres
(M型矮星のハビタブルゾーン内の地球質量惑星の居住可能性 I:水素・ヘリウム主体大気)

概要

M型矮星 (M型主系列星) は個数が多く,また地球型惑星が相対的に発見しやすいため,ハビタブルゾーン内の惑星の検出と特徴付けを行うための主要なターゲットである.

しかしケプラーの観測結果によると,地球程度の質量を持つ惑星は,多くが大量の水素・ヘリウムを持った,エンベロープとコア質量の比が 1 %程度以上という状態で形成されることが分かっている.この惑星が,エンベロープを十億年のタイムスケールで保持するのであれば,ハビタブルゾーン内に存在してもこの惑星は "ハビタブル" では無いということになる.

ここでは,エンベロープを持った惑星が,M型矮星からの強い X線・紫外線のフラックスによって光蒸発でエンベロープを失って,ハビタブルな惑星になるかどうかを検証した.輻射冷却を含んだ流体シミュレーションと,ハイドロダイナミックエスケープのレジームと弾道散逸のレジームへの遷移を含めた評価を行った.

XUV のスペクトルとしては,活発な M型矮星であるしし座AD星 (AD Leo) をテンプレートとして用いた.恒星の進化も考慮し,また惑星の蒸発と熱進化も含めた.


その結果,主な 3 つの特徴が明らかになった.

(1) エンベロープからの質量散逸は,過去に行われたエネルギー律速による評価 (ジーンズ散逸のレジームへの遷移を無視しているモデル) と比べるとかなり少なくなる

(2) ハビタブルゾーンの内縁において,コア質量が 0.9地球質量以下の惑星は,エンベロープとコアの質量の比率が ~ 1%である場合は,十分な水素・ヘリウムのエンベロープを失って後期にハビタブル惑星に進化することができる

(3) ハビタブルゾーンの外縁では,コア質量が 0.8地球質量,エンベロープとコア質量の比率が ~ 1%であっても,エンベロープを失うには質量散逸が不十分である

従って,惑星が大量の水素・ヘリウムエンベロープを持って形成された場合は,コア質量が小さいものだけがハビタブル惑星になることが出来る.コア質量が 1地球質量程度以上の場合,エンベロープ質量とコア質量の比率が 1%程度より大きい場合は,M型矮星のハビタブルゾーン内ではハビタブル惑星になれない.

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